本編 第9話 旅立つでございますか?
いよいよ明日が旅立つ日だ、楽しみた。
「カタハネ、この瓦を割って見て、コスモを爆発させれば出来るはずよ!」
「ヒヒ~ン。」
「よし、いい子だ。その調子なら、ペガサス流星蹴りを修得するのも時間の問題だね~」
恋を邪魔する者は馬に蹴られてしまうぞ~
さあ、寝るか~
「行ってきます、おば様~」
「いってらっしゃい、アサちゃん~」
「じゃ、さよなら、先生。」
「いってらっしゃい、リリーナちゃん~」
流石に陸上最速と言われているスビードラゴン車、カタハネも乗っているのにこんなに速いんだ。
先ずはこの森を抜ける、お父さんと叔父さんはここで死んだか、あたしのせいで。
まあ、いいか、別の世界で楽しく生きているよ、きっと、例えそうじゃなくても、もうあたしと関係のない話だ、あたしが出来ることはもうないんだ、いいじゃないか、お父さんが死んでくれたお陰であたしは力を悪用しないようになった、良かったじゃないか、お父さん、あたしの役に立てて。
「どうしたの、リリーナ、辛そうな顔をして、緊張か?」
辛そうな顔、あたしが?何バカなこと言ってるの?
「あなたこそ、顔色酷いよ。」
「速すぎるで、ちょっと吐き気が。」
なるほど、あたしの心配じゃなくて、顔色の話題に持ち込みたいと言うわけか、お父さんの事はもう気にしていないから、絶対に辛そうな顔をしない!
ていうか、こいつ、面倒だ、まあ、車酔い薬を持っているから、あげでもいいけど、いや、待って、そうね、これはいい機会だ、アサを追い払う機会だ。あたしの力はきっかけさえあれば、魔法バリアがある敵にも通じる、魔法バリアは敵にターゲットされる時しか反応しない、きっかけはカタハネだ、カタハネに何もない所に攻撃させ、力で敵をその攻撃にぶつける、急所から運を抜けば、どんな敵もいちころだ。でも、アサが居れば、使わない、実験台にしたことがバレる、だって、カタハネに何もない所に攻撃させるのは不自然だ。
だから、足を引っ張ると意識させ、アサを追い払う。ほら、先生、あたし約束を破らなかったよ、アサは自分の意志で去ったから。
でも、車酔い薬が見られたら・・・はあ、勿体ないけど、薬を捨てる。
アサの様子を観ながら窓の外に捨てた、アサが苦しんでるから、全然こっちに見なかった。
「リリーナ、平気?」
「平気よ。」
「そうか、良かった。」
心配する振りをしても、あたしに通じないから。フッ、バカめ、あたしが何を企んでいるも知らないで。あっ。もしかして、あの時、ウイもそんなバカを見る目で、あたしを見るの?はは、でも大丈夫、今回、あたしが悪いことを企んでいる側だ。
「お嬢ちゃん達、ここからの道の起伏が激しい、常に戦場だから、倒れた木も多いんだ、しっかり捕まって。」
「ちょ、え!?」
「えぇぇぇ!?」
「オ、オロロロエエエエエッ・・・」
「ウエエエエエッ・・・」
二人仲良く窓を向けて吐いた。薬捨てなければ良かったかな?いや、薬を上げたら、心配してると勘違いされる、捨てずに持てる所を、見られたら、やばいし、これでいいんだ。人は皆そう、正しいことをしても、悪い結果になれば、自分が間違ったと思い込む。いや、待って、それってつまり、アイとニーナは間違ったわけじゃない、ただ偶に結果が良くない、いや、彼女達はバカだ、アイは自分のことより他人のことが大事なバカ、ニーナは簡単に人を信じるバカ、騙す方と騙された方、両方も悪い!
