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獣人編 第3話 姉妹でございますか?

先週更新した第二話も読んでくださいね。

 ロッティは自分の過去を話してくれた。ロッティは物心がつく前にお母さんを亡くし、ロッティの父親1人でロッティを育てた。ロッティの父親は、いわゆる、下層労働者。元々奴隷とそれほど変わらない。当然のようにロッティはいじめられた。尻尾と耳を引っ張られるのはましな方。尻尾が切り落とされかけたのがトラウマらしい。ロッティの父はロッティと一緒に捕まれ、もう売り出されたそうだ。


 私は人間の学校に通って、いじめられた挙句、通学路で奴隷商人に捕まえられたと嘘をついた。


 「可哀想に。なんでこんな可愛い子にこんな酷いこと出来るのよ! 人間は」

 

 ロッティはまた私を抱きしめた。同じ境遇だからかな。


 「ロッティ、あの豚が怖い。痛いのはイヤ」

 「…」

 

 ロッティはもっと力強く私を抱きしめてくれた。


 お風呂とご飯の時間がまた訪れた、ホレスの手下がやってきた。


 「おい、鹿、ささっと出ろ」

 「ロッティ…」

 

 ロッティが立ち上げてくれた。


 「私が代わりに行く、この子に手を出すな」


 いや、お風呂入りたいから邪魔しないでよ。と、手下はロッティの腹を殴った。


 「ホレスは鹿をもっと味わえたいんだよ。それとも何、ホレスに可愛かってされたい?」

 「誰が豚なんかに…」

 「はっ、鹿、残念だったな」

 「いやぁーっ! 放して」


 私は必死に鉄格子を掴まる、フリをした。しなければよかった。こいつ私の手を踏んだ。覚えてなさい!


 「痛っ」

 「早く来てよ…」


 ロッティはそう呟いた。私も待ってるよ、ライオンズハート。


 「ホレス、パーティの流れは?」

 「午後から始める予定でございます。演目としては獣人の殺し合いと半獣人のオークションになります、半獣人には脱ぎながら踊らせます」

 「え、嫌だよ」

 「リリーナ様が脱ぐ必要はございません。リリーナ様は首輪をつけて自分の近くにいてくれればいいのです」

 

 ロッティが…。色々ごめんなさい! 踊りが始まる前にライオンズハートが来てくれることを祈る。


 「パーティの情報を漏らした?」

 「すぐに漏らします」

 「いや、いい」


罠だと絶対に気づかせたくないから漏らさない方がいい。ライオンズハートの諜報機関に期待するしかない。


 「警備はどう?」

 「鬼人のガードを20人ほど配置しました」

 

 うわー、獣人が突破するのは難しそう。そもそもセレンを突破しないと会場に入らないし。頑張れよ、ライオンズハート。


「ホレス、私に平手打ちして」

「え? ごめんなさい、聞き間違ったみたいです。もう一度言ってくれますか」

 「私の頬を叩いてって言ってるの」

 「わ、分かりました。では、失礼いたします」


 私の頬の手形を見たロッティは鳩が豆鉄砲を食ったような表情をした。


 「アイちゃん…」


 鳩から般若まで約三秒。


 「おい、クソ野郎っ! この子に何をした!?」

 「奴隷の分際で!」


 平気で女の子の腹を蹴るクソ野郎に死を。運を全部奪ってあげる。あっ、よくよく考えてみると、こいつらの運を抜いて、獣人達に分け与えればライオンズハートが来てくれる可能性も増える。よし、そうしよう。


 「アイちゃん、大丈夫? 痛かった?」

 「ロッティこそ」

 「私は全然平気だよ。慣れてるから。それより、あの豚め、アイちゃんの可愛い顔に…」

 「それはね、私がツノで突いたから」

 「え?」

 「私、ロッティみたいになりたいの」

 「なっちゃダメ。アイちゃんは今のままでいい。ライオンズハートがきっと助けてくれる。そしたら親の元に戻れる」

 「父さんと母さんは私を守ろうとして短いツノが生えた人に殺された」

 「鬼人に…。じゃあ、私と一緒に住もうか」

 「いいの?」

 「もちろん」

 

 いや、私はライオンズハートに入るから。


 「ここから出たら、とこに行くの?」

 「私はライオンズハートに入りたい。人間に一矢を報いてやりたい」

 「じゃあ私が美味しい料理を作ってあげる」

 「妹がいったらこんな感じなのかな?」

 「うん?」

 「なんでもないよ」

 「変なの」


 そしてパーティ当日。予定通り私は首輪つけられ、ホレスの隣の床の上に座ってる。


 本来踊るべきこの場所で、獣人同士が殴り合ってる。客達は笑ってる。闘牛を見る感じなのかな。


 私は獣人ではないけど…。ちょっとだけ、イラッとした。でも、私はこの人達と似たようなことをしたから、この人達を責める資格はない。囮されたとはいえ、私はハエハンターを散々嘲笑った挙句見殺しにしたんだから。そう、私には正義がない…。


 ロッティのオークションが始まって、ロッティは踊り出した。ライオンズハート、遅い…。私がなんとかしないと。まさか、こんなところで必殺技を使うことになるとは。


 「あ、持病の癪が…」

 

 あ、あれ〜? 誰もこっちに見ない。だよね。奴隷の心配なんて誰もしないよね。じゃあ、正攻法しかないか、鹿だけに。


 「やめて、ロッティを買わないで。ロッティと離れ離れになるのはいや」

 「ホレス、これも商品かい」

 「あ、いや。これの調教はまだ済んでないんだ」

 「ケチケチすんな。ほれ、セットで売ろ。離れ離れにするのは可哀想じゃぞ」


 良く言うよ、人をこれ呼ばわりして。あ、このままじゃ私も売れ出されそう。どうしよう?


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