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戦争阻止編 第12話 前 覚悟でございますか?

 どうする? 何か私にできることはないの? 死霊術が役に立てない時点で私にできることなんて何一つないんじゃないの? あいつらが足元を気にしながら戦えるようになったから氷魔法も役に立たなくなったし。

 でも、今誰が怪我して戦闘力が落ちたら状況が一気に悪くなる。そうなる前になんとかしないと。

 勇者もどきは無理そうだ。私がやれそうなのはあのレンジャーぐらいだ。あいつをやればみんなが勇者もどきに集中できる。そうだね。私程度の魔法じゃああの女の魔法バリアの前では何もできない。真正面から挑んでも勝ち目がない。『あれ』をやるしかないかな。こう考えると相手が女性でよかった。男なら絶対にいやだ。

 あれ? 女ならいいのか? いや、違う、私は……。あ、いや。今は無駄なことを考える場合じゃない。今はあの女を殺すことだけを考えよう……。

ちょっと待って! 殺す? 私、今人を殺そうとしてるの? 自分の手を汚して? 

……呆れた。こんな状況になっても自分のことしか考えていない。早く覚悟を決めるの! 本来ならアサを殺させず、今の体のままで転生できる私が殺すべきだった。なのに、アサに沢山人を殺させた。このままではアサが来世毛虫になってしまうよ。ううん、ゴキブリかも……。

とにかく、絶対にアサと生き延びて、沢山の人と魔人を救って来世また会えるようにするの。

やるの。やらなきゃ! やるのよ!

よし、覚悟は決めた。でも、もう一つ問題がある。『あれ』は最近距離でしか使えないの。どうやって近付くのか。下手に前に出たら頭が打ち抜かれるのが関の山。私が死ねばアサが……。

いや、待ってよ。死ぬ……私が死んだとあの女に思わせれば警戒しなくなるんじゃない?

いいね、それ! でも、アサが……私が死んだと思ったら戦意喪失するかもしれない。あるいは逆上して、味方を巻き込むのも気にせず、敵も牽制せずに最上級魔法を詠唱するかもしれない。

でもやるしかないよね。アサを信じて……信じるって言葉あんまり好きじゃない。無責任だし、人を信じることも怖い。それに、アサが冷静にいられたら、逆にアサにとって私はそれほど重要ではないってことになってしまう。

私は木であの女の視線を切りながらその場から離れ、アサの叔母から貰ったクローンを作れる魔法石を使った。もう二度と使わないって決めたけど……。私のクローンに転生した人、本当にごめんなさい。私のために、死んでください。

私は、クローンにキスをした。

アサ、お願い。冷静にいて。


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