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魔王覚醒編 第12話 一番愛してくれる人でございますか?

  「すず、大変だ!」

 「ん? 桜子、どうしたの〜?」

 「魔王は魔王様を讃え隊の幹部を全員公開処刑にした! どどど、どうしよう! ソニアちゃん大丈夫?」

 知ってた。

 「大丈夫よ、とりあえずもちつけ。変装させたし、ソニアは仕事終わってたらすぐ戻ってきたよ」

 「そっか。でも、魔王を讃え隊が潰された。それじゃあ魔王を貶めないよ……すず、どうしよう?」

 「桜子勘違いしてるよ」

 「勘違い?」

 「そう。魔王は誰を味方にしたがると思う?」

 「えーと、貴族?」

 「それもある。一言で言えば強者。セレンさんが言ったんじゃない? 魔王の目標は人間と戦争して滅ぼすこと。でも、今回の件でその強者達の信頼を失うことになった。知ってる? 今魔王は自分の配下を散々利用したあげく公開処刑にした暴君だと思われてるよ。一部の弱い魔人の支持者を得たけど、責任を配下に押し付けたとの噂も流したよ」

 「そうだったのか。全てすずの計画通りだったというわけか」

 「それは流石に買い被りすぎだよ。正直最初はまた演説するじゃないかって予想したけど。思ってたよりバカで助かった。ま、これぐらいで魔王を引きずり下ろせるとは思ってないけど、私が出来るのはここまでだ。魔王に目つけられたら嫌だし」

 「そうね。すずに危ない目に合わせるわけにはいかないもんね。分かった、あとは私達3人に任せて」

 と言っても、魔王を戦争出来なくさせたからもう十分なんじゃない?

 「ということは、すずは暇になった?」

 「え?」

 「暇なんだね!」

 「うん、まあ」

 「あのね、前はずっとそばにいてっていたけど、さ……でもやっぱり、私、諦めたくないっ!」

 はあー。まあ、準備してないわけでもないけどさ。

 「分かった。で、どうする?」

 「あの……ね。もう一度ちゃんと選んでほしい。すずへの気持ちなら誰にも負けないと自負してる。家を捨ててすずについてきたと言ってたけど、私も同じ立場なら同じことをしたはずよ! 信じてください! 私はすずが大好きだ。すず以外の人とともに過ごすなんてありえない」

 

 必殺技を使うしかないのかな。仕方ない。

 「桜子の気持ちはよく分かった。じゃあ、仮に私が桜子と付き合うことになったとして、桜子はとっても魅力的な人に告白されたら、桜子はどうする?」

 「もちろん断るよ! すずに一筋なんだから!」

 「うん、私も桜子と同じ意見よ。桜子はとっても魅力的で私にとってかけがえのない人だよ。桜子はアサと同じことをしてくれると信じてる。でも……」

 「ちょっ……いやいやいや! それはずるいよ! というよりその質問正解あるの?」

 ないよ。だから必殺技なんだよ。

 「あっ、でもすず言ったよね。すずは誰にも好きになれないって」

 「誰に対しても恋愛感情が湧いてこないって言ってた。私はね、観客なの。自分はどこにも存在してない。生きてるというより、映画を見てる、ゲームやってるみたいな気分で生きてるの」

 転生したあとは特に。


 「……でも、すずママへの気持ちは別に恋愛感情じゃないでしょ」

 「そうなるけど、私はすごく助けて貰っただけでなく、アサに色々ひどいことをしたし」

 「ひどいことって?」

 「……」

 「すずには言ってなかったよね」

 「ん? 何を?」

 「実はね。私、佐倉桜子はすずを助けるために死んだよ」

 「どういうこと?」

 「あいつらはすずをいじめようとしたのよ」

 「……そう、だったのね」

 あっ、これ詰んでない? どうしよう? 魔王なんかよりずっと面倒臭い。

 「……他に何か私が出来ることない? なんでも……はしないけど」

 「とりあえず、すずママと一旦別れてもう一回ちゃんと考えてから誰と付き合うのかを決めてほしい」

 「それは、出来ない。私はもうアサを傷付けたくない」

 うわー、よく言えたものね、私。

 「私、直接にすずママと話に行く」

 「あ、ちょっと。お願いだからやめて!」

 桜子をは私の手首を掴んでアサのところに連れていた。ややこしいことになってしまった。けど、アサと別れるかもしれないと思う自分がいたら。


 「すずのお母さん! 話がある!」

 「桜子……とリリーナ、どうしたの?」

 「すずのお母さん、率直に言う、すずと別れてほしい」

 「絶対いや!!! ありえない! リリーナ、まさか心変わりしたわけじゃないよね」

 怖い怖い怖い!

 「ううん、してない」

 全力て首を振った! 桜子に悪いなのかしら?

 「そう? つまりかわいいリリーナはこいつに迫られて困っているわけか」

 うわー、アサの笑顔超怖いよ。漫画ならゴゴゴーって効果音ありそう。

 「すずはあなたに恋愛感情を一切持ち合わせていないって言ったよ」

 ちょっ、桜子、お前……。

 「リリーナ……そんなの知ってるよ! それでもリリーナは私と付き合ってくれた。私にキスした。あんたは知らないけどリリーナは最初は心を閉ざしてた。今は恋愛感情がないとしても、いずれ芽生えてくると信じてる! ううん、そうさせる! そもそも、リリーナは貴女に恋愛感情を持ってるのか? どうなの? 答えてみて!」

 「それは……でもあんたは私より早くすずと再会しただけ! すずへの想いならあんたにも誰にも負けないんだから」

 そんなことないよ。この世で一番私を愛してくれるのは私自身なんだから。


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