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本編 第1話  力でございますか?

 「ご出産おめでとう、元気な娘さんが生まれたよ」


 「俺はお父さんになった!?俺はお父さんだぁ!!君の名前はリリーナだ!リリーナ・ナナリー!さあ、パパを呼んでごらん」


 「はい!はい!はしゃぎすぎだよ、あなた。生まれたばかりの赤ちゃんが呼べるはずがないでしょう」


 この日、あたしが、この世界に生まれてきた。すずしろ、アイ、ニーナの記憶と共に。


アイが学んだのは簡単に人に優しさを見せないこと、優しい人と思わせれば、馬鹿にされたり、都合よく扱われたりする。でも、悪い人の振りは絶対にしない、誰も中身を気にせず、表面だけを見がちだからだ。存在感を消して、目立たなくなるのが一番。


 ニーナが学んだことは誰も何かを求めて人に近づく。つまり利用価値があると判断してから、はじめて仲良くなりたいと思うの。面白い性格、金持ち、同じ趣味、自己満足感、そういった利用価値が無くなれば、友達なんてあっという間に去っていく。


 すずしろが学んだ事は……アイとニーナに半分以上否定された。まあ、ハリー・ポッターの知識はこの魔法世界で役に立てると思うし。


  

 アイだった頃、赤ちゃんの面倒を見てきたつもりだけど、赤ちゃんの真似をするのは結構難しい。それでも、退屈ではなかった。何故がはわかんないけれど、この世界の言葉がわかる。だから、いつも両親の話に耳を傾けてた。


 お母さんは料理人で、お父さんは木工職人。二人が働いているため、あたしの世話はお手伝いさんのフランカさんに任されてる。お父さんの弟である叔父さんは……無職……。


 そんな私は暇つぶしに研究をしてる。研究したいものがあるから。せっかくこの世界に転生したのだから、魔法を試さなくちゃ!

 

 「ウィンガーディアム・レビオサー!」


 あれ!?何も起こらない、あっ、杖がないからか。


 ここらでやめようか、今回は赤ちゃんだし、すずしろの頃のように、ただ恥ずかしいだけでは済まないから。


 そういえば試してみたいの、もう一つあったわ。この力のことだ。桜子を探すためにも、この力が必要になると思う。


 あたしには生き物だけでなく、無機物にも纏っているこの黄色いオーラが見える。最初は魔力だと思っていたけど、どうやらそうではなさそうだ。それに、このオーラは、あたししか見えないのかもしれない。なぜなら、私以外にはあのオーラを動かしたり、色を変えたりできないから。


 蚊や蠅などの虫をきっかけに、この力の片鱗を見れるようになった。


 先ず、あたしが関与しない場合、黄色のオーラを纏う虫は必ず生きてこの部屋から出られる。一方、黒い?いや、赤い?違う、赤黒い色の方が正しいかな。そんなオーラを纏う虫は必ず殺される。


 あたしが関与する場合、たとえば、黄色い虫を殺そうすると、そのオーラが赤黒く変わることもある。 もし見逃すと決めたな)、また黄色に戻る。


 あたしの意志であのオーラを移動させることもできる。たとえば、黄色い虫からオーラを移動させたいと思い、移動先が決まれば、オーラが思うままに移動する。そして、徐々にあの虫のオーラも赤黒い色に変わっていく。当然、最後は殺される運命よ。


 赤黒いオーラは移動することができない。あれは黄色いオーラが存在しない状態を示しているのかもしれない。


 あっ、赤黒い虫も助けてみたわ。でもたとえ五匹分の黄色い虫のオーラを用いたとしても、赤黒い虫を救うことはできなかった。黄色い虫からオーラを抜き出し、赤黒い色に変わった後、オーラを返しても、黄色に戻らなかった。


 それと、オーラを移動させるには、移動先が必要、空気じゃだめみたい。

 あと、体のあらゆる部分からもオラを抜き出すことができる。たとえば、虫の足からオーラを抜いた場合、足だけが赤黒い色に変わり、折れてしまう。

今わかったのはこれだけだ。この狭い空間でできる実験は限られているから、お母さんとお父さんを実験材料にするのは避けたい。たまに目ではなく、体でオーラを感じる事も出来る。けど、オーラを移動させられるほど感覚を維持するのは難しい。それに、体て感じると、あの黒くて忌々しい生物、Gがたくさん感じてしまう。


 ちなみに、この力はオンとオフ切り替えも可能。でも、実験がしたいから、常にオンにしてるけどね。


 この研究に夢中だった。そう、叔父さんが赤黒いオーラを纏うまでは。


 「お兄さん、大事な話がある。」

 「なんだ? そんな真剣な顔をして」

 「その……」

 「なになに。もったいぶるなよ」

 「魔物が襲ってくるから、強制的な徴兵が行ってわれた。俺が行けば、兄さんが行かなくて済む。ほら、俺には仕事も家庭もないしさ」

 「いや、一緒に逃げれば助かるかもしれないよ」

 「無駄だ。城門はもう閉ざされた」


 それってつまり、叔父さんはこの戦いで死んちゃうってこと? いや、私が叔父さんを死なせない。この力で救って見せる。


 あの夜、お父さんがひとりで泣いてた。大丈夫だよ、叔父さんは私が救う。


 とりあえず今まで集めたオーラを全部叔父さんに与えた。でも、やはりそれだけでは足りなかった。簡単にはいかないとは思ったけど、一体どうすればいいの?


 翌日、叔父さんはたくさんのお金を持って来た。


 「なんか運がすごく良くなった。見ろ、こんなに拾ったんだ。一度だけじゃない。一日に三回も拾ったぞ。こんなこともあるんだな」


 いやいや、叔父さんの死亡フラグまだピンピン立ってるからね。いや、待ってよ。死ぬ前に運が良くなった? それって、すずしろと同じじゃない? まさか、あの時誰がこの力で私を助けようとしたの?

 あの神様だ……。ということは、この力はあの神の力だった。


 でも、結局、すずしろは死んだ。つまり、この力て叔父さんを救うことは出来ない。


 いや、まだ奥の手がある。ごめんなさい、お父さん、お母さん。天井壊すね。


 やばい! 天井が落ちてくる、私のバカ! でも、叔父さんが助けてくれた。ありがとう!



 ふふ、ちゃんとあるじゃないか。叔父さんを救いえるだけの量の運が。そう、あの大きくて白いわたあめなら。

 成程、雲から運を取れば雨が降るんだ。私、天候も操れるんだ!


 今度は私が叔父さんを助ける番よ! さぁ、叔父さん、受け取って。


 やった! 叔父さんが黄色に戻った……と思いぎゃ、さらに状況はやばくなり、お父さんが赤黒い色に変わってしまった!


 そんなの駄目よ! 叔父さんより、お父さんの方か大事! ごめん、叔父さん、死んで。


 いやぁーっ! 叔父さんの運をお父さんに与えたら、お父さんが黄色に戻らなかった上に、叔父さんが赤黒い色に戻ってしまった!


お父さんは叔父さんと共に戦う決意を固めちゃった! 私の力でお父さんの考えが変わってしまった。お父さんは帰らぬ人になってしまった。まだ一度だって『パパ』って呼んであげたことなかったのに……。


 私のせいだ、この力のことまだ何も理解していないのに……。この力は危険よ。むやみに使うべきではなかった。

皆さん、行動する前に先ず考えなさい、

この行動がどのような結果を招くのか、人に迷惑掛けるかを。

それと、感想受付中です、よろしくお願い致します。

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