表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/307

序章 最終話 お母さんでございますか?

これが走馬燈なのかな?あの頃に戻りたいな~

  

 「ねぇ、お母さん、お父さんは何処にいるの?」


 「お父さんはね、とっても遠い場所にいるの」


 「つまり天国?」


 「え、ええ・・・」


 この子、賢いな。


 「事故?」


 「いいえ、病で」


 「病気ってこと?何の病気?」


 「し・・・知らない。」


 「夫婦なのに?」


 これを言われたら痛いな。


 「お父さんとは、夫婦じゃないの。」


 「え・・!?」


 「しろ、聞いて。」


 どうやら聞かなければならないみたい。


 「お母さんね、若い頃ね、同じ時期にバイトを二つもやってたのよ」


 「どうして?」


 「本屋さんになりたいから」


 「どうして本屋さんにならなかったの?」


 「それはね、夢より大事なものが生まれて来たからよ。」


 「あたしのこと?」


 「そうよ」


 「お母さん、ごめん」


 「バカね、お母さんはあなたと一緒に居た方が幸せだよ」


 「お母さん・・・大好き!」


 まだ子供ね、大きくなったら、またこんな風にあたしを抱きしめてくれるかな?


 「話を続けるよ、あの時ね、バイトの一つはね、夜のコンビニで働くこと、あの時ね、あの人が、毎日のように来るのよ」


 「あの人って、お父さん?」


 「そうよ、眠れないだってさ。いつも顔色が悪いけど、面白い人だったよ、お母さんはね、すぐに恋に落ちた、あの頃は楽しかった」


娘とこんな事を話す事を何度も想像したけど、ちょっと恥ずかしい。


 「けど、ある日、彼は来なかった、代わりに彼の母が手紙を持って来た。」


 あの手紙を娘に見せるのはちょっと恥ずかしい、でも、しろには見る権利がある。


 「拝啓 挨拶は省略。」


 「お父さん・・・」


 「この手紙を読んでいる時、俺はもう死んだでしょう。実は、あなたと出会った時、俺はもう助からないと知っていた。あなたと一緒に過ごした時間は人生で一番楽しい時間だった、ありがとう、さよなら。

 

 平成3年一月八日

                            山田彰

 鈴川鈴奈様」


「お父さん、手紙の一つも上手く書けないの?」


「あの人らしいわね」


「つまり、お父さんは、自分がもうすぐ死ぬことを知った上で、お母さんと付き合ったことになるの?」


「そう・・・なるよね」


「そんな・・・お父さん・・・」


「お父さんを悪く思わないで、しろ、一人で、最後を迎えるのはとっても辛いことだよ。それに、あの人はあたしの腹の中にしろがいる事が知らなかったよ」


「そういえば、赤ちゃんって、どうやってできるの?」


「え!?」


どうしよう、大きくなったら教えると言ったら、この子、自分で調べるからな。かと言って、しろに嘘をつきたくない。


「男の子・・・の大事な所が・・・女の子の・・・大事な所に・・・い・・・入れたら、赤ちゃんができるのよ」


「お母さん、これは顔が真っ赤になる程恥ずかしいものなの?」


え!?嘘、あたし今、顔真っ赤なの!?


「とにかく、お父さんを恨まないで」


「分かった、お母さんと一緒に過ごすのも充分幸せだもの」


「ありがとう、しろ、お母さんはもうとっても幸せよ」


 でも、あたしの一番大事な宝物、一人娘もトラックに・・・


 あたしも天涯孤独の身になった、もしかして、あたしのせいなの?あたしと関わる人は皆死んでしまうの?


 駄目、もう生きる気力がなくなった、待っていて、しろ、お母さんも、そっちの世界に行くよ。


 砂漠!?え!?あたし、砂が靴に入る事が大嫌いだから、絶対に砂漠に行かない、じゃあ、どうして?


 行列の果てに黒い半球体、皆は白い服を着ている。


 成程、三途の川は聞いたのと違うのね。


 そう、全て思い出した、あたし、あそこから飛び降りた。


 後悔はしていない、だって、人生の目標がなくなった。


 しろ・・・


 あなたの友達が亡くなった時、あなたじゃなくって本当に良かったと思った、これは報いだ、きっと、あたしがこんな事を考えだせいて、あなたがこんな目に・・・


 次があたしだ、あの黒い半球体の中に、裁判所・・・


 自殺だから、あたし、地獄に行くでしょう。


 モニターで、あたしの一生が再生している、懐かしい、両親はあたしを大切に育ってくれた、良い両親だった、二人も早死だったけどね。


 あの人との時間は短いけど、幸せだった。


 しろが生まれたからも幸せだったの、あたしの為にバイト何かしちゃって、バイトしなければきっともっと友達を作られるのに。


 「鈴川鈴奈、残念だったな、自殺しなければ、凄い点数が貰えたのにな」


 「一人にはあの部屋が広過ぎでしたから」


 「鈴川、君、あの方の母親?」


 あの方?え!?何?


 「君は鈴川すずしろの母親かい?」


 「ええ、娘の事、ご存知ですか?」


 「神の加護があるから、行列から裁判所を覗き、神王様まで動かしたあの方、勿論知っているよ」


 え!?何言ってるの?


 「娘がどの世界に行ったのか、知っていますか?」


 「勿論知っているよ、でも教えるわけにもいかないのよ、掟だから。あの方の母親だった貴女が、一番詳しいではないのかい?」


 そうだな、しろならきっと、この魔力がある世界を選んだはずよ、しろがハリー・ポッターのスペルを練習してる所、まだ覚えているよ、見られた時、本当にかわいかったよ、いつもポーカーフェイスだったあの子が、顔真っ赤にして。


 「あたし、魔力がある世界の人間になります。」

次回からは本編です、何卒よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