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戦争阻止編 第12話 後 成分:嘘100%でございますか?

 相手は手練れ、いや、弓の達人と言っていい。死んだと思わせたとしても、簡単に接近を許すはずがない。目がいいでしょうから無闇に近付くと返り討ちに遭ってしまうかもしれない。何かカモフラージュを用意しなければ……。

 そうだ。動物の死体を蘇らせて死体の陰に隠れよう。動物なら魔物よりも魔法バリアが薄いし、私でも殺せる。そうだな、馬……はないか。森だし、鹿でも探そう。それと、草や葉っぱで迷彩を作ろう。

 「きゃっ!?」

 ……びっくりした! え、何? 雷? 雷苦手だけど……。あれ? 雲ないのにどうして雷が? いや、今そんなことを考える暇はない。急がなければ……。


 鹿の陰に隠れながらエマの後ろに回り込む……つもりだったけど、エマの姿が見つからず、戦いはすでに終わったようだ。木々が燃え、地が焦がれ、そこにいるのは私の死体を抱き抱えながら泣き叫んでるアサの姿だった。

 「アサ、どうしたの? 何があった?」

 「リリーナが! リリーナがーーっ!」

 「私が?」

 「え!? えーーーっ!? リリー……ナ? どうして?」

 「あれは私のクローンなんだけど。覚えてる? アサの叔母が私に持たせた魔法石で作ったの」

 「あっ。あーーっ! でもそれならそうと事前に教えてくださいよ!」

 「ごめん。それより何があったの? 勇者の2人は? 敵は?」

 「リリーナが殺されたと思って、激昂して雷属性の最上級魔法を詠唱して敵を一掃した。勇者の2人は……巻き込まれたと思う。ヴァン先輩は……詠唱に入ると風の壁が解除してしまう。ヴァン先輩は私を庇って首刎ねられた。多分そこの消し炭のいずれが……」

 「あっ……」

 やっちゃった。アサ私好きすぎ問題が……。とりあえず勇者が生きてるかを確認しないと。

 事前運チェックしたから生きてはいるとは思う。あっ、でもヴァン先輩死んだよね。とにかく、運が見える能力でみんなを探してみるしかない。

 吹き飛ばされたけど生きてた。でも火傷がひどい。アサが持ってるポーションを飲ませてなんとか一命を取り留めた。ヴァンは首だけになったけど、死んでは……えーと、アンデットとして生きてる。


 こうして、私たちは生き延びて、勇者2人が仲間になってくれた。けれど、偽名、クローン、死霊術……。勇者が私への不信感を拭える必要が出てきた。

 剣の勇者は私の僕になる前のヴァン先輩から私の素性を聞き出したと考えるべきだ。嘘ばかりつくツケが回ってきたというわけだ。これから人間、魔人、獣人の混ざる会議が開催される。私は種族間の架け橋になる。私は獣人ではなく、人間をやめ、魔人になった。こんな私が、嘘で出来た私が種族間の架け橋になるだなんて……。


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