魔王覚醒編 番外編2 悪い方でございますか?
「ねぇ、リリーナ」
「なぁにぃ〜?」
「騙す方と騙される方、どっちが悪いと思う?」
あ〜あれか。まあ、状況によると思う。騙す騙されとは関係ないけど、痴漢と痴漢冤罪詐欺する人もいるし。何も知らない第三者が勝手に判断していいものなのか?
まあ、複雑に考えすぎない場合、騙す方が悪い、騙された方は頭が悪い、ということになるでしょか。他者が聞いて明らかに怪しい儲け話でも、疑い心を持たず、ようやく会社を辞められる、儲けたらどうお金を使うか、そんなことを真っ先に頭に浮かぶ人は流石に同情できないかな。そう考えると、景気が悪いし、会社も社会も悪いことになる。
まあ、一番悪いのは、騙す方が悪いんだから法律は私の味方になる、だから疑う必要がないって思う人だな。でも、そうなると、どっちが悪いなんてどうだってよくなる。重要なのは、どれくらいの人を、どんな人を味方にできるか、かな? 男性も、女性も基本痴漢はみんなしてないって言うし、痴漢行為を働いた男性の方に非があると思うから、痴漢詐欺が成り立つし。あるいは、そう、現代社会では、たとえ侮辱されても、殴った方が悪いと思う人が殆どじゃないかな? 法律には詳しくないけど。
「リリーナ?」
「あ、ごめん、ちょっと考え込んちゃって。そうね、どっちも責任はあると思うけど、悪いのはやはり騙す方だと思う。騙す方と騙される方ではなく、被害者と加害者にしようか」
「被害者と加害者か。そうだね」
「うん、加害者には悪意がある。被害者も悪意があって行動を起した時点で加害者になる。どっちが悪いのを決めるのは悪意の有無だと私は思うよ。まあ、どっちが悪いのはそんなに重要じゃないと思うけどね。ほら、泥棒が、あいつが悪いんだ、あいつがあんな所にお金を置いてたから取ったんだって言っても窃盗罪になるでしょ」
「それはそうだけど、加害者も結局人間なんだよ。人間には欲望があるのよ。誰にだって欲に目が眩む時ってあるでしょ。リリーナ知ってる? 自殺は無意識にすることがあると言われているのよ。ここに飛び降りたらどうなるかって頭をよぎって、気づいたらもう落下してることがあるらしいよ。自分の命に関わることでもコントロールが効かない場合があるのよ。人間って思っているより自分をコントロール出来ていないのよ」
被害者やその家族がこれで納得すると思わないけどね。
「アサ、愛してる」
「な、なに? いきなり」
「う〜そ〜」
「リ、リリーナ?」
「ごめん、アサの話を聞いてたらなんとなく、あ、いや、無意識に嘘をついた」
「も、もうー! 無意識に本音が零れたって言えー!」
「あはは、い〜や〜」
「言えーっ!」




