獣人編 第12話 前 自信でございますか?
「好きって、言ったら、困る?」
「困る」
この子の名前はリリア。隣の国から来て、今は隣に住んでる。彼女のことが好きなのか、ただ憧れてるのか、僕にもよくわかんない。僕は今まで、他人に合わせて生きてきた。リリアちゃんは自分なりの軸をしっかり持ってて、正しい価値観を持ってる。他人に影響されることがない。そんな彼女がとても眩しく見えた。
勢いで告白したがやっばりダメだった。でも、諦めたくない。
「どこがいけなかった? 僕頑張ってリリアちゃんの理想な男性になるから」
「そうね。とりあえず、この国の人と結婚するつもりはない」
「何故? 獣人を迫害してるから? 僕はこれから獣人のことを人間のように扱う。約束する!」
「ふっ」
鼻で笑った…
「嘘じゃない!」
「信じるよ」
「それじゃ!」
「今はね」
「…?」
「人目気にするあなたが、いつまで続けられるのかな」
「…それは」
「ねぇー。じゃあ、私帰るから」
ダメ。ここで帰らせたらもう仲良くなれない気がする。リリアちゃんはなんか目を離すとすぐどっかに消えてしまいそう…
「待って! どうすればリリアちゃん…」
「ぎゃー」
「え?」
「とりあえず、手を離してもらえない?」
「あの、僕…」
「離してっ!」
「あ、ごめん。あのさ、どうすればリリアちゃんみたいに強くなれるのか」
「強い? 私が?」
「うん。どうしたらリリアちゃんのように、人目を気にせず言いたいこと言えるのか」
「貶してるの?」
「違う!」
「そうね。例えば、君は道を歩いて犬に威嚇された。君は一日中に落ち込んだりする?」
「しない。そうか、犬か。でも、僕は他人を見下すほどの自信はない。僕はリリアちゃんほど頭よくないし、リリアちゃんほど外見がいいわけでもない」
「私が知識を身に付けてる時、君は何してた? 獣人に石でも投げてた?」
これが僕とリリアちゃんの出会いだった。リリアちゃんは手紙を残し、国に帰ったみたい。あれから、この国と魔界の戦争が始まった。僕も招集に応じた。と言っても、僕達のやることといえばただ自分ちの獣人に指示を出すだけ。
「これは本当に僕達の戦争って言えるのか」
「まだそんなこと言ってるのか」
「そう思わないか。自分ではじまった戦争で戦えず、成果だけ横取る、恥ずかしくないのか」
「この国はこうやって発展してきた。それを否定するのか。そう言うのならお前も獣人と一緒に戦え!」
「そうする」
僕は強くなって、もう一度リリアちゃんに会う、それから…