「そう言えば、リリーナ、何でそのような戦い向きじゃない服装を着るの?卒業に貰ったお金は旅の準備に使ったでしょう?何を買ったか?」
「そうね、服四着、アイマスク、耳栓、予備の下着、生理用品、傘とバナナ数本。」
「授業受けないと、こうなるのね・・・大丈夫、ポーションは沢山持ってるから。お金もあるし、あたしが守るから大丈夫!」
え!?なに?
「やばい!車輪が壊れた、はは、運が悪かったね、お嬢ちゃん達、悪いがあなた達を見捨てるしかない、止まった車はすぐに魔物の襲われるからな、さよなら。」
「おい、ちょ!」
スピードラゴンに乗って逃げた!許さない!と言いたいけど、同じ状況ならあたしも同じことをするからね。でもやっぱり許さない!
「だ、大丈夫だよ、リリーナ、あたしがいるから。」
先生はアサが強いと言いたけど、この世界はレベルと言う数値がある、レベルは成長と共に、もしくは魔力を持つものを殺したら上がる。たっく、どこの世界も同じ、人間は数値化が好きだな。前に居た世界にも知能指数と言うふさげた数値があるし。つまり、アサはまだ十二歳、魔物も殺したことないのに、強いわけない。
音がする、魔物が来てる!
野生のゴブリンが現れた!なんだ木の棒ゴブリンか、こいつ、武器を作れる程頭がいいわけじゃない、しかも一匹しかない。
「アサ、手を出さないで!」
「え!?でもリリーナ、・・・」
「いいから、カタハネ、君に決めた!」
カタハネの戦闘力が知りたい、あたしのサポートなしで、どれくらい戦えるのか、一分間六回も蹴ることが出来るから強いはず。
「カタハネ、ペガサス流星蹴りだ!」
「ヒヒ~ン。」
避けられたか、じゃ、こっちも!
「カタハネ、避けろ!」
「ヒ!ヒヒ~ン!」
喰らった、何で?そう言えば、避ける練習はしなかった。
「リリーナ、やはりあたしが戦う方が・・・」
「まだよ。カタハネ、もう一回ペガサス流星蹴りだ!」
今回も避けだか、まずい、あのゴブリン、頭しか狙わない、まだ喰らった、戦闘不能になった。
リリーナの手元には戦える魔物がいない!リリーナは目の前が真っ暗になった!
おい、何で倒れたカタハネを攻撃するのよ、裁判、反則だ!駄目、カタハネが死んじゃう。
「ごめん、リリーナ、手、出すわ。自由で、マイペースの少女、それは疾風、風の刃と共に敵を切り刻め!ウィンドブレード!」
よし、ゴブリンを倒し、いや、バラバラにした、カタハネ、お願い、死なないで!
死んだ、そんな!先に力をオンして、カタハネのオーラの色をチェックすべきだった!どうしよう、カタハネが死んだら、あたしの戦闘力が・・・
なんちゃって☆★!この六年間、ただ魔物図鑑を読んでいると思った?魔物の弱点、嫌いな匂い、調合レシピも頭に入れているのよ!この森だって、ゴブリンしかいないから、この香水を付ければ安全にこの森から出られる。
「泣かないで、あなたが泣くと、あたしも・・・」
泣いてるの?あたし、おかしいな、ただの道具なのに。
「うぅ、うぅぅ、くすん、うぅ・・・」
「大丈夫よ、さぁ、一緒に新しい魔物を買いに行きましょう。」
うわ、何言っているの?この子は?でも、助かる、あなたが馬鹿で良かった!無神経な言葉ありがとう~これで喧嘩する口実ができた!
「何言ってるの?くすん、カタハネは仲間だよ、買い戻せばいいのような道具みたいに言わないで!くすん、それとも、何?あたしが死んだらまた友達を作ればいいのか?」
「そんなことありません!」
あたしはそうだけどね☆
「所詮、あなたのようないつもヘラヘラしてて、誰とでも仲良く成れる、でも絶対に心を開かない人に、あたしの気持ちを分かるはずない!」
あれ!?何か切れた音がしなかった?
