戦争阻止編 第5話 前 一般人ございますか?
困ったね……。失敗したか。ホーラン、すまない。プランbで行くしかなさそう。
「おい、なんの真似だ。今良いところだぞ」
「トーマス様、誰かが危険な魔法を発動したようだ。微弱な魔力が漂っている」
アサとブレスの出力をコントロールする特訓してた。アサも感じられないようにブレスの出力抑えたのに……。まあ、今そんなこと考えても意味ない。
「本当か? 誰だ? 魔法を使ったやつは!」
「それが、把握してなくて」
特訓の成果は全くなかったじゃないみたいけど、意味がない。なぜかと言うと、みんなが私を見ってるからだ。そう、私はここでの唯一の新顔。疑うならもちろん私。
「誤解です。娘はそんなことしません」
「縛って私の部屋に連れて行って」
「トーマス様。ガードのみんな様ちょっと待って」
ありがとう、ホーラン。あなたの犠牲を無駄にしないよ。
ホーランはガート達の襟を掴んで……。
「娘に手を出すな!」
早くホーランから距離を取らないと。さよなら、ホーラン、世話になった。
ポーランはガードたちを巻き込んで仕込んだ魔法石で自爆した。私はすぐ外で待機しているアサを通信石で呼んだ。
アサだけじゃない。魔人も何人ついてる。運チェック……赤黒くないけど……。これは良くないな。けど、これがプランbだ。とりあえずあいつらの運を奪ってアサに。これ以上私が出来ることはない。気配を消してあいつらが開けた穴から外に出よう。でも観戦はする。相棒! 頑張れ! 私がついてます!とでも言った方がいいのか? って、どっかの受付ジョーじゃないんだからぁ……。でも、残るよ。
魔人たちは返り討ちにあって瞬殺された。暗殺が本職だからね。戦闘に向いてる魔人を人間界に連れてくるのは難しいだから仕方ない。でもせめて時間は稼いで欲しかった。
厳しいなぁ。何が厳しいかと言うと、絶対にトーマスを逃がしてはいけないことと人数の差。相手は大陸一のお金持ちが雇ったガードだ。ガードはトーマスを優先に逃がそうとする。それをアサが止めなければならない。しかも5対1。それに、アサは魔法使い。どっちかっていうと後衛だ。元々一人で戦わせるべきじゃないのよ。アサは無詠唱で中級以下の魔法と、火属性上級魔法相当な火球ブレスを出す魔法石で戦ってる。最上級魔法を使えば簡単に勝てるけど、そうすると死体も残らなくなるし、これ一応暗殺だから、そんな大規模な魔法
を使うとトーマスが誰かに襲われて性格が変わったということになってしまう。そもそも詠唱する暇がない。
今考えたらこの作戦は本当に穴だらけ。でも、私って、一般人だし……。一般人が考えた作戦なんてそんなものよ。私、どうしてここにいるんでしょ……。
番外編も投稿したので、是非読んでくださいね。




