戦争阻止編 第5話 後 痛い目に、でございますか?
ジリ貧だ。ガードが壁を壊し、アサが土魔法で壁を塞ぐ。その繰り返し。私が出来ることは、なくはない……けど。……自分は慎重な方だと思ったけど。やって見ようしかない。
アサに負担かけてしまうけど、この際だから仕方ない。こっそり、こっそり……。
囁き声で詠唱したけど、こっちに気づいて攻撃仕掛けてきた。その同時にトーマスがまた逃げようとした。アサは私を守ることを優先した。詠唱中だけど仕方ない……。
「アサ、逃がしじゃダメよ」
「でも……」
「いいからっ!」
「分かった」
詠唱再開してたら肩がすごく痛くて、肩を見てみたら何かが刺さってる。
「リリーナっ!」
痛いけど、ものすごく痛いけど、詠唱を中止するわけにもいかない。
まず一人目。ホランの自爆に巻き込まれたけど、肢体欠損してない。吹き飛ばされ、頭がへこんでたけど。
「お前は……っ……アサを、援護して」
「いや、まずはリリーナを」
ゾンビは私の命令しか聞かないから大丈夫。
痛い……いや、痛いからこそ、早く二人目を……。でも、ホランに捕まえられ、ゼロ距離で自爆巻き込まれたやつは肉片になったし。欠損した死体しか……。とりあえず手より足だ。移動できなけらば役に立たない。
「あいつ、まさか! だからホランが! まさかこの私を!?」
バレた……。でも、生かすつもり、ないから。
ゴブリンの時のことを思い出した。そう、死にかけてるのはこれが初めてじゃない。今でも気を失いそうだ。ダメ、ここが正念場だ。喉元を過ぎれば熱さを忘れる。明日のこの時間になったら私は自分の部屋でコロコロしてるでしょ。
二人目起こした。
「トーマスを……コロ……して」
ダメ……意識が……。もう一人だけ……でも……。
「起きた、よかったぁー」
「アサ……トーマスは?」
アサはトーマスの死体に指を差した。
「さすがはアサだ。ありがとう」
「ううん。リリーナが無事でよかった」
目尻に涙を溜めてるアサだった。
「アサ、ありがとう。なんか、アサまで危険な目に」
「リリーナ、今更何言ってんの?」
「だね。私とアサの間、こういう言葉は要らなかったね。でも言わせて。本当に助かった」
「リリーナぁ〜」
献身的と言ってもいい。恋って一体なんだ。ここまで人をバカに出来るのか。そうか、アサは私と違って痛い目にあったことないんだ。だから、こんなアホな真似ができる。いっそアサに痛い目に……。
私って……私って人は……。とうして、こんな……。
でも、とりあえず今はトーマスを使って戦争を止めることだ。




