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獣人編 第4話 ライオンズハートでございますか?

 ライオンズハートがようやく来てくれた。でも、来てくれた獣人は、1人しかなかった。


 「あいつを捕まえろ」

 

 何の獣人? 角生えてるのに、鱗も生えてる。蹄ではなく、爪? これはまさか、麒麟? いや、首が長いやつではなく。あ、そう、ビールのやつね。この世界にもあるのは知ってるけど、麒麟の獣人がいるとはね。


 でも、鬼人20人相手にするのは流石に無理なんじゃないの。そもそも、ここの守備を突破できるならとっくにここ襲った。私が何とかしないと。


 と、手下が土の槍に貫かれた。え、どうして? 詠唱してないのに…。いや、そもそも獣人がどうして人間の魔法を使えるの? もう1人人間の協力者がいるかも。


 「地面に気をつけろ」

 「死ね! 奴隷商人め」

 

 麒麟獣人は鬼人達が地面に注意を払ってる隙に槍でホレスを貫いた。


 「お前ら傭兵だよな。雇主はもう死んだ。これ以上戦う理由はない。この屋敷を燃やすつもりだ、取れる内に財宝を取って帰るがいい」

 「金などどうでもいい。お前強そうだな。こうしよう。一騎討ちだ。お前が勝ったら逃してやる」

 

 勝手に戦え! 


 「ロッティ、大丈夫。ライオンズハートが来たよ。早く皆を助けないと」

 「そうだね。行こう」

 「ちょっと待ってて、豚が鍵を持ってるはず」


 ホレスの死体は冷たいから、他の人に触れられたら死霊術にかけられたことがバレてしまう。


 「リリーナ様、右のポケットですよ」

 「あ、ありがとう」


 あれ?


 「ホレス、まだ生きてるんだ」

 「いいえ。死んでます。ゾンビですから。分かりました、後で自害いたします」

 「ごめんね」

 「勿体無いお言葉です」


 ゾンビ、素晴らしい忠誠心だわ。初めてドラゴンがすごいと思ってしまった。アサもゾンビにすれば…。ううん、対等ではない関係はいや。ドラゴンもきっと気づいたから寂しいのよ。


 「あった」

 「アイ、どうしたの?」

 「この豚が私の両親を殺した。地獄に落ちるように呪いをかけた」

 「あはは。呪わなくても豚は地獄にしか行けないよ」

 「それもそうだね」

 「行こう」


 奴隷の皆さんを自由にした。男性の奴隷部屋に行くのはこれが初めて。女性のより全然酷い。立つことすら出来ないのが一杯いる。女性の獣人が肩を貸すしかない。


 麒麟の獣人さんが勝った。鬼人達が潔く帰った。そして、私達はライオンズハートの拠点に連れて行かれた。


 「諸君、人間が憎いか」

 「「「そうだ!」」」

 「魔人を頼っても無駄だ。獣人を守るのは獣人だけだ。ライオンズハートは君達を守る! だから戦える者は他の獣人を守る義務がある! 人間に獣人の怒りをぶつけるのだ!」

 「「「おおーっ!」」」

 「戦えない者は戦士達の支援をお願い」

 「任せて」

 「半獣人もいるね。魔法は使えるのか」

 「多分使えない」

 「水を少し出す程度なら」

 「そうか。名前は?」

 「ロッティよ」

 「り、あ、アイです」


 あ、危ない。


 「ロッティ、多分というのは、使ったことないから使えるかどうかが分かんないってことか」

 「うん」

 「じゃあシャーリーに教えて貰おう」

 「分かった」


 シャーリー、馬の半獣人だそうよ。目が見えない。パーティで土魔法を使って鬼人を倒したのが彼女だったらしい。目が見えないのにどうやって土魔法を命中させるの? 


 「アイ、魔法は何処で習った?」

 「人間の学校を通ったことが、ありまして」


 まずかったかな?


 「ということは、字読めるのか」

 「はい、一応」

 「これはいい、実にいい。読ませたいものが沢山あるんだ」

 「え…。私以外に字を読める獣人いないのですか」

 「獣人が学校に行けると思うのかい」


 それもそうだ。あれ、でも半獣人なら…。いや、半獣人は私を含めて3人しかない。そうね、美女と野獣でもあるまいし。よっぽど変わった人でなきゃ、獣人と結ぶことはない。


 この獣人馬鹿じゃないの? 今日出会ったばかりなのに。字を読めるのは私だから私が何を言っても信じるしかないのよ。いや、これは私を試そうとしてる可能性も…。これは、字を読めるのは私だけではなく、私が嘘をつくかどうかを確かめてみたいんだわ。


 「分かった」


 普通の手紙や、奴隷商人の帳簿、貴族達の好みを記したノートや、舞踏会の招待状とか沢山ある。その中で一番役に立ちそうなのは貴族との取引記録と貴族からの注文履歴。これらはこの国の貴族が奴隷売買を許容した証拠になる。私がセレンのところに持ち帰れば戦争は免れる。魔界が介入して奴隷売買をやめさせられるはず。


 「そうか。役に立てる情報ないのか」

 「え?」


 いやいや、役に立つでしょ。魔界に持っていけば。でもだめよ、今の私はアイよ、魔界と関係のない13歳の女の子なのよ。


 「どうして? これがあれば奴隷売買をやめさせるんじゃないのか?」

 「無駄だ。前のリーダーが貴族と奴隷商人を捕まえて王宮に連れていたけど、帰ってこなかった。だから王宮にテロを仕掛けた」

 「魔界がなとかしてくれないのか?」

 「無駄さ。魔界は獣人のために人間に戦争を仕掛けるはずがない。結局獣人が頼れるのは獣人だけだ」

 「それで? その結果は何? 貴方達がもっと早く来てくれれば、私はあんな目に…。いや、もっと早くあいつを殺せばお父さんとお母さんが…」 


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