戦争編 第2話 後 レプリカでございますか?
今はマモンを待つしかやることがない。まあ、手紙と言ったし、そんなに早く来るはずもない、か。あれ、通信石が鳴ってる、桜子か。
「桜子? どうしたの?」
「ちょっとすずの知恵を貸し欲しいんだけど」
「私、知恵と言えるほどのものはないけど」
「謙遜しなくても」
「謙遜じゃないよ」
どんなに頭のいい人でも、いつもいいアイデア出せるとは限らない。持ち上げられたくないのよ。
「まあいいけど。どうしたの? 何を困ってるの?」
「実はいくら倒してもまた出て来る強い敵がいるの」
「また出て来る? つまり復活するってこと?」
「復活とはちょっと違うと思う。死んだ霊魂が他の体に移るらしいよ」
「らしい?」
「うん。工作員を忍び込ませた。工作員の話によると、死んでも司祭がいれば魂を別の体に移せるらしい」
「でもそんなに強い敵なの? いくら転生出来る言っても雑魚は雑魚でしょ」
「それが雑魚じゃないのよ。聖なる槍のレプリカを使える厄介な敵だ」
「レプリカ? 複製品ってこと? なるほど、聖なる槍を使う軍団か。それは確かに厄介そうだね」
「一人だけだよ。レプリカは本物より弱いけど、槍に選べられなくともある程度資質を持つ人なら使える。聖なる勇者は何年も現れなかったと聞いたけどまさかこんな方法で勇者を造るなんて…」
「じゃあ、聖なる槍を奪ったら?」
「聖なる槍の力も勇者の魂と共に司祭の元に戻るのよ」
「なるほど。でも、聖なる武器ってそんな簡単に複製できるものなの?」
「出来ないと思うけど実際出来てるし」
なるほど、無謀に戦争を挑んだわけじゃないということか。
「空を飛んで一方的ブレスで攻撃したら」
「ダメよ。戦場になっているのは魔人が住んでる村の近くにある広野なのよ。ブレスなんて使ったらあの村住めなくなるわよ」
なるほど、桜子のドラゴンは強いけど小回りが利かないのね。
「司祭が復活させられるというのなら司祭をやっつければいいのでは?」
「それが司祭が複数居て違う場所に隠れてるのらしいよ」
「じゃあ勇者擬きを生け捕りしてみては?」
「したけど何らかの方法で自殺したわ。司祭もそうだ。ようやく一人を捕まえて他の司祭の居場所を吐かせようと思ったらまた自殺した」
「死体は? 司祭の死体は?」
「ちゃんと埋葬したよ。敵とは言え…」
「すぐに掘り出して!」
「え!?」
「今どこにいるの? すぐ飛んで行くから。あ、喋られる魔物一匹用意して」
ドラゴンさんを乗って前線に飛んでいた。
「さぁ、最後の勇者擬きをやっつけに行って」




