お口の邪神を封印し続ける巫女巫女な俺。
私は三食後、必ず歯を磨く。歯間ブラシも使って丁寧に、かつ歯を削らない様に優しく、適度な時間を心がけている。
何故か?
それはお口の中に、邪神様が鎮座ましましているからだ。
左下の奥歯、最後列の歯肉部に〝居る〟時折白い潰瘍状に顔を覗かせる邪神様、またの名を歯肉炎という。それは歯磨きをサボるとてきめんに現れる。
そしてキチンと磨き続けると「しょうがないな」とでも言う様に鎮静化するのだ。
故に私は毎食後「清めたまえ、祓いたまえ」と願をかけてブラッシングという儀式を敢行する。
歯医者には行った。ブラッシングも正しいとお墨付きをいただいた。しかし最奥歯の炎症はどうにもならないらしい。
一番奥なので、抜いても構わないらしいが、抜くほど酷くもないらしい。
という訳で、気持ちは巫女巫女な俺は、今日もせっせと邪神様を鎮める儀式に励む。
歯が悪いのは、一人暮らしの学生時代、ほとんど歯を磨かずに過ごしてきたせいだ。溜まった歯垢を爪でこそげ取るという、なんとも不潔極まりない、怠惰な生活。
あゝ、あの頃に戻って、たるんだ頬にビンタを食らわせてやりたい。
所詮そんな事を思ったところで、現状は何も変わらない。
過去の分も今磨こう。巫女俺はその十字架を背に、終わらない戦いを孤独に続ける。
相棒はプレミアムケア超先細毛と、トップバリュ歯間ブラシM。そのラバーグリップを握り締めながら。