ピースフルケルベロス編II 第4話 後 リスクでございますか?
「えへへ」
ご機嫌だな、アサ。
「リリーナ、他の人の前にやっちゃダメだよ。特に桜子の前では」
「……」
ちょろい……と言えばちょろいんだけれど、独占欲は強そうだ。まあ、別にいいけどね。でも、アサは友情と恋、ちゃんと区別できるのかな。桜子は私に告白したから、多分恋なのでしょうけど。ソニアは尊敬、ロッティ、セレン、勇者あたりはただの友情と信頼。見境なく嫉妬しちゃうと面倒ごとになりかねない。
「うん、もちろんわかってるよ」
まあ、今はそんなことを考える暇はない。そろそろ例の村に到着するからとりあえず運チェックだ。
うーん……。これは……かなりやばいかも。死にはしないけど……。引き返すべきだ。しかし、運を操る能力については話せないし、どうやってアサに説明すれば……。ううん。アサにだけではない。ソニア、セレン、勇者にも説明しなければならない。しかも村に一歩も踏み入れず、すぐ引き返した理由をね。私はみんなの期待を背負ってるし。
でもさ、三日間だけ死なないだけで、捕まえられて酷い目に遭う可能性も充分考えられる。私とアサが酷い目に遭って、救援を期待してもも来なくて、私が前世のことを思い出しながら後悔し、アサは私と一緒にいたことを後悔しながら死んでいく、までは想像できた。
はあ。でも魔王とゴーストの目的を知るには、あの教会を調査しかない。危なそうだからって手ぶらで帰るわけにもいかない。
それにしても、アサがついていながら、危険な目に遭うとは。相当危ない村みたいだ。アサは高ランクな冒険者で王族を殺して更に強くなったみたいだし。もしかしたら、もっと慎重にいけばうまくいけるかもしれない。
「ねぇ、アサ」
「なぁに?」
「魔王……」
いや、魔王はちょっと想像しにくいか……。魔王と互角と言われてるドラゴン乗りの竜騎士、でも魔王は今の体にまだ慣れてない場合を仮定すると……。
「アサはドラゴンさん相手でも私を……いや、私と二人で逃げれると思う?」
「逃げる? なんで? 倒すよ。そのための力、手に入れたから」
アサを信じていいのか……。信じるって言葉やはり嫌いだわ。信じることはつまり思考放棄して相手に丸投げすること。
負けを想定してからパチンコやる人はいない。欲しいものだけを見て、リスク分析せず突っ走っちゃダメだ。
よし、こまめに運チェックしよう。少しバレやすくしても、いつでも周囲警戒し、戦闘体制や逃げれる準備しよう。




