魔王覚醒編 第1話 友情でございますか?
戦争も終わって私はついに日常生活に戻れた。思えば、戦争やら、勇者やら、息抜きも出来なかった。早く屋敷に戻ってすずに会いたい。
それにしても、すずは昔と全く変わらなかった。相変わらず心優しくてかわいい。でも、すずは優しすぎなのよ。皆すずを利用しようとしてる!私がすずを守らないと!
でもどうすれば……?すずをスネーク家の養子にしたのに、セレンのやつお構いなしにすずに危ないことさせてたし。私が必死に前線で戦ってた時も、マモンのやつにいいように利用されてたし。そのせいで、すずは有名になり、変な虫が湧くようになった。
でももう大丈夫。これからは私がすずを守るから。ああ、またすずに会えるって知っていたら転生の時男にしたのに……。え、ちょっと待って、私、すずに対して恋愛感情を抱いてるわけじゃないよね?あくまでも友情だよね?それは、確かにすずが他のやつと話すと不快にはなるけど、あれは私がすずのたった一人の友達だからよ。クラスのやつ、すずのことを愛想悪い、近寄り難い子だと思ってる。私だけがすずの笑顔を知ってる!すずの優しさを知ってる!私はすずの一番になりたいのだ!でも、これは断じて恋ではない……と思う。そうね、私は男だったらすずに恋をしたかもしれない。でも、前世も今も私は女性だ。すずと友達以上の関係になれないし、特になりたいわけじゃない。すずはお人好しだから私が守るしかない、それだけだ。
でもよ、じゃあどうする?魔界にいい男なんて一人もいない。有能でもイケメンでもないのに、オレオレしてるアホと変態の死体フェチとグータラ植物男。そんなのと結婚するくらいなら、すずの側にいる方がずっといい。まあ、魔人は寿命長いからまだそんなこと考えなくていい。
それより、すずにすり寄ってくる意地汚いゴロツキをどうするべきか。一人を殺せば来なくなるのかな?
「ただいま。すず、元気にしてた?」
「うん、元気」
すずのお母さんに睨まれてる。何?私、何が悪いことでもした?そういえばすずの母さんに会ったことあんまりないかもね、私。結構忙しそうだからいつも家にいないんだ。
あれか?よくも私の娘にゲームやアニメをハマらせた的な?
いや、違う、その目は違う。すずを見るその目は、もしかして、もしかすると!いや、まさかね。親子なんだよ!いや、それ以前に、同性なのよ!




