戦争阻止編 第三話 前 説得ございますか?
「で、今はその子に内緒して実の親を探してるわけ。見つける前に公爵邸に預かってるわけよ。で、ホランをゾンビにして、この戦争の元凶との接触が成功した。なので、しばらく戻れないの」
「また潜入? 危ないよ。すずのママに潜入させれば?」
「あっ。桜子に詳しく話てなかったっけ。あのね、アサは貴族のお嬢様で本来であれば私と旅に出られないんだ。で、結局アサは手配され、有名になったわけ。あらゆる情報を握ってる奴らならきっとアサのことを知っているはずよ」
ちっ……あの役立たずめ。
「ゾンビに潜入させじゃダメなの?」
「パーティーとかも参加しなければならないからね。ホランはゾンビだし、一応火の魔法石を埋め込んだんだけど、握手とかしたらバレるかもしれないから私がなんとかフォローしないとね。で、そっちは?」
「こっちは……ちょっとうまく行ってないの。セレンさんは魔王の正体を公表したけど、信じない魔人と、それでもいい魔人や、戦争が始まったから魔王という存在を失うわけにはいかない魔人もかなりいるので」
「それは困ったな。最悪の場合、こっち平和条約を結ぶように仕掛けても、魔界側が応じない可能性がある」
「そうだね。すずに頼ってばかりするのは良くないと思うけど……」
「どうして? 頼っていいのよ。私も桜子を頼ってるし」
「あっ……好き」
「もうー。それはそうとして、この件に関して私ができることはなさそうだ。あいつを魔王の体から追い出す方法も分からないし、魔王の座から引きずり下ろす手段もないしね。セレンさんに頑張ってもらうしかないかも」
セレンさんは十分頑張ってると思うけどな。まあ、こっちはこっちで頑張るしかないか。
「スネーク、また例の件か」
「プラント、君だって人間と戦争したいわけじゃないでしょ」
「でも、魔王様のご命令だよ」
「あいつは魔王じゃない! 魔王を乗っ取れただけよ」
「そもそも僕は本物の魔王を知らないし。魔王と対立するより、人間と戦争する方が魔界のためになれる。まあ、どっちもめんどくさいけどね」
「あいつは人間を憎んでるだけだ。魔人か人間が全滅するまで戦争をやめるつもりはない。我々魔界が勝ったとしても多大な対価を払うことになる」
「けど、相手は魔王を討伐しようとしてるんだろう。やつらに魔王を差し出すつもりか?」
ダメだ。口じゃ勝ってない。すず、助けて!




