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ピースフルケルベロス編 第4話 命名でございますか?

私って、流されやすいのかな……。なんか魔界に来てからはいいように使われてるような気がしなくもない。

 「よくぞ来てくれた。さあ、共に今日の主役を歓迎しようではないか。魔界と人間界の未来を誰よりも憂い、架け橋となってくれた。何より、私達のお互いへの偏見を捨てさせることに尽力し、この戦争を止めるために組織の結成を提案した。この会議の立役者に敬意を表して、盛大な拍手を迎えよ」

 もう帰りたい……。

 「リリーナちゃん待ってたよ」

 勇者2人、アサ、獣人数人、桜子、ソニア、セレン、大佐、私と面識のない魔人も割といる。

 「その前に。リリーナには出自を明かしてもらうか」

 あっ!

 「リリーナには本当に感謝している。が、リリーナのことを知らない、まだ信用してない魔人もいるんだ」

 「わかりました」

 いつかこんな日が来るとは分かっていた。もちろん答えは予め用意した。

 「いつだったかな、ある日女性の声が聞こえました。魔界に行ってクネス・スネークという魔人に会えって。それが私の運命だって。なので、私は魔法学園を卒業したあと友達のアサと魔界を目指す旅を始めました。冒険者になってお金も稼いて旅費にしながら魔界についた」

 「女性の声……もしかして女神様の声?」

 「名乗ってないので女神様かどうかは分かりかねます」

 前世のことは流石に話せない。こればかりは……。

 「きっとそうだよ! リリーナちゃんはやはり天の使い、天使だ!」

 天使? ペテン師の間違いなんじゃない?

 「女神様からの恩恵なのかはわかりませんが私は相手の言葉をわかり、相手のわかる言葉を喋られるようになりました」

 「ああ。それで」

 「ええ。私はクネスのの屋敷に着き、その能力を使ってドラコンと友好な関係を築き、魔人になりました」

 「で、スネーク家の養子になって、後は私達の知ってる通りか」

 「ええ」

 「なるほど、女神様か……。なら私達がこう集まってるのも女神様のご意志なのかもしれないな」

 上手く騙せたのかな……? もう嘘をつくのは疲れたけど、仕方……ないよね。きっとみんなのためにもこれはつかなくちゃならない嘘。そう、きっと……。きっとという言葉が便利すぎて嫌いだったけど……。

 「それじゃあみんな揃ったし。会議を始めようじゃないか。まず最初の議題はリーダーを決めることだ。私はリリーナ・スネークを推薦する」

 「は?」

 あっ……。

 「失礼しました。しかしながら、私はリーダーに相応しくありません」

 「そんなことないよ。むしろリリーナが一番リーダーに相応しい。なぜなら、リリーナは人間であり、魔人でもあるから、公平な判断を下せると思う。加えてリリーナはこの組織の結成の立役者だ。何より、みんなはリリーナの意志でここで集めているんだ。そうだな、こうしよう。リリーナがリーダーになることを反対する者は?」

 アサ……桜子……。アサは察してくれて手を上げた。桜子は期待な眼差しをこっちに向けている。こういうところよ。こういうところで差が出るのよ。

 「なら私はここで宣言しよう。ただ今よりこの組織のリーダーはリリーナ・スネークだ! 拍手!」

 はあ……。どうしても逃してくれないのね。

 「では次の議題に移ろう。その前に、リリーナはここに座って。これからリリーナが会議を仕切るのよ」

 「わ、わかりました。次の議題をお聞きしても?」

 「ああ。次の議題はこの組織の名前だ」

 「では議論を始めましょう。誰かいい案ありませんか」

 槍の勇者が手を挙げた。

 「人間魔人連合軍はどうだ」

 「いや、百歩譲ってこのダサい組織名がいいとしても、何故人間魔人なんだ? 何故魔人人間じゃないのか」

 くっだらない議論始まった……。はあ。そういえば昔、魔界と人間界は女神像の胸のサイズとかくっそどうでもいいことで戦争にまで発展した過去があった。やっぱ人間と魔人の共闘は無理なのかな? このままじゃあ会議にならないよ。面倒だな……。

 「ちょっと待ってください。軍という言葉を使いたくありません。私達が目指してることはあくまでもこっちの戦闘力を見せることで戦意を失わせることです。ですので、軍という戦意が高そうな字はあまり使いたくないのです」

 「あくまでも抑止力ってことか」

 「そうです。目立ちすぎると最悪の場合こっちを先に潰すそうとする、なんてことになってしまうことも。あと人間と魔人だけでなく、入れるなら獣人も入れてくださいね」

 「アイちゃん……!」

 そんな嬉しい顔しなくても……。

 「魔人獣人人間にすると長くなるし、順番という問題もあるので、もうちょっとスマートな名前にしたほうがいい」

 「というと?」

 「そうですね。例えば、ほら、旗も作ることになると思います。それで、国旗もそうですし、軍の旗もそう。何か私達を象徴できるものがあって、それを名前にしたらいいと思ってます」

 「花か、動物辺りかな」

 「魔獣もだ」

 「人間、魔人、獣人、3つの種族か。じゃあケルベロスとかは?」

 「ケルベロスか。首3つでそれぞれの種族を象徴する。悪くない案なのだけれど、できればいろんな種族も仲間に入れたいから首3つでは足りたいかもしれない」

 「そこであれよ! 尻尾が蛇だし」

 確かに旗とか言ってたのは私だけど、もっとこうペガサスとかドラゴンとかそういうのをだな。私は、いやよ……。


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