ピースフルケルベロス編 第3話 前 器でございますか?
「……本当に、全部嘘だったのか? じゃあ私は今まで一体何のために?!」
まあでも、私がいなくても普通にライオンズハートは助けに来たし、ロッティのことだからライオンズハートに入ったでしょう。それところか、私が死んだと思ってからこそロッティ強くなったわけだし。……でも、トラウマを植え付けたのは本当のこと。
「本当に申し訳ない」
「謝ってほしいわけじゃない」
「じゃあどうしたいの?」
「私がどんな気持ちで過ごしてきたか、アイ……リリーナちゃんは想像できないだろうね!」
「……」
返す言葉もない……。
「アイちゃんの死顔が脳にこびりついて! あの時! あの時のことをっ! 思い出すとはらわたが煮えくり返る思いがが止まらなくて! 人間が憎くて、憎くて! ……にくく、て……っ」
これが私の罪……。あの時、私は罪悪感すら覚えなかった。一仕事終えた清々しい気分だった。ロッティのことをこんなにも傷つけたと言うのに。きっと私が知らないだけで今までも何人も傷つけた。特にアサ。アサには今まで本当に、沢山悪いことをした。もっとアサのことを大事にしないと。
「……」
謝る言葉しか頭に浮かんでこない。でも謝ったところでもっと怒らせるだけ。
「わざと私の目の前に殺された? あの襲撃もアイちゃんが仕組んだことなの?」
「違う。襲撃したのは公爵の手下で、私も殺されかけた。あの時はクローンを出すしか生き残る術がなかった」
ロッティは暫く黙って、クソデカいため息をした。
「事情は分かった。仕方なかったんだね」
「は、はぁーーっ!? 許しちゃうの? そんな簡単に?」
「結局魔界が私の国を戦争で負かして、変えたからね。それもきっとリリーナちゃんのおかけだと思ってたから」
「それでもっ! 私がロッティにトラウマを植え付けたことに変わりはない!」
「でもね、アイちゃんが本当のことを教えてくれる前に、私はアイちゃんのことが大好きだった。急にそんなこと言われても、すぐにアイちゃんのことを嫌いになんてならないよ。何より、ずっと無表情だったアイちゃんにこんな悲しい顔されたら、アイちゃんのことを責めないよ」
「はぁ? バッカじゃないの? そんなだから私みたいな下劣なやつに騙されるのよ!」
「……あっ、そっか! アイちゃんは罰されたいのね」
「……っ」
罰されたい? 私が? でもそうかもしれない。勇者達の器のデカさに自分がいかに卑劣な人間だと再認識させられて、罰を求めていたのか……。
「……疲れた。お家に帰る」
なんか何もかもどうでも良くなった。でも勇者の2人と和解したし、あとのことはみんなに任せていいでしょ。あーあ、暫く立て直せそうにないや。
いつも読んでくださて誠におめでとう存じます。aiにイラストを描かせてみました。お団子で角を隠す必要は特にありませんが鹿っぽいドラゴンの角を描かせるのは難しかったのでそうしました。少しでもリリーナの魅力を伝えられたら嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。




