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魔王覚醒編 第11話 デモでございますか?

 難しい任務だ。私が上手くお勤めを果たせるでしょうか。いや、リリーナ様が与えてくださった大事な任務だ。頑張らないとね。

 任務内容は二つの組織を作ること。まずは魔王を崇める狂信者集団を作る。リリーナ様は豹型獣人の協力者から力を持って尚且つ力のない魔人を見くびる魔人の情報を得た。こういった魔人を束れて、新しい魔王の名を語って、弱者イジメさせて、魔王の名を貶すのが私の役目。


 リリーナ様は反魔王派なんでしょうか。私はまだ魔王のことをよく知らない。けれど、セレン様をハメったのは事実だし。何より、リリーナ様が魔王側につかなかった。私にとって魔王の敵になる理由はこれで十分だ。


 まずは最初のターゲットだ。口実か本心かはわからないけど、「自分の無力さを呪うがいい」が決め台詞らしい。どっちでも構わない。リリーナ様の役に立ってればそれでいい。こいつを力でねじ伏せて、服従させる。私の魔法は戦闘向きではない。そんな私にリリーナ様は魔法石を与えてくださった。それはアサという人間が持ってきたものだ。大佐救出に使うつもりだったけど戦力差がありすぎて使わなかったらしい。そんな魔法石でこいつを倒せるでしょうか? いや、その時はゴースト様もプラント様もいるから無理だということだけで別にこの魔法石が弱いわけではない。

 それにしても、不思議だな。半年前の私は予想もしてないよ、自分が魔物や魔人の体の一部で出来た魔法石を使うことになるとは。いや、リリーナ様のためだ。内臓だろうか、排泄物だろうか喜んで握ってやるんだから。リリーナ様、今何しているんでしょ?

 申し訳程度の変装をした。魔人相手にこの程度で十分だ。


 「力こそ全て、そう思わないのか」

 「ああ? 思うよ。で、どういうつもり? 喧嘩売るつもりか? この俺に?」

 「そうだ。その力、試させてもらうか」


 こういう高圧的な態度を取るのが苦手だ。そもそも自信あるタイプではないのよ。リリーナ様のおっしゃったように、昔の上司を真似すれば良いんだけど。

 それに、私戦闘経験皆無なのよ。一応この魔法石の使い方を聞いたし、練習もしたけど、初めての戦闘だから緊張が止まらないよ! リリーナ様、どうか私に力を!


 この魔法石は魔力を好きな形にでき、身に纏ったり、攻撃使ったりすることが出来る。魔力の質と量でものを言わせる魔法だ。それで、この魔力を蓄える大容量魔力蓄積型魔法石にはスネーク様の魔力が入っている。質量ともに申し分ない。


 「勝負あったね」

 「つ、強い。テメェの勝ちだ。好きにするがいい」

 「お前、新しい魔王のことをどう思っている?」

 「どうって、強いって聞いたけど」

 「そうではなくて、強い魔王様と、腰抜けで弱いセレン。魔界を治めるのはどっちがいいと聞いている」

 「それはもちろん魔王様だろう」

 「そうだ。その通りだ。お前には我が組織に入ってもらう」

 「組織?」

 「そうだ。案ずるな。やることは今までと変わらない。弱いやつを虐めればいい。ただ、魔王様の偉大さを讃えながらだ」

 「魔王を讃えるってお前何者だ?」

 「私は魔王様の配下だ。そしてお前もだ。これを持っていけ」

 「魔力結晶?」

 「ああ、そうだ。今後も魔王様のために励め」

 「分かったよ」

 「それと、魔王様の偉大さを理解でき、弱さは罪だと理解してるやつを仲間として向かいなさい。報酬を与える」

 「いいぜ! 任せろ!」


 魔力結晶をエサに柄の悪い人を扇動し、魔人の強弱格差を広げる。魔人に強さが全てじゃないと気付かせ、更には魔王の名と考え方を貶める。でもこれでいいのかな? 魔王()の仲間を増やすようなことをして……。 


 先の手口で20人ほどを組織に入れた。そしてその20人が沢山魔人を組織に入れた。組織の名前は魔王様を讃え隊。魔王様を讃えながら弱ものをいじめる組織。一ヶ月足らずでその悪名を魔界中に轟いだ。計画を次の段階に進めてもいい頃合いだわ。

 

 セレン様の名で弱者イジメの被害者達を集め、魔王被害者の会を作った。泣きながら強さは全てじゃない、弱い魔人でも魔人権があるはずだと主張する組織だ。


 「みんな、弱さは罪じゃない! 戦闘向けの魔法がなくても、我々はちゃんと魔界に貢献している。我々の尊厳をこのまま魔王に踏み躙られていいのか?」


 こうやって魔王被害者の会にデモを起こさせて、そのデモを魔王様を讃え隊に襲わせる。順調に魔王へのヘイトを集めた。


 魔界であっても、弱い魔人の方が圧倒的に多い。その弱い魔人の多くがセレン様の支持者となった。全てがリリーナ様の計画通りに進めた。

 けれど、そこで魔王が思わぬ行動を取ってしまった。

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