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魔界防衛編 第8話 ゲーム感覚でございます?

この小説はフィクションです。現実とは関係ありません。

 「なんでもはしなくていいよ。お願いというのはね、ほら、私って冒険者でしょ。この前に、ここからそう遠くないゴブリンの巣穴に潜入したけど。どうやらゴブリンたちは戦争の混乱に乗じて村を襲って女を攫う予定があるらしい。数がとっても多く、キングもいるから衛兵だけでは対応できそうにないの。ギルドには報告したけど、ゴブリンに割ける戦力はないとのこと。私も依頼を出せるほどのお金がなくて。実は、私が戻って来たのはお母さんを避難させるためなの。でもお母さんってば、ダーリンが一緒じゃないと嫌だって言うし。ディビットさんお願い、お母さんとおじさんが避難するように説得して欲しいの。ダメ?」

 「話はわかった。もちろんリリーナちゃんの話を信じる。ただ、この件に関して僕ができることはなさそうだ。お父さんのことだからこの村から離れることはまずないから。それこそテコでも動かない。説得なんてしても無駄だ。今からでもお金を集めてギルドに依頼を出した方がまだ現実的だと思う」


 そうなるのね。策士策に溺れるってのはまさにこのことだ。魔人なんてみんなアホだから私が何かの策を出さなければ。たまたまうまくいったからっていい気になっちゃって、適当なことを言えば全て上手く運べると思い込んでいる。兵法も外交も何もわからないくせして策士気取りした結果がこれだ。そもそも私は誰のために戦ってるの? 私はどっちの味方だ? いや、私はどっちの味方でもなかった。ただゲーム感覚で世界をかき回してるだけ。

 今回はギルドにお金を払ってゴブリンを処理してもらっていいでしょ。そもそも、元々は魔物と会話できるかどうか試したかっただけ。ゴブリンがどうなるか知ったことじゃない。


 「そうか……」

 「あ……気を落とさないで……。そうだ。僕もお金を出そう。僕だってゴブリンに攫われた女がどうなるか知ってるから」

 「ありがとう……おにい、ちゃん」

 「おに……もう一回!」

 「言わない!」

 「もう一回! もう一回言ってくれ!」

 「言わないったら言わない」

 

 私は人間? それとも魔人? 私はセレナの娘、アサの恋人、桜子の親友。ううん、セレンも、ロッティも、マモンも、ソニアも。みんなを幸せに……するなんて考えたことないし、そんな立派な人でもない。でも、私は一体何かしたかったの?

 

 でも、それでもこの戦争はやめさせるべきだ。なぜならこの戦争は何も生まないからだ。魔王が人間の国を攻めると命じたのならともかく、魔王が脅威だからって戦争を始めるだなんて。

 もしかしたら私がこの戦争止めるかもしれない。やらない善よりやる偽善。私がどんな動機で、どうなことをしようと、この戦争は止めるべきだ。

 

 人間側はどういうわけで宣戦したのか。魔王ってそんなに怖いの? 昔何したの? 何か私の知らない、いや、戦争を止めるのに知らなくてはならないことがあるはずだ。まあ、まだこっちに残れる時間あるし。ん……あるというものでもないか。

 私のあんまり知らない他の国にも行く必要がありそうだ。人脈はまあ、死霊術でどうにもなる。ただ、今使える戦力としてはブレイク公爵の護衛ゾンビだけ。束になっても勇者に傷ひとつつけなかったあいつらがどこまで役に立つのか。やむえない場合、私が色仕掛けしてあの手を使って……。結婚適齢期15歳であるこの世界では私も十分対象されるとは思うけど……まあ、最終手段ってことで。


 「リリーナ様」

 「ご苦労」


 これでギルドに依頼出せるお金ができた。冒険者も国からお金を受けて戦争に参加するから、ゴブリンで冒険者の戦闘力を削るのもありだし。全く無駄、というわけでもないと思う。


さて、勇者と先輩の居場所も把握できたし、そろそろ出発しようか。もっと仲良くなりたかったけどね。私はお母さんとフランカを選ばなかったけど、母さんは恋人、フランカはお母さんを選んだ。まあ、今生の別れと言うわけでもないし。私が戦争を止めれば済む話だし。とりあえず手紙でも残そうか。


お母さんとフランカには強い冒険者と組んでいるから心配はいらない、お幸せにと書いた。一応ディビットさんにも手紙を書いた。お金の心配ならいらないって伝えたいから「大丈夫、女の子にはお金を稼ぐ手段なんていくらでもあるから」と書くつもりだったけど。流石に、ねぇ。笑えるこその冗談だよ。だから「手持ちのアイテムを売ったから大丈夫だよ。お母さんのことよろしくお願いするよ」と。

それにしても、ディビットって、初対面の女の子の言うことを信じてお金を出そうなんて、どんでもないバカね。私が頂き女子だったらどうするのよ。


あとは勇者と先輩だね。先輩は私のゾンビ第一号だから、何が異常がないか気になる。ゾンビはアンデットだから寿命はないと思うけど。先輩は私のゾンビだから味方してくれるはず。説得はそう難しくないはず。あ〜早く屋敷に戻りたいなあ。うんうん〜!


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