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ピースフルケルベロス編II 第7話 同類でございますか?

 「リリーナ、あんまり気を落とさないで」

 「え? あっ、ううん。考えことしてるだけ。それに、成果なかったってわけでもないし」

 「成果?」

 「そう。あの司祭は大佐と繋がってるってわかったし、あの司祭は私達が欲しがる情報を持ってるのは間違いないと思う」

 「でもこれからどうするつもり?」

 「潜入がダメなら侵入するしかない。素直に秘密を明かしてくれるとは思わないからゾンビになってもらうしかない」

 「わかった。私が全力でサポートするよ。それにしても、あの村の人達、本当にムカつく! 」

 「まあ、あの人達も悪気で言ってるわけじゃないし。その分タチが悪いけどね……」

 「あの司祭を倒せばみんな普通に戻れるかな?」

 「どうかな? 心に隙間があるから入り込まれた。乱暴に入り込んだものを取り除こうとしても、心の隙間が広がって、私達は恨まれるんだけ」

 「……まあ、あの人達がどうなっても、私たちと関係ないけどね……」

 「……そう、だね。まあ、それはそうとして、アサ。遊びに行かない?」

 「え? いいの?」

 「いいよ。あの司祭のことだから、私達が諦めてないことはわかってるし、防備を固めて、罠を張って私達を待ち構えてると思うよ。11日、いや、15日経てからここに戻ろう」

 「15日も遊べるの?」

 「うん。二週間は待ってくれると思うから、二週プラス一日にした。証拠とか隠すと思うけど、ゾンビにしてしまえば教えくれる」

 「ねぇねぇどこ行く? リリーナとならどこでもいいんだけど」

 「じゃあ、貿易国家行ってみない?」

 「うん」


 これだよ。私達の知らない料理! 文化! これだから地球の文化をこの世界に持ち込みたくないのよ! この世界の文化はまだ成熟してないから、成熟した文化を持ち込めば、この世界本来の文化は淘汰され、成長しなくなるかもしれないから。

 

 ふ、リラックスできた。さすが貿易国家、色んな国の文化を堪能できた。この世界しかない楽器、独特な料理、芸術。思えばこの世界来てから、この世界で旅行したことがなかった。アサと駆け落ちしたらこんな生活ずっと続くと思うと、ちょっと、ほんのちょっとだけ、期待してしまう。アサは新婚旅行だなんてはしゃいたけど……。


 それはそうとして。

 「アサ」

 「うん」

 風魔法で簡単に村に侵入できた。まあ、アサが風魔法が得意ってことは知られたし。そもそもアサのことを調べた可能性が高いし。とにかく油断は禁物。……と思ったけど、簡単にあの司祭のとことまで辿り着いた。


 「あら、リリーナ・ナナリーさん。遅いですよ。来ないと思ったではありませんか」

 「お陰様で良いバンガスができてリラックスすることができました」

 「あら、ひどい人……。人が神経削って待ていたというのに」

 「大丈夫ですよ。すぐ楽にしてあげますから」

 「え? あ、そううまくいけるといいですね。アサ・オカン。貴女のことも調べて頂きました。王族殺しの天才魔術師。対策してないと思ってませんよね」

 「あれ? なんて?」

 魔法の威力が数段落ちてる。人の魔法によるものではないと思う。今深夜だし、何か合図したように見えなかったし、15日待機するのは現実的じゃない。魔石だとすると、この部屋に仕掛けたのか、村全体に仕掛けたのか。

 「アサ、ちょっと試したいことがある。ここで待っててね」

 「うん」

 「あら。仲間を捨てて逃げるのですか」

 「リリーナはそんなことしない」

 「信じているのね」

 教会の外だと普通に魔法が使える。でも魔法で教会を攻撃すると魔法の威力が減る。司祭が教会から出ない限り教会の中で戦うしかない。外だと村人を起こしてしまうし。とにかく教会の中に何か怪しい装置を片っ端からあれを使ってみるしかない。

 「アサ、たけのこの目の魔石を貸して」

 「はい、これ」

 「ありがとう」

 

 探しても探しても見つからなかったけど、灯台下暗し。あの部屋にあるかもしれない。

 と思ってあの部屋に戻ったけど……。

 「リリーナ、私のこと、本当はどう思っているの?」

 狙いはそれだったのか……。

 「司祭さん、甘いわね。私とアサの絆、この程度で切れるわけないでしょ。アサっ! そうう簡単に惑わされないで。ほら、しっかりぃ」

 「リリーナ〜♪」

 それほど話術が強いのか。何なかの魔法か。いずれにしても、短時間で洗脳できるものではないらしい。

 「聞いていた通り、貴女は私と同じ、言葉の力で巧みに言葉で人を操り、利用するわる〜い人。聞きましたよ、勇者も獣人も誑かしたって」

 「一緒にしないでほしいんだけど」

 「一緒だよ」

 「それってつまり貴女は村人を騙してるのを認めるってこと?」

 「いいえ。私は村人を導いて、彼らの魂を救ってる」

 「悪いとは思ってないのね」

 「ええ。貴女とて同じでしょ」

 何なのこの人……? 同類だとしても何も変わらないのよ? でも関係ない、とりあえず死体になってもらう、話はそれから。

 「アサ、威力が出ないのなら魔法の出力を上げればいい」

 「短期決戦になるけどっ!」

 「ちょっ! 私を殺せば貴女達が欲しかってる……まさか、死霊術? 貴女の固有魔法は確か死霊術! いや、でもありえない! 大佐の魔法でさえ死体から記憶を引き出せないと言うのに……」

番外編も同時に投稿しました。

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