魔界防衛編 第1話 後 お菓子作りでございますか?
「うん、結局魔王は魔王を讃え隊を全員処刑したわけ」
「そうだったんだ。面白いね。でもよ、そんな回りくどいことしなくてもさ、私も自由に外に出られるようになったし。不本意ではあるが、私があいつと手を組めば魔王なんざに絶対に負けないのよ。リリーナちゃんの頼みであれば喜んであいつと共に戦おう」
「確かに、ドラゴンさん達なら魔王に遅れは取らないと思う。けれど、あなた達が本気で戦ったら魔界がどうなってしまうのか。それに、魔王にも支持者がいるし、加えてセレンは前回の大戦で多くの魔人から無能だと言われたし。さらに言えば、短期で決着付けられなければ内戦に発展する可能性のあるしね。あ、ドラゴンさん手、あ、いや、尻尾休まないで、ちゃんとかき混ぜてね。疲れないんでしょ」
「確かに疲れはしないけどさ。これ面倒臭いよ。本当に美味しいの?」
「美味しいよ。食べたあときっと手間かけて作ってよかったと思えるはずよ」
「そこまで言うのなら。で、クレスの件はどうなったの?」
「あ……あの件ね。ちゃんと断ったけどさく、あ、いや、クレスは諦めてくれなくてね」
「あぁっはっひゃっひゃっ! ざまあみやがれ! 私を選ばなかった報いだ! 罰だ! いっひゃっひゃっはっ!」
「そういえばそうだったよね。あと。ドラゴンさん、笑い方が下品よ」
「でもよ、リリーナちゃん。2人と付き合えばいいじゃん。ドラゴンとの契約と違って別に2人とでも問題ないだろう」
「それはそうだけど……」
「リリーナちゃんはいい子だもんね。倫理とか気にするんだろう。でもドラゴンである私から言わせればそういうの気にするだけ無意味だよ。どの道クレスが諦めなければ両方とも傷つけてしまうだろう? あの人間もリリーナちゃんが心変わりしないのかって心配すると思うし」
倫理か……そんな大層なことは考えてないよ。私、そんな立派な人間でもないし。でも……。
「ドラゴンさん、人の心がちゃんと分かってるのね。ちょっと意外だわ」
「し、失礼な!」
「あ、ごめん」
あとは氷魔法で作った氷で冷やしてしまえば完成、と。
「美味しい?」
「うん! うんうん! 何これ?」
「これはアイスクリームっていうのよ」
角が体に馴染んで氷魔法が使えるようになってからずっと作ってみたかった。死霊術なら角の膨大な魔力ですぐ使えるけど、氷魔法は時間を掛けて体の中の魔法石で氷の魔力に変換する必要がある。
あれ? 通信石が鳴った。誰でしょ?
「もしもし」
「リリーナ様、大変です」
この声は、ブレイク公爵?
「各国が魔王討伐するために連合しました」




