幹部編 第11話 後 語尾でございますか?
「準備したゲーム?」
「そう。私達4人が進むマスをサイコロが出た目で決めるの。それでマスの内容を従わなければならない。一番早くゴールに着いたのが勝ち、というゲームなんだけど」
「どんな内容にでも従わなければならない?」
「そう。怖い?」
「面白いじゃないか」
ここ広いからマスを直接に床に描いて私達自身がコマになる。こういうのずっと憧れてた。アサ、桜子と私、3人で考えた50マスの双六。39マス目までは奇数しか書かれていない。楽しんでもらえたらいいんだけど。
「じゃあ始めよう、誰か先に行動するの?」
「サイコロを振って出る目の大きさ順に行動する」
「同じ目が出たら?」
「被った人だけもう一回サイコロを振って、大きい人が先に行動する」
「じゃあ振ろう」
アサ、ドラゴンさん、桜子、私の順番で行動する。
「なあ、一マス目のこれは何だ? 自己紹介? ここにいる私を知らない人なんていないんじゃない」
「確かにそうだけど、知ってる人の前に自己紹介するのは案外恥ずかしいと思うよ」
「そうなのかな」
まあ、実際試した方が一番いいと思う。皆の運を悪くにして自己紹介してもらうか。
「じゃあ私サイコロ振るね」
出た目は、三!? え、とうして? ここは一が出るはずじゃ…。
「三は、ゲームが終わるまで変な語尾を付けて話す、で、ですぞ」
「ですぞ?」
「これが語尾で、ですぞ。恥ずかしいですぞ」
「ハハハッ」
「なんだその語尾」
「笑うな、ですぞ」
翻訳はちょっと面倒臭いだけど早速盛り上がった。なるほど、アサにとって変な語尾で話すことは自己紹介より恥ずかしいだから三が出た。運抜き過ぎたか。ドラゴンと桜子をちゃんと自己紹介するようにちょっと運を返そう。
「一が、私は不死を司るドラゴンエリックだ、すごいんだぞ」
「…」
「何か言え、恥ずかしいだろう」
「いや、どうコメントすれば…」
「すこいすこい…」
「えい、次だ、次」
「次は私ね。そい。私も一か、佐倉桜子ことクレス・スネークだよ」
「桜子、あの時のように歌わないのか」
「歌わないよっ! すず、お前もしかしてこのためにこのマスを作ったんじゃないでしょうね」
「あはは、違うよ」
「本当?」
「本当だってば」
「まあいいけど」
私達3人は1人ずつマス十個作った。私は皆が盛り上がれるように作った。桜子はゲーム性重視で、アサは…。それにしても、楽しいー! そう、私はもう一度こんな風に遊べたくて桜子を会いに来て、記憶を甦らせたのよ。皆に運を返して公平に遊ぶ。
次は私。出た目は二。
「空マスか、リリーナだけずるいぞ!」
「そうだそうだ」
「あはは、そんなこと言われても。それに、一番進んでいるのはアサだよ」
言ったことをドラゴン語と日本語で二回話さなければいけないし、翻訳しなければならないけど本当に楽しい。ドラゴンさんのためとは言え自分も楽しめてる。あと、皆が私が翻訳するのを期待の眼差しで見てくるのは本当にいい。すずしろだった頃は2人で遊んでいたが4人の方が断然楽しい。




