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戦争阻止編 第一話 孤児

 ブックマーク登録100人になりました。ブックマーク登録してくださった方、いつも応援して下さった方、誤字報告して下さった方、もちろん、この小説を読んでくださった方々に感謝の念が堪えません。これからも精一杯頑張りますのでよろしければ付き合ってくださいね。

 ブックマーク登録数100記念短編も書きましたので是非お読みくださいね〜

 「クリス、ホーラン夫婦が来たよ」

 「……ホーラン夫婦」

 「何回その手紙を見れば気が済むんだ!」

 「分かった。今行くよ」


 僕は捨てられた、教会の前に。教会は僕をこの孤児院に預かった。そして、今や僕をこのホーラン夫婦に売ろうとしている。僕は要らない子、そう思った。

 両親はどういう人なんだろう? どうして僕を捨てたんだろう? 迎えに来てくれるだろうかと、ずっとそんなことばかり考えてた。

 僕はホーラン夫婦に引き取られるんだ。僕はホーラン夫婦の亡くなった息子さんに似ているから。どうせ! ホーラン夫婦もいつか僕を捨てるんだ。だから、全く期待しなかった。でも大人の言うことは逆らえない。どうせどこに行っても同じだ。僕の居場所なんてどこにもいないんだ。

 そんな僕を変えたのは一通の手紙だった。

 

 「こんにちは、ホーランさん、ホーラン夫人」

 「クリス! ようやくうちに来る気になったか?」

 「うん。行ってもいいよ」


 そう。僕はホーラン夫婦の家でお母さんを探すんだ。お母さんからの手紙がそう書いてあった。

 お母さんは僕を捨てたわけじゃなかったんだ。僕は要らない子じゃなかったんだ。お母さんは記者さんで、悪いものに追われ、捕まえられたんだ。その前に僕を守るために教会に預けっただけ。その悪いものというのが、僕の目の前にいるこのホーラン夫婦。お母さんはホーラン夫婦の屋敷に捕まっている。お母さんは生きてるんだ。手紙を渡してくれたエマお姉ちゃんがそう言ってた。エマお姉ちゃんは人形みたいにすごく綺麗なんだ。でも綺麗すぎてちょっと怖かった。シスター言ってたよ。ああいうの、不気味って言うんだ! 僕知ってるんだぞ!

 とにかく、僕はホーラン家に入ってお母さんを助けるんだ! エマお姉ちゃんが言ってた、ホーラン夫婦の周りには黒い服を着る人達が隠れている。その悪い人がお母さんを攫った犯人だ。見てろ、僕が必ずお母さんを救い出して見せるから。


こうして僕は養子としてホーラン家に入った。

「クリス、これをつけて。絶対外してはいけないのよ。他に何か欲しいものない? お金に困ることはないから欲しいもの何でも言って」

「お母さん」

「……え? クリス、私のことを……」

「お母さんが欲しい」

「私はもうクリスのお母さんなんだよ」

「お前なんかお母さんじゃない! お母さんに酷いことしたくせに! お母さんを返して!」

 僕は力一杯ホーラン夫人を押し倒して尻餅をつかせてやった! ははっ! ざまあみろ! ホーラン夫人はアホみたいに目をパチパチしてた。

「待って、クリスっ!」

 待ってって言われて待つバカがいるか! 


 そして夜、エマお姉ちゃんから貰った通信石で連絡した。

 「こんばんは、クリス君」

 「エマお姉ちゃん! 聞いてよ! 僕今日ホーラン夫人を尻餅つかせてやったんだ!」

 「やるじゃない。でもね、ホーラン夫婦に嫌われて屋敷から追い出されたら、お母さんを救うことができなくなるよ。やりすぎないようにね」

 「う、うん」

 「ところで、クリス君。何をするためにこの屋敷に入ったのをちゃんと覚えてる?」

 「もちろんだ。屋敷に隠されてる赤い魔法石を壊して、お母さんを助けるだろう」

 「そう。ホーラン夫人から何か渡されなかった?」

 「なんか御守りっぽいもの渡されたよ」

 「御守りを外しちゃダメだよ。それがないと屋敷に仕掛けられた罠が作動してしまうの」

 「分かってるよ」


 探検だ。うわー! こんな大きな屋敷で探検できるんだ。赤い石見つけ出して、お母さんを助けるんだ、と思ったけど。ここ、僕が思ってたよりずっと広くて赤い石なんて全然見つからなかった。


 「お母さん何かクリスが嫌がることしたの? お願い。お母さん、クリスと仲良くになりたいの」

 「お前なんか母さんじゃない!」

 僕は手当たり次第でホーラン夫人にものを投げた。

 「坊っちゃまダメです。奥様、大丈夫ですか? あっ、血が……」

 「私は大丈夫だ。それより、クリス、怪我ない?」

 「うっせ! ババァ! うんこ! バカアホドジ間抜け!」


 僕からお母さんを奪ったくせに! 僕が孤児になったのも、ずっと寂しかったのも、全部ホーラン夫婦のせいだ! 許せない! 絶対に許さない! 絶対に赤い石を見つけ出してみせる。そしたら、エマお姉ちゃんが強い人を連れて来て、悪いものを全部やっつける! そしたら僕はお母さんと幸せに暮らせるんだ!


 「エマお姉ちゃん、鍵が掛かって入れない部屋があるんだ」

 「それは困ったね」

 「エマお姉ちゃんの仲間は正義の味方なんだろう。罠くらい突破できないの?」

 「難しいよ。魔法の罠だから目だけで判断するのは難しいよ。作動したら避けられても警備が飛んて来るよ」

 「じゃあ僕のお守り使ってよ。これさえあれば罠は起動しないんだろう」

 「そうね。じゃあ一旦合流しよう。御守りなしで屋敷ウロウロしたら危ないから」

 「うん。分かった」

 「それと、あの鍵掛かった部屋の位置教えて貰える? 大雑把でいいから地図描いて貰える?」

 「任せて!」


 エマお姉ちゃん達はうまく行ったらしい。ついに、ついにお母さんに会える!


 「エマお姉ちゃん、お母さんは?」


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