戦争編 第9話 後 大量殺人犯でございますか?
「…はぁ」
「どうしたの?」
「いやね。例え兵糧庫を占領することが出来でも、また獣人を使って新しい兵糧庫を建てばいい。で、私達が成功に兵糧庫を占領したとしても、敵地の中だし。すぐに取り戻される。やっぱ兵糧庫に忍び込んで、全部燃やすしかない。なんとかして敵に気付かずに兵糧庫を占領出来れば話は違ってくるけど」
「それって難しいの?」
「難しいと言うより不可能だよ。敵さんも襲撃受けたらまず通信石で本国に報告するでしょ。となると少人数で潜入するしかない。通信室に忍び込んで通信設備を確保しなければならない。狼煙あげられたらアウトだし。兵糧庫の中の誰かが直接に付近拠点まで行けばまたアウト。それはまあ、成功したら敵はどんどん兵糧を送って来て、敵の資源を消費することも出来るし。兵糧輸送隊を装って敵に奇襲をかけることも出来る。でも絶対無理だよ」
「要するに、一人で潜入して、連中がおかしな真似をする前に一人残らず皆殺しにすればいいよね」
「いや、口で言うのは簡単だけどね。それに、定期連絡とかも考えて私の死霊術も必要になるし」
「じゃあ、早く済ませて兵糧庫に来てね」
「アサ、分かってるの?沢山人を殺すことになるよ。大量殺人犯になっちゃうよ。私達、元々日本人でしょ」
「分かってる。でも人を殺す経験はあるし。あいつら全員悪い人だよね」
まずは通信室に参りましょう。
「貴女はリリーナと合流してこの兵糧庫まで案内しなさい」
「わかりました」
土魔法で扉の外側を塞いでおきましょう。敵全員と死体の位置は把握しております。異常事態に気付く前に土魔法で息の根を止めて差し上げますわ。
「お前、兵糧輸送隊の人だろう。倉庫はここじゃないぞ」
ウインドブレイド。
「お前、何を…」
ウインドブレイド。
この人達にも、待っている家族がいっらしゃるでしょうか。いけませんわ。この方達は全員悪い方です。その家族もまた獣人を人間どして扱わない人間でございます。同情する必要はございません。
それにしても、人とはこんなに脆弱な生き物だったのですか…。命とはこんなにも儚いものでございます。例えばリリーナと一緒にいる時たまにウインドブレイドという言葉が頭に浮かびまして、反射的に魔力を発動でも致しましたら…。…リリーナ。
鼻がキツイですわ。鉄の匂い…いいえ、違いますわ。これは、死の匂いですわ。頭が…おかしくなりそうですわ。人が…ものに…なって行きます。
それでも、リリーナのためなら、リリーナを喜ばせるのなら、わたくしは何を致しますわ。




