魔界防衛編 第2話 後 同行でございますか?
前回の戦争で習った。切り札のブレスが使えない魔界では私の力は発揮できない。どの道戦争になるなら私が人間界を攻めに行った方がいいかもしれない。
あれ? 敵の狙いは魔王だから魔王を前線に立たせ、人間に殺させれば戦争は……終わらないよね、きっと。だって……。
うわ、びっくりした。え、ちょ、誰だ、いきなりドアを蹴り破ったやつは? すずのお母さん? あ〜、要件はあれか。
「あんたどういうつもりだ? リリーナは戦えないのよ」
「いや、戦いに行くわけじゃないし」
「あんたは何も知らないのね。オスどもがどんな目でリリーナを見るのも知らない! だからこんなこと言えるのね! あんたもリリーナのことが好きなんでしょ! そんなにリリーナを傷物にさせたいわけ?」
確かに、治安のよくないこの世界での女の子1人旅はよくない、とは思うけど……。
「なら護衛つければいい話じゃない。こっちが手配させ……」
「魔人を連れて人間の街に行かせるつもり? 敵国なんだよ! 何考えてるの?」
「なら獣人を……」
「だ! か! ら! あの国と獣人の関係を考えなさい! あの国に獣人と共に行動させ、あのブレイク公爵に会わせるっていうのか? いい加減に認めたらどうなの? 私を同行させるほかないんだって!」
それでも! すずが私以外のやつと……。すずは私のものだ! すずが私以外の人のものになるぐらいならすずを壊したほうがいい。
「考えすぎなんじゃないの? スピードドラゴン車で行けば他人に会えずに済むと思うし」
「甘い! そん楽観的な……もしリリーナが何かがあったら!」
どうしてもすずと一緒に行きたいのね……絶対にそんなことさせないんだから! いや、ちょっと待って……。ふ、ふふ。
「いいよ。すずと同行しても」
「はあ〜リリーナ、よかった!」
「う、うん」
「ただし、条件がある」
「条件?」
「そう。すずと別れて」
「は?」
「だから、すずと同行したいのならすずと別れて」
「ふざけてるのか? あんた、リリーナのことが心配じゃないのか?」
「心配してるよ」
「でしたらくだらないことを……」
「だから! すずママは本当にすずのことを心配してるのなら条件を飲めばいい話じゃない? 結局あんたもすずよりすずとの関係の方が大事なんじゃないの?」
付き合ってる? だったらなんだっていうの? 別れさせれば済む話じゃない?




