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戦争編 第5話 対策でございますか?

 「こんにちは。リリーナ・スネークと申します。ここの指揮官にお取り次ぎ願いますでしょうか」

 「スネーク様ですね。少々お待ちください」

 とりあえず情報と戦力が欲しい。戦力は最悪傭兵でも雇えばなんとかなれるけど、情報は自分だけじゃどうにもならない。

 「お待たせしました。ご案内いたします」

 ちょっと緊張して来た。大丈夫、ちゃんと考えてから発言すればどうにかなる。

 「はじめまして。リリーナ・スネークと申します」

 「で?スネーク家のお嬢様が何の用?お嬢様の道楽に付き合えるほど暇じゃないんだ」

 舐められてるね。まぁ、もう慣れたけど。

 「情報の共有と兵を少々お譲りいただきたいのです」

 「ははっ!冗談だろう!兵が欲しいって?こんな時期に?勘弁してくれよ。どこでも戦力が足りないんだぜ」

 「そうですか。では情報を分けてはもらえないでしょうか」

 「情報くらいなら。おい、ソニア」

 「は、はい!」

 ソニアという女性魔人が資料運んで来た。ヤギのような角……悪魔の一種かしら。

 「おい!早くしろ!」

 「あ、はい!ああ…」

 おっちょこちょい、ではなく…プレッシャーに弱い感じ?

 「何やってんだ!」

 そして焦らせる。それでこの子はさらに焦ってしまい、また何かをやらかす。悪循環の出来上がり。

 「ご、ごめんなさい」

 ちょっと手を貸そうか。

 「焦らなくていいですからね」

 「スネーク様、いけません」

 「何がいけませんの?」

 「貴族、しかも五大貴族の姫様の手を煩わせるなんて」

 「何を言ってるのですか。魔界のために共に戦う仲間ではありませんか」

 「スネーク様…」

 「お部屋を貸してはくれませんか」

 「ソニア、客室使わせてやれ」

 「はい。スネーク様。案内致します。こちらへ」

 私が戦争に参加したことを、桜子が知ったら怒るかな。

 

 「で、スネーク様。どのような情報がお求めですか」

 「リリーナでいいですよ。まだそうやって畏まられるのには、慣れていなくて」

 当然嘘だけど。何せ、前世は姫だったのだから。

 「そうですね…魔界戦隊ファイプは魔界の最高戦力になっていますよね。全員前線で戦っているにも関わらず、戦争がこんなにも長引いた理由についてお伺いしたいのです」

 「はい、ご説明いたします。まずはリリーナ様の姉であるクレス様からにしましょう。クレス様は勇者を成功に撃退し、今は神聖属性魔法に長ける部隊と交戦中。ブレスが使えないため、今膠着状態が続いております。セレン様は今獣人部隊と交戦中。その獣人部隊は全員耳が聞こえなくなっております。体で埋め込んだ魔法石が痛覚を通じて指令を出す、という情報があります。獣人は元々魔法耐性が高いということもありまして、セレン様は今劣勢になっています。大佐様とプラント様は火属性魔法部隊と交戦中。植物と死体も火に弱い、加えて敵は躊躇なく味方の死体を焼き払うのでタイサ様とプラント様も状況を打破する手段がなく、苦戦を強いられています。ゴースト様は水属性の魔法師軍団と交戦中です」

 なるほど、全員対策されたという訳か。

 「こちらの弱点を把握されていましたが、情報の漏洩でしょうか」

 「いいえ、段々対応されて来たように思えました」

 「それで、こちらはどんな対抗手段を用意したのですか」

 「はい。魔界戦隊ファイプの方々のために魔力を補充する手段を探しております」

 それではこの状況を変えることなんて到底無理。けど、長期戦になればこっちの方が有利だ。何せ、魔人は食事しなくても生きていられるのだから。

 「ソニアさん、それは打破策にはならないことをご存知なのでは?」

 「はい。しかし、現状打破策がないのも事実です」

 「ありますよ」

 「えっ!?本当ですか」

 「ええ。さぁ、指揮官殿のところに戻りましょう」

 人間は魔人を学んでいるのに、魔人は人間から何も学ぼうとしない。彼を知り、己を知れば百戦危からず。敵をきちんと理解すれば今以上に戦えたはずだ。だというのに…。

 「まだ何か用があるのか」

 「戦力を分けて貰いたいのです」

 「むしろこっちが分けて欲しいくらいだ」

 「では、こういうのはどうですか。マモン、例の品を」

 「こ、これは…」

 「これで、兵を少し分けていただけますでしょうか?」

 「一軍団だ。これ以上は無理だ」

 「もう一人分けて貰いませんか」

 「まぁ、一人くらいなら」

 「ソニアさん、私と一緒に、魔界を救ってくれませんか」

 「えっ!?」

 「一緒に来てはくれないのですか」

 「私、がですか」

 「ええ。ソニアさんが必要なんです。力を貸して欲しいのです。ダメですか」

 「い、いいえ!私で良ければ」

 「おい!ソニアは俺の副官だ」

 「いいえ!リリーナ様についていきます」

 「ソニア、お前…」

 「では、ソニアさん、これからよろしくお願いしますね」

 「はい、リリーナ様」

 「おい、待て!戻ってこい!」

  

 とりあえず、必要最低限なものは揃った。果たして、私程度の知恵がどこまで通用するのか。


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