戦争阻止編 第10話 後 覚悟でございますか?
「ここは任せるよ、アサ」
「う、うん、任せて」
「なんてこと言うと思ったか! 私がアサを捨てコマにするわけないじゃない!」
「リ、リリーナっ!」
そんな嬉しそうな顔しないでよ全く……もし神様が私を見ているのなら相当意地が悪い。前世の記憶を持つ、もう自分より他人を優先しないと決めた私を、自分の意思でアサのために死ぬより苦しい目に遭う道を選ばせるなんて。ううん、それだけじゃない。私が逃げらなくてアサと一緒に捕まったらアサはアイの気持ちを味わうことになる。大事な人を守るために自分を犠牲にして、それでも報われないという絶望を知ってる私が、その絶望をアサに味わわせるなんて……絶対にそうはさせない! そのためにも、私は!
そう、私はアサと共に捕まえられるために残ったんじゃない! いつまでもアサばかり戦わせるわけにもいかない!
「私も戦うから、ユアンさん、ヴァンさん、チャーリーさん、力を貸してください」
「分かった、リリーナちゃん」
「ああ、いいぜ、リリアちゃん」
「「え?」」
あっ……。偽名使ったことがバレた……。
「いや、リリーナ弱いから戦っちゃダメ!」
「私にも私しか出来ないことがある。とにかく皆戦いに集中して」
今一番の問題は前衛が圧倒的に足りないと言うこと。アサはともかく、ヴァンは魔法使いなのに杖で戦ってる。アサのように無詠唱で下級、中級魔法を唱えるわけではないのね。魔法使いにも格差があるってわけか。とにかく、私がなんとかしてこの状況を打開しなければ。
私は氷の魔法が使える。でもこの世界の人は魔法バリアというものがあって、例え相手の急所を狙って氷柱とかを飛ばしても、魔法の威力が相手の魔法バリアを貫通するほどの威力がなければ、相手にダメージを与えることは出来ない。例えば相手の魔力の量を50にし、強度10の魔法バリアを作れるとして、威力10以下の魔法は相手にダメージを与えることはできず、5回を攻撃して、魔力を0にしなければダメージを与えることは出来ない。アサみたいな強い魔術師なら無詠唱で威力15の魔法を出せる。そうすることで強度10の魔法バリアを壊し、尚且つ5のダメージを与えられる。でも私はそれが出来ない。それでも、私には私なりの戦え方がある。
魔法の世界だからかな? 人の戦い方というか、動きが違うのよ。例えば兜割りを大ジャンプでするとか、バックステップで回避できる攻撃をバク転で回避するとか。そういう隙の多い戦い方するんだ。勇者を憧れてるこいつらは特に。だから、必殺っ! 着地狩りっ!