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ピースフルケルベロス編II 第9話 前 向き合うでございますか?

 そうか……。私はずっとアサのことを道具しか思ってなかったのか。道具、はちょっと言い過ぎか。アサは強いし、私の言うことをなんても聞いてくれるからつい甘えてしまう。

 アサはお母さんの生まれ変わりだと言うのに私は……。

 

 子供みたいに泣いてるアサ。一体悪いのは私か、アサか……。あるいは両方。すずしろだった時、お母さんを少しでも楽にさせたいって一生懸命頑張ってたのに……。

 でも仕方がないじゃないか! アイとニーナのこともあるし、人を信用できなくなったから……。

 違う! 原因や利用なんてどうでもいい! 重要なのはこれからどうするってことよ! とりあえず、アサは私が好きってことをいいことに、アサをいいように使い、愛想つかれそうな時だけアサを宥めるのはやめよう。アサはお母さんなんだよ……。

 

 「アサ、ごめんね……」

 違う! これも違う! これでいつもと同じ! またアサを宥めようとした。

 「アサ、いいのよ、言いたいことがあれば何でも私に言って。ちゃんと聞くから」

 そう。これ以上アサの気持ちを無視するのはやめよう。

 「リリーナ……?」

 「今までごめん。アサの気持ちを、ずっと見て見ぬふりしてた。戦争を止めるのは確かに大事だけど、それを言い訳にしてアサを無碍にするのは良くないよね。もうわかったから。だからね、アサが思ってること、もっと聞かせてくれない? 今だけ……ううん。とりあえず、戦争云々を一旦忘れていい。アサの気持ちを全部、私に聞かせて」

 「リリーナ! リリーナっ! わたくし、ずっと不安で……。そもそも、リリーナは桜子を会いに魔界に行かれたわけでしょう! 勇者の一人は明らかにリリーナのことを好いていっらしゃるわけですし! リリーナは殿方しか恋愛対象として見れないかもしれませんし」

 あー……。そっか。アサから見れば確かにそうだった。私はアサを会いに魔界に来た。アサとこういう仲、というか、魔界についたあとのアサの待遇までは考えなかった。恋愛対象はまあ、前世、アイとニーナのこともあったし、人に興味が湧かなくなったし。

 「それから、リリーナはわたくしが前世の記憶を取り戻せてからずっと、わたくしのこと、母として扱うようになったでしょう。それゆえ、家族になりたいと仰ったのでしょう」

 それは……ないとは言い切れないけど……。私は誰かを恋愛対象として見られる自信はないから、家族になりたいと言ったわけで、別にアサのこと拒んだわけではない。

 「わたくしを見なさい! わたくしはしろの母でもありますが、アサ・オカンなんです! わたくしを、見て……っ!

 アサの弱々しい声、聞きたくはなかった。私はずっとアサのこと、傷付けてた。でも、アサの本音聞けた良かったとも思う。

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