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戦争阻止編 第二話 偽りの手紙でございますか?

「私の力を借りるって、死霊術が必要なの?」

 「左様です。連中をゾンビに変えれば、すぐに戦争を止めることができる。ですが、連中はこの大陸でも屈指な金持ちで、私兵も持っています。それこそ国家にも匹敵する戦力でございます。また、連中は四六時中護衛がついています。連中は知る人ぞ知る護衛集団、シールドと契約している。そのシールドは優秀で暗殺は難しいでしょう。何より、ホーランをゾンビにする目的の暗殺です。誰にも知らずに暗殺しなくては意味がありません。そうなりますと、ホーランの屋敷に潜入するしかありません。ですが、屋敷には彼が仕掛けた罠があります。特定な魔法石をつけないと罠が作動します」

 「あっ、つまり今回は待機していればいいわけじゃないんだ。何か策があるの?」

 「その通りでございます。連中の情報はずっと集めています。数ヶ月前に、連中の中にホーランという人が子を亡くしました。彼の妻は子のことを忘れられず、心が病んでしまいました。情報によりますと、ホーランは妻のために亡くなった子と似ている子を血眼で探していたとのことです。この前にようやく瓜二つな子を見つけました。養子にするつもりでしたが、例の子は中々承諾してくれないようです。リリーナ様にはその子をゾンビにしてホーランを暗殺させて貰いたいです」

 

 うわー……。流石にこれは……。千載一遇のチャンスだと分かってはいるけど。


「でも、さ。あなたもゾンビだからわかるんでしょ。ゾンビは体温ないし。養子になったらスキンシップは避けられないと思うよ。きっとゾンビだったことがバレてしまう」

 「それに関してはご心配なく。実は私はゾンビになってからずっとゾンビと人間の区別をできなくする研究をしました。水の魔法石で血を体の中に循環させ、火の魔法石で血を温めれば人間のように体温を保つようにになります」

 「でも、公爵がゾンビになってからそんなに経っててないよね。妻もいないから別に誰かと毎日接触してるわけじゃない。公爵も言っていた通り、私の死霊術がバレたらまずいだよね。ならこのようなバレやすい作戦ではなく、もっといい方法をね」

 「とおっしゃいますと?」

 「ちょっと考えさせて」

 「そのような時間がございません。もし例の子が養子の件を承諾したら……」

 「数分! 数分だけ考えさせて」


 確かに、ゾンビにするのは一番手っ取り早い。そもそも、協力させることが出来ても、子供の演技をどれほど信用できるものか。


 「例の子って、何歳?」

 「孤児なので、正確に把握してはいません。十年前教会の前に捨てられたので、推定十歳です」

 孤児……。孤児だったのね。そっかそっか、孤児か。


 「いい方法思いついたよ」

 いい方法ではあるけど、あまり使いたい方法ではない。それでも、殺すよりはマシだと、思う。


 その子の母親を装って手紙を書くという方法だ。そうすれば、協力してくれるはずよ。子供を騙す最低な方法ではあるけど。


「ねぇ、公爵。そのホーランって人はどんな人?」

「派手好きで愛妻家で有名ですね」

「あ、そういうのではなく。偏見ではあるけど、これほどのお金持ちだ。何か悪いことでもしてるんじゃないかなって」

「そうですね。彼は起業家で、魔法石を宝石のように綺麗に加工するだけでなく、トラップ系の魔法石を飾りとするセキュリティシステムを作った第一人者でもあります。私の知る限り、彼は密猟しています」


密猟か……。密猟はとっても悪いことだよ、うん。でも……。


何正当化しようとしてるんだ、私! どんな相手でも、悪いことは悪いことだ。自分はどうしようもないクズだと認めるのよ。くっだらないこと考えないで作戦の内容を考えるのよ。


 作戦はうまく行った。子供はやはり騙されやすい。それが孤児と来たら簡単ってもんんじゃないよ。でも、私が騙してなかったらこの子は新しい親と幸せに暮らせるかもしれない。それに……ホーランを暗殺したら、あの子になんて言えばいいでしょか? 実は全部嘘だった。君の親のことなんて知らない。君を利用しただけなんて……。

 ……恨まれるよね……。かといって騙し通すこともできない。実際あの子の母親を見つけたわけでもないんだから。あるいは公爵に女性1人を用意してあの子の母親にすれば……。公爵なら用意できるとは思うけど……。


 そして、作戦は実行に移った。どうやらあの男の子、クリスはホーランと夫人に怒りと憎しみをぶつけたようだ。あの子を亡くして病んでいるホーラン夫人に。私って最低だ。近年稀にミラー、最低最悪の人間だ私……。それでも、戦争は止めたい。別に人が死ぬのは嫌とか、戦争は悪いこととかではなくて、私なら止められそう……ううん。そういうのでもなく、……みんなと平穏に暮らせたい……。……違うでしょ! ただゲーム感覚でやってるでしょ……。もういいよ。はいはい、私は悪い人です。なら簡単だ。用済みになったらクリスを殺せばいいのだ。


 その後、クリスの魔法石を借りてホーランの暗殺を成功した。


「エマお姉ちゃん、お母さんは?」


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