「あの駄馬を殺しましたのは、貴方ではありませんか?わたくしはお金を出すから、もっと優れた魔物を買うと言いましたよね、なのに、貴方は、わたくしを無視して、あの駄馬を買いました。ペガサス流星蹴りって何ですか?ただ両足で立てるだけではありませんか!なのに、貴方が無理矢理戦わせ、死なせました、どうしてわたくしを頼ろうとしないのですか!」
ちょっと、言葉遣いが元に戻ってるけど、それに、こっちに来ないでよ!
「わたくしが貴方の気持ち分からないですって?では、貴方はわたくしの気持ち、分かっておりますか?」
「そんなのどうでもいいよ、蠅の気持ちなんで、知ったことか?鬱陶しんだよ、あなたは!」
「蠅ですって、わたくし、とれ程あなたのことを思っているのを、わか・・・」
「わかんないのよ、そんなの、あたしと関係ないのよ。」
「いいえ、リリーナは優しかったです、覚えていますか?貴方が優しくあたしの傷の手当をしましたではありませんか?」
「それは・・・」
実験結果が知りたいから、言えない、力のこと、知られたら、殺すしか方法がないから。
「あ、もう、うるさい、死んだのはカタハネじゃなくで、てめぇなら良かったのに!」
よし、流石にもうあたしと一緒に居たくなくなっただろう。
「黙れ・・・」
ん?なんか言った?
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
押し倒されて、首絞められた、苦しい!
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
やばい、魔法バリアがあるから、何もできない、死ぬ!力、力で何か出来るのか?あっ、大丈夫みたい、まだ黄色だし。
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
そう言えば、すずしろは昔、ドラマを見た時、考えたことがある、首絞められ時助かる方法。
「あああ!わたくし何でことを!あああ!ああああああ!リリーナぁぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
そう、すずしろが考えた方法、それは、反抗しない、死んだ振りをすること。一般的に、首を絞めるような方法を使うのは、殺人の予定のない衝動的な行動、相手が反抗をやめ、死んだら、自分がしたことに気付き、後悔するのよ。
「リリーナ、お願い、目を開けってください!いや!死なないでください!貴方を失えば、わたくしはどう生きるのですか?」
抱きしめられた、なんがさ、このまま死んだ振りをすれば、アサの本音を聞こえるかもしれない。今凄く大口をあけて空気を吸いたいけど、我慢よ、少しずつ吸うのよ!心臓の音に気付くんな、スタンドがないから、心臓掴まないよ。
「神様、お願いします、うぅぅ、リリーナを、り、うぅぅ、リリーナを助けてください!この命に引き換えでも構いませんから!」
神様はあなたの腕の中にあるけど?でも、酷いこと沢山言ったあたしに、どうしてこんな・・・もう大口をあけて空気を吸いまくているけど、全然気づかない。
「うぅ、さっき、リリーナもこんな気持ちでしたね、い、今分かりましたうぅぅ、あああああぁぁぁっ・・・うわぁぁぁぁ!くすん、うぅぅぅ・・・・」
この辺にやめるか、何かさ、信じてもいい気がしてきた、もう一度、信じてみるか。
「そうですわ、人工呼吸をすれば!」
え!?
リリーナが遂にアサのことを信じました、これから、ゆりゆりの展開、期待できます?
リリーナが言っていた通り、正しいことをすれば必ず良い結果になるとは限りません。例えば、Aを選べば95%の確率で成功、Bを選べば5%、きっとAが正しい選択なんでしょう、でも、Aを選んだ人の中でも失敗した人がいます、では、失敗した人は間違い選択をしたのか?
この世の中に、理不尽なことが一杯あります、絶対正しい選択何でありません、あたし達ができるのはただ一番いい選択を選ぶこと、どんな結果ななろうと、後悔しないこと、できるだけ未来を予想すること、失敗した未来のことを予想し、準備をすること、それと、他人のせいにしないこと。
他人のせいにしないのはいい人になりたいからじゃないよ、他人のせいにする人は反省しない、つまり、この失敗からなにも学ばない、進歩もしないからですよ。