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魔王覚醒編 第8話 悪役でございますか?

「ソニア様、リリーナ・スネーク様がお見えになります」

 「すぐに行くと伝えて」


 リリーナ様が会いに来てくれた。セレン様の件でしょう。あの方は大変忙しとは思うけど、用事のない時も会いに来てほしかったな。それでも、私を頼ってくれたのは嬉しい。

 「ソニア、お久しぶり」

 「リリーナ様、お久しぶりです」

 「会いたかったよ。最近どう? 一軍団を率いるのは大変そうだけど」

 「はい。私の戦闘力は低いから言うことを聞かせるだけでも大変でしたよ。前の軍団にいた時の経験を生かし、一人ひとり面談を行いました。全員の長所と短所を把握し、お互いの長所を伸ばす、短所をフォローできるようにトリオを組ませました。これでやっと認められた」

 「流石だね、ソニア。活き活きしてる姿を見て安心したよ」

 

 社交辞令だということはわかる。それでも浮かれてしまうの。ダメだな、私。本当にダメだ。私はきっとリリーナ様に逆らえないでしょ。

 「リリーナ様のために私ができることがあれば遠慮なく仰ってください」

 「そうね。セレン様の件だけど」

 「はい」

 やはりその件で来たのか。

 「セレン様は今どこに?」

 「リリーナ様の手紙に書かれた通り人間界に送れました」

でも本当に大丈夫なの? 人間にセレン様を預けてしまって。ううん、リリーナ様なりの考えがあるでしょ。


 「ところでソニアはこの件についてどう思っている?」

 リリーナ様は味方を欲しかっている。なら!

 「私はいつでもリリーナ様の味方です。リリーナ様のお手紙を貰えって本当に嬉しかった。リリーナ様のために私が出来ることならなんでもします」

 「ありがとう。とっても嬉しいわ。でもまずはソニアの意見を聞きたい」

 「犯行の時の映像は記録されていたので、セレン様が魔王様に叛逆行為を行ったのは本当のことなのでしょう。セレン様の気持ちも分からなくもない。イエス! 魔界戦隊ファイブの中でもセレン様はリーダー的なポジションなのですから。長い間に魔界に尽くしてようやく手に入れた地位を、魔王様に譲るのが悔しかったでしょ」

 「あ、あれ? セレン様から何も聞いていないのか」

 「えーと……はい。セレン様は酷く落ごんでいらっしゃったので」

 「うんまあ、やはり皆はそう思ってしまうのね」

 「リリーナ様何かを知っておられますか」

 

 リリーナ様から真実を知った。リリーナ様流石だね! いつも事件の中心にいて他の魔人と違う視点で状況を見極める。

 「セレン様が言うにはあの魔王は本物の魔王ではなく、魔王様の体を乗っ取った魔人らしい。あの映像は捏造で真相を知ってるセレン様の口を封じようと作ったものだ」

 「!?」

 流石に驚いた。でも、魔界の王である魔王様は魔界で一番強い魔人だから魔界の王になれた。中身は別に関係ないのでは? いや、違うな。中身は大事だと言うことはリリーナ様から習ったはずだ。リリーナがセレン様の味方になったからきっと魔王様、いや、魔王は悪でしょ。

 

 「ソニア、貴女は魔界のために働く? それとも魔王のために働く?」

 「私はリリーナ様のために、リリーナ様のだめだけに働く!」

 そう、リリーナ様がいなければ私は今もあいつの下で働いてるでしょ。あの日、リリーナ様は書類を拾ってくれた。私にとってそれは些細なことではなかった。あの時、私がリリーナ様から貰ったの、自信を。他の魔人に話したらちょろいと言われるんでしょねー。でも他人はきっとわからないのだ、毎日怯えながら生きていた私の惨めさを! 自分自身さえ愛せなかった魔人の気持ちを! 魔王様や、セレン様、他の魔人は私のために何をしてくれた? 何一つしなかったっ! そんな魔人に、私が尽くす理由なんて一つでもあるの? 

 

 リリーナ様のために、私は魔界の反逆者にも、何にでもなる。悪役上等だ! 


 「ありがとう〜ソニアがいてくれたら安心するよ」

 

 こうして私はリリーナ様と共にマモン様の執政室を訪ねた。


 「なるほど。リリーナがそう言うのなら信じよう。リリーナの頼みを断りたくはないが、私は軍人であり領主でもある。私の一存で決められることではない。そもそも、リリーナの申してを受け入れてセレン様の味方になったら、それは間違いなく叛逆行為として見される。被害を受けるのは私の領民だ。それに、内戦に発展する可能性も高い。内戦になったら人間は必ず攻めて来る。心苦しいがお力にはなれ無い……」

 一理はある。でも悪いのは偽魔王でしょ! そのまま放って置くわけにもいかないとなぜわからないのだ! 凡愚は黙ってリリーナ様の言う通りにすればいいのよ! リリーナ様ならきっと素晴らしい作戦を考えて余裕に魔王と人間を同時に対処出来るはず。

 「内戦にはならないよ」

 「何を根拠に?」

 「私がそうさせないからよ。まあ、よく聞いてくださいな〜」


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