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本編 第3話  障碍でございますか?

 ヒモオ事件から、また三年か経ち、私は六歳になった。いよいよ待ち望でた魔法学校に入学することになった。


 そう、ついに私は、魔法使いになれる。


 まずはダイアゴン横丁に杖とフクロウを買わなくちゃ!


「何言ってるの?この子、なんでフクロウが必要なの? 寮はペット禁止よ。杖も配給品だし、それに、ダイアゴン横丁って、何処?」


 え!?嘘っ!?だって、ここは、ハリーポッターの世界のはず!


 いやいやいや、今から否定するのはまだ早い、まだ9と3/4番線が!


「だから何言ってるの? そんな駅聞いたことないし、学院は駅より近いわよ」


 違った!ここはハリーポッターの世界じゃなかった!!


 でもまあ、魔法はちゃんとあるみたいだし。ハリーポッターだって小説、オリジナルな設定もあるはずよ!


 期待に胸を膨らませて学校に着いた。


「これから魔力のテストを行います。名前が呼ばれた生徒は指定した部屋に入って下さい」


 きっとこれから帽子で寮を分けるのよ。


「次、リリーナ・ナナリーさん」


「家名持ち。でも聞いたことのない家名だ」


 そういえば、うちは没落貴族だった。波乱万丈な学院生活が目に見える。下手したら普通の平民より貴族に目つけられやすい。


 うわ、この先生、若っ! けど自信があって有能そう。私もこんな女性になりたいな。でも助手さんは普通。


「リリーナ・ナナリーさんですね、では、この石を掴んで下さい」


 あれ?帽子……じゃない。


「先生、これは……」

「これは……まさか!」


  え!?何?まさか、私が唯一ヴォルデモートを倒せる魔法使いとかじゃないよね!


「娘に何が問題でもあるのですか?」

「その……リリーナさんの初期魔力と魔力成長率が共にゼロです……」

「どういう意味ですか?」

「普通の人間は、いや、生き物は生まれつき魔力を持っていて、成長とともに、あるいは他者を倒すことで魔力が増大します。ですがリリーナさんは初期魔力と成長率がともにゼロ、つまり魔力を持っていない上に、これからも増やせないでしょう。自力で魔法を使えないばかりか、魔力を必要とする道具も動かせません。リリーナさんは人類初の完全魔力障碍者かもしれません」


 そんなば……。

「そんな馬鹿な!?」


 え!?お母さん!?あ、ありがとう、お母さん。あなたが大声を出してくれたおかげで、私は落ち着いた。


 実は、薄々気づいていた。すずしろ、アイ、ニーナとリリーナ、顔がまったく同じだし、全員父が亡くしてる。それに、転生前にステータス振り分けをしなかった。多分、転生前のトラブルのせい。そして、当然、この魔法の世界に転生することを決めた人は絶対魔力に割り振るはず。だから私は人類初のなんだっけ? 「完全魔力障碍者」だったっけ? うん……完全があるなら不完全魔力障碍者もいるはず! そういう人がどんな扱いを受けるのか、ここは子供らしく情報を集めよう。


「なんでリリーナだけ……きっとなにかの間違いよ! 鑑定石が壊れてるに違いない、もう一度やり……」

「あの、完全があれば不完全な魔力障碍者もいるはずですよね? そういう人たちはどんな扱いを受けるんですか?」


 まずい、先生の目付きが鋭くなてきた、さすがに子供がこんな事を聞くのは変だよんね。それでも!


「日常で魔力石を使いますが、魔力石は容量が小さく、一日一度補充が必要となります。また、魔力を要する授業への参加はほぼ不可能でしょう。将来魔力が必要とする職に就くのも……」

「子供になんてことを! 大丈夫よ、リリーナ。未来にはきっと希望があるわ!」


 お母さん。こんなにも私のことを……。ちょっとだけ見直したわ


「私なら大丈夫だよ、お母さん」


 他にも心配なことがある。


「ねぇ、他の生徒は、そういう子をどんな目で見るんですか?」

「そうよ、リリーナがいじめられるかもしれないじゃない!」


 ありがとう、セレナお母さん。「いじめ」って言葉を出してくれて。

 「『いじめ』ってどういう意味なの?お母さん」


「リリーナ・ナナリーさん、その名前、覚えました。うまく話を誘導したわね。よろしい、あなたは私のクラスに編入しましょう。大丈夫だよ、お母さん。この子は私に任せて」


 バレバレだったか。まあ、先生の反応は好意的だったし。お母さんはまあ、バカだから、後で適当にボケをかまして誤魔化せばいい。


「リリーナ、やっぱりあなた賢いわね!さすが私とあの人の子!でも明後日から寮に入るなんて、お母さん寂しいわ。あなたのことだから心配してない……ううん、してないと言ったら嘘になっちゃう。でも、あなたならきっと大丈夫よね!」

「うん、大丈夫だよ、お母さん、だから、泣かないて」


 ボケをかます必要はなかった。せめて、あの肩の震えが止めるまで、抱きしめよう。


「お母さん、ありがとう、大好きだよ!」 

焦ったら出来る事もできなくなる、でも焦っている時は、自分に落ち着こうと考えるのは訓練が必要です。でも、不思議に、周りに誰が自分よりも焦っている人が有れば、冷静に成れるんです。


いいお母さんがあるけれど、悪いお母さんも沢山あります、この小説をきっかけになって、お母さんとの仲が良くなれば、嬉しいです。

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