アリーシャ・メル・ベリクリオス3
第1世界
ここは数千年前の第1世界まだ明日奈が知るほど発展しては居ないが確実に他の世界よりは発展している世界にアリーシャは居た。
まだワールドセイバーが無い為誰もアリーシャを捕まえに来ないが、現在の第1世界にもしアリーシャが現れればすぐにワールドセイバーのエージェント達が集まって来て戦闘になるだろう。
「さぁて、彼の魔力は・・・」
アリーシャはこの世界の何処かに居る筈のデルタムーザの魔力を感じるべく目を閉じ、魔力を探る。
「見つけました、こっちですわ」
そしてデルタムーザの魔力を見つけたらしいアリーシャは転移した。
第1世界、カビヨンの丘
ボールに入りそうな生物のとある個体の名に似た丘にやって来たアリーシャは既に聞こえる戦闘音の方に目を向ける、そこには既に彼の敵の仲間を数人殺しているが、ダメージを受け最後の一人に今にも殺されそうになっているデルタムーザが居た。
「我をここまで追い詰めるとは賞賛に値するぞ、勇者よ」
「・・・」
デルタムーザにその実力を賞賛された勇者は何も言い返さない、いや何も言えないのだ、自分の実力不足で仲間を全て失った、例えこの世界を滅ぼそうとしているデルタムーザを倒せたとしても、この仲間を失った彼にこの勝利は意味が無いものなのである。
「ふん・・・殺せ」
「ッ!ウォォ!」
デルタムーザに殺せと言われた勇者は彼に向けて剣を渾身の力を振り絞って振り下ろした、しかしその剣はアリーシャの指先により軽く受け止められた。
「なっ!?」
剣を受け止められた勇者はアリーシャの指先から慌てて剣を引き抜こうとするが引き抜けない、アリーシャはそんな必死な勇者に冷たい視線を向けた後、デルタムーザに話しかける。
「無様ですわ、なんて無様なのかしら、ただが人間如きに負けるなど、私なら有り得ませんわ」
「・・・」
デルタムーザはアリーシャの言葉にただ俯向くことしか出来ない、アリーシャの言葉は全て事実だ、魔神が人間に負ける、無様としか言いようが無い。
「フン、それでこの者の命は私が頂戴してもよろしいのかしら?曲がりなりにも同士である貴方を追い詰め我々魔神の誇りを汚した、このクズを消してもよろしいのかしら?」
「好きにしろ」
「ふふふ、分かりましたわ」
デルタムーザに好きにしろと言われたアリーシャは嬉しそうに笑いながら勇者の方に向き直る、そして思いっきり勇者の顔をはたいた、そして何回も何回も勇者の顔をアリーシャははたく。
「このクズが!私達の誇りを汚して!」
「グッ!クソ!」
アリーシャの攻撃はかなり効くようで勇者は剣を離してでも離れようとするがアリーシャは逃すことを許しはしない、彼が剣を離したのならこちらも剣を指先から離し、両手で彼の頬をはたく。
「このぉ!」
勇者は雷撃魔法を放った、流石のアリーシャもその強力な雷撃の前にははたき攻撃を止めるしかなく、後ろに飛び退いた、しかしアリーシャは足が地面に着いたその瞬間に勇者の足元から炎を放つ。
「アアア!」
勇者は足元から燃え上がる炎に悲鳴を上げた、アリーシャはその悲鳴を聞いて満足気に口元を歪めると、ゆっくりとその火柱に近付いて行く。
「ふふふ」
自身の火柱の中にアリーシャは入ると、彼の頬に触れる、そして後ろに回り込むとゆっくりと彼を抱き締め、炎を止める
「グッ、カハァ!」
炎に焼かれた勇者は既に息も絶え絶えだ、既にアリーシャの身体の柔らかさを感じ恥ずかしがる余裕すら無い。
「ふふふ、遊びましょう?」
「ことわ・・・」
遊びましょうと言うアリーシャの言葉を勇者は拒否しようとしたがその前にアリーシャは彼の腹に触れ彼の内部を火炙りにした、勇者はその痛みに言葉にならない悲鳴を上げ地面に倒れる、アリーシャはそんな勇者に冷ややかな視線を送るとその顔を踏み付ける。
「勇者を名乗る者が、身体の内部を炙られたくらいで倒れるとは、情けない」
そして勇者の顔を踏み付けるブーツの底から火を出し、アリーシャは勇者の顔を焼く、勇者は顔を焼かれる痛みにバタバタともがくがアリーシャの踏み付けから逃げる事が出来ない。
「ほら、ほらぁ!逃げてみなさいな!あはは!」
デルタムーザは楽しそうに勇者を拷問するアリーシャの姿をただ見つめていた。
30分後、そこには焼死体となった勇者の亡骸があった、デルタムーザは勇者を殺したアリーシャに近付いて行く。
「すまないな、アリーシャ、助かっ」
デルタムーザがアリーシャにお礼を言おうとしたがそのお礼はアリーシャのビンタにより遮られた。
「この程度の者に負けたお前の言葉など聞きたくはありませんわ、また私と言葉を交わしたいと思うのなら、私が認める功績を挙げてみる事ですわね」
そうデルタムーザにアリーシャは言い残すとデルタムーザの顔をひと睨みしてから転移して行った。
「クソ!」
アリーシャが転移した後デルタムーザは悔しそうに地面を思いっきり殴った。
アリーシャの城
城に戻ったアリーシャは風呂に入っていた
「ふふふ、今日は大変満足の行く戯れでしたわね」
そう満足気に言うと、風呂から上がりメイド達に体を洗わせる。
「さぁて、明日は何をしましょうか」
美しき炎の魔神アリーシャ・メル、ベリクリオスはまだ見ぬ明日へ、思いを馳せる。
現在
装備管理室の担当員との話を終えた明日奈は、端末で資料作成を行っていた、そんな時身体の中に熱さを感じた。
「何?」
それを不思議に思った明日奈は身体のあちこちを触ってみるが、もう熱さは感じなかった。
「?」
明日奈は気のせいだろうと思い直すと資料作成を再開する。




