ピースフルケルベロス編II 番外編 イエスオアノー
第1話後編も同時に投稿したのでお忘れなく。
「そういえばリリーナすごかったね」
「ん? 何が?」
「私、マモンの会談全部見た。特にイエスオアノーのあれ。あれはリリーナだったよね」
「イエスオアノーって何?」
「あーら。お前見てなかったの? リリーナの活躍を?」
アサめっちゃドヤしてる……。
「すず、イエスオアノーって何?」
「えーとね。人間の魔人に対する認識を深める活動の一環として、マモンが人間と議論する会談をあっちこっちで開いで、魔法石で中継したんじゃない?」
「うん」
「で、イエスオアノーだけで答えさせる人がいるんでね。魔人が魔人を魔法石にする人間を憎んでいる、だから魔人は人間と共存できない。イエスオアノー?って。」
「え? 意地悪っ」
「そう。イエスって答えたら、共存できないって認めることになるし、ノーって答えたらつまり魔人は人間を憎んでいないから人間はこれからも魔人を魔法石していいってことになる」
「で、リリーナはどう答えたの」
「えーとね、最初は私ではなくマモンが答えようとした。でもマモンが何か答えようとしてもイエスオアノーだけで答えくださいって連呼するのよ」
「うわー」
「で、私がマモンに通信を入れて、マモンに大きな声で『二択で答える問題じゃない』って言わせの。で、続いて、例えば、人を殺すことは悪、イエスかノーという質問に対して、イエスって答える人が殆どだ。なら死刑のある国は全部悪か? 正当防衛、つまり殺されそうになった時、誤って人を殺した人も全員有罪にするべきなのか? 大人しく殺されるのが正しいなのでしょか? つまり、人を殺すことは悪かという質問はイエスもノーも誤りで、正しい答えは場合による、だ。それをイエスかノーで答えさせることはあまりにも恣意的で、話を誘導する意図が見え見え。このような卑劣な質問は本来なら答えるつもりはないが答えましょう。人間だって、魔人への理解が深めれば、魔人で魔法石を作るなんて考えなくなるはず」
「そしたらさ、あの人なんて言ったと思う?」
「わかんない」
「そんなのただの空想だ。感想にすきない。違うと言うのなら証拠を示せって言ったの」
「それって……」
「うん。で、リリーナが、じゃあ逆にそっちが魔人のこと、人間と同じ感情を持ってて、痛みを感じるって知っててなお、人間全員が魔人で魔法石を作ることを賛成する証拠を提示してほしいって言ったの」
「一人ひとりの意見を感想と切り捨てる人は人を代表して議論する資格はないって付け加えた」
「かっこいいすぎない?」
「相手を説得するではなく、この放送を見てる人が納得することが目的だからね。本当は現実を見ず、自分の頭で考えず、有名人の言葉を借りることで自分の頭が良くなった気になるアホって言ってあげたかったけど」




