ピースフルケルベロス編 第2話 後 罰でございますか?
本当はロッティに真実を打ち明ける必要はないの……。何故かと言うと、私は上手いことにロッティを騙せたから。だから私がロッティを騙したことは絶対にバレない。むしろロッティに話した方色々と都合が悪い。なのに……。
話したい。私は……多分だけど、楽になりたいの、罪悪感から逃げたいのかもしれない。でも、話ちゃダメ。話しちゃダメって分かってる! いや、ダメ!
「ロッティ、私は……」
「どうしたの? とても辛そうな顔してるよ」
「あのね」
やめるのよ! 言っちゃダメ!
「私は……。ねぇ、またアイのこと、お覚えてる?」
「もちろん! 忘れることなんてできないよ」
「忘れた方がいいと思うよ。そいつ嘘付きのクズだから」
「……っ! アイちゃんと同じ顔してるからって言っていいことと言っちゃダメなことってあるのよ! お前はアイちゃんの何かをわかるって言うのよ!」
「何かって? 何もかもだ。だって、私がアイなのだから」
あーあ。言っちゃった。
「……っ。いや、そんなはず……だって、お、お前、アイちゃんじゃないって……」
「言ったでしょ。私は嘘付きだと。ロッティは昔いじめられて、尻尾を切り落とされかけたことがある、でしょ?」
全て話したら、罰せられたら楽になれる?
「……本当にアイちゃん、なの?」
「違うよ?」
それで全てが許され、昔みんなに愛されるすずしろに戻れると、本気で思ってるの?
「え?」
「先言ったことも嘘。アイは嘘付きじゃない。だって、アイの存在そのものが嘘なのだから。アイなんて最初から存在してなかったの!」
勇者二人に許されて自分のこといい人だと勘違いでもしたの?
「ど、どう言うこと!? だって……っ! ちゃんと説明して!」
「私は最初からライオンズハートに潜入するためにあなた達と接触したの。あの豚も私が、そう、服従させたから酷いことはされてないよ。全部演技だったの。私が話した私の過去も全部嘘よ」
あー……これでライオンズハートは味方になってくれなくなった。私は……どこまでも自分勝手で、最低な女だ。前世なことを言い訳にして他人と距離を置いて、傷つける……。
「でも、アイちゃんは私の目の前で人間に殺された! 私はアイちゃんを守れなかった! あれって……?」
「あー、あれはね、クローンだよ」
「クローン? クローンって何?」
「私が生み出した分身だよ」
「分身? そんなこともできるの?」
「ええ。分身は自分の意志を持ってるから身代わりぐらいしか使えないけど」
切り札もバラした。何やってるのよ、私……。
「これで分かったでしょ。アイっていうやつがどれほど卑劣で救いようがないゲスなのか」




