戦争阻止編 第11話 後 汚れた手でございますか?
味方が殺されて、蘇られた時は流石に焦ったけど……所詮魔人の汚らしい魔法、聖なる武器を使えるわけがない。いや、それだけじゃない。聖なる武器を触れただけで手が浄化されたということは、聖なる武器による攻撃を受けると跡形もなく消えるということ。つまり攻撃能力が持たない上に盾にもなれない。こっちは仲間を1人失ったが、選ばれし勇者よりも私達、そう、王選勇者達の方が戦士としての技量が高い。何せこっちは女神様の気まぐれではなく、実力で選んでるんだから。例え武器としての性能が本物の聖なる武器より性能が低くても、実力で補える。それにしてもさすがオリジナルの聖なる武器というべきか。凄まじい切れ味だ。レプリカとは言え、国の総力を挙げ集めるだけ集めた最高の金属と職人で作り上げた最高の武器。岩をも貫く槍なのにオリジナルと数回打ち合っただけで刃こぼれするなんて。オリジナルは一体どんな素材でできているんだ。
「あ、みんなすいません、ちょっとトイレ行ってくる」
「え、リリーナ? あ、うん。いってらっしゃい」
何を呑気に……ふざけてんのか? いや、仲間を捨てて逃げたのか? とはいえ、1人失った今、あの魔人の女を追うためだけに割く戦力はない。あの剣の勇者の仲間の魔術師なかなかやる。魔術師にも関わらず王選勇者の攻撃を捌けている。しかもこっちの射線を切っている。チャーリーも……流石は私の相棒と言うべきか、こっちの手の内を知り尽くしている。剣の勇者もこっちを注意を払いながら戦っている。一番訳のわからないのはあの女の魔法使いだ。あの風の壁はなんなんだ? 私の矢じゃあ魔法バリアにすら届かない。しかもまるで魔力が無限にあるかのように無詠唱で中級呪文使ってくる。こんな魔法使いが無名であるはずがない。一体どう言うことだ? 私達に魔法石の技術を提供してくれた魔法の国が何を企んでいるとでも言うのか?
あれ? あの魔人の女、逃げたわけじゃなかったのか。こいつさえいなければ……! まあ、今更になってはもう……。それより、あの魔法使いの女は気づいていない。今ならあの女をやれる! 女を生け捕りにすると言っていたが、あいつらは予想以上に強かった。特にあの魔人の女。1人やられたきっかけを作ったのはこいつだ。変な魔法で滑られた。やれる時やるべきだ。
全部あんたのせいだ! いや、落ち着け……。弓矢は心を映す鏡。冷静に狙いを定めないと当たりはしない。感謝しよう。おかげて私は理想の勇者を目指すようになった。お礼に眉間に矢をくれてやるよ!
「え? うそでしょ! リリーーナーーー! あぁーーー……あっ……」




