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戦争阻止編 第三話 後 林檎の木ございますか?

 「お誕生日おめでとう、ホランさん」

 「初めまして、リリーナ様。私めにできることがありましたら何なりとお申し付けください」

 「君のその体の元の持ち主の奥さんはどうするつもり? ゾンビになったことがバレたら面倒なことになるし」

 「かしこまりました。直ちに始末して、亡骸をリリーナ様に献上させて頂きます」

 「あー、そうなるのね。えーと、一応聞くけど、他に方法はないのか」

 「あるにはあるのですが、殺すのは一番確実で手っ取り早いかと思います」

 それは、そうだけど。そう……だね。ホラン夫人は私にとってゲームの中のNPCとなんら変わりもない。ホランさんにホラン夫人を殺すと命じても、多分明日になったら忘れてしまう。夢に出る……こともない。何せ睡眠魔法を使ってから夢を見ることは一度もなかったから。

 「実家とかに預かるとかできない?」

 「ご命令とあらば」

 実家か……突然夫に実家に送られ、養子とも引き離されてしまったら、気にならないわけないか。それでこっそり戻ったりしたら……。

 「うん、そうして」

 「かしこまりました」

 「あっ、行かないで。聞きたいことがあるの」

 「はい。何なりと」

 「君たちのあのお金持ち集団に用があるの。ただ目立ちしたくない。わかるね」

 「承知いたしました」

 「それと、あの組織はなんのために戦争を引き起こしたのを教えて」

 「特に理由と言える動機はありません。強いて言えばできるから、です。私は起業家ですからそこまで他の人の感覚とズレていませんが、他の構成員は人を人と思っていない人だらけです」

 なるほど。一番タチ悪いやつだね。でもわからなくもない。私もさ、アイだった時初めて卵を産めなくなった鶏を料理しようとした時、鶏がかわいそうと思った。殺したくなかった。でも、妹や弟達に肉食わせようとして、仕方なくやったんだけど、二回目は鶏の悲鳴や、断末魔を聞いても、「早く美味しくなーれ!」程度しか思わなかった。それが「家畜」というものだ。

 大自然では生きれない、人間から餌をもらう代わりに、人間のために働いたり、毛とかを提供したりする。魔法石から離れなれない、魔法石で生活を豊かにするためにお金を沢山使う。……家畜じゃん。私は家畜という言葉は特定な動物を指す言葉ではなく、奪うために与えられる、このように扱われてるのを指す言葉だと思う。

 食ったパンの枚数は言えてると思う。死亡人数なんてただの数字でしかない。戦死者全員の名前を覚えてると言い張るエレガントな人もいるけどね。

 あいつらが悪で私は正義なんて言わないよ。ただ、ブレイク公爵にも同じことを言った。仏教が言ってる因果とかじゃないけど、例えば、林檎の木を植えたとして、林檎が実るか、何かがあって収穫できないことがあっても、バナナが実ることは決してあり得ない。

 戦争なんて人間が人間してる程度しか思ってないけど、幸せな日々をとり戻るために、あいつらの林檎の木を倒しに行こうか。


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