アリーシャ・メル・ベリクリオス1
伝説の魔神のお話
10話から15話を予定
とある伝承がある
その者は金の髪を持ち赤い瞳を持ち、常に美しい衣服をその身に纏い、魔神としての強大な力を奮い人々に多大な厄災をもたらし、幾億もの人を殺した。
その者の名はアリーシャ・メル・ベリクリオス
明日奈が生きる時代の五千年ほど前、魔神アリーシャ・メル・ベリクリオスは気怠げにベッドから身を起こした、そして欠伸をしていると扉が開き沢山のメイド達が部屋に入って来た。
「アリーシャ様、今日はどのような髪型に?」
「アリーシャ様、お召し物はどうなされますか?」
部屋に入って来たメイド達は次々とアリーシャに質問をしてくる。
「アリーシャさ・・・」
「黙れ、お前達は何時ものようにしていれば良いの、私が何かを変えたいと思ったのなら私がお前達に命令する、だから余計な事をするな聞くな、よろしくて?」
アリーシャは朝から煩い奴隷として扱っている美しいメイドの少女達を叱りつけた、アリーシャの怒りを受けたメイド達は黙り込みただ淡々と仕事を行う。
「ふふふ、今日も私は美しい、さて行くとしましょうか」
メイド達が運んで来た朝食を嬉しそうに取り、赤いドレスに身を包み、姿見の前に立つ可憐な金色の髪の女は自分の姿を見て満足気に頷くとドアに向かって歩を進める。
「すぐに戻って来ますわ、ですので昼食の用意を済ませておきなさい」
そしてメイド達に命令する。
「「はい、アリーシャ様」」
メイド達は何時もそうなのだろう、アリーシャの命令に素直に従い頭を下げた。
マニャの都市
最近立て続けにこの世界で起こる炎の厄災をまだ受けていないマニャの都市は今日も平穏だ、しかしその平穏に終わりが近付いている事に都市の人々は気付いていない。
「ふふふ、さぁ遊びましょう」
マニャの都市の一番高い塔の上で人間達を見下ろすアリーシャは両手を前に突き出すと左右にバッと開いた、するとマニャの都市は一瞬で炎に包まれる。
「ふふふ、アハハハハ!」
魔神アリーシャは一瞬で炎に包まれた人間の都市を前にして高笑いをする、これがアリーシャ、炎の魔神なのだ。
「ふふふ、ホント、人間とは弱い生き物、こうやって私を楽しませるしか能の無い愚かな存在」
アリーシャは炎に包まれ焼かれる人間の断末魔を聴いて満足気な表情を浮かべつつ、左右を見渡す、すると何やらこちらを指差している、人間達がいる、どうやらこの厄災を起こした張本人を人々は見付けたようだ。
「私に指を指すとはなんと愚かな、これは私が直接裁きを下してあげませんと」
そう言うとアリーシャは軽い動作で塔から飛び降り、こちらを指差している居た人間達の元に向かう。
「お」
アリーシャが人間達の元に来ると一人の男が何やら喋ろうとしたがアリーシャは男が一言発した後、その口を炎で焼いた。
「人間が私に何か言葉を伝える事が出来るとお思い?有り得ませんわ」
そう言うとアリーシャはその男に火を放つ、すると男は一瞬で消し炭になってしまった。
それを見た人間達は喋れば攻撃をする間も無く殺されると判断し、ただ黙って攻撃を行った、一斉にアリーシャに向けて矢を放ったのだ。
「ふふ」
だがアリーシャはそれを交わすこともなく炎の壁で防いだ、そして炎の槍を宙に並べると一斉に人間達に向けて放つ、その槍はただ一人の男を残しその他の人間達を殺した。
「う、嘘だ」
アリーシャの炎の槍から生き残った、男は後退りし逃げようとするが、アリーシャはその足を焼き逃げれないようにする。
「い、イヤだ!」
男は歩けなくなった事に絶望し、悲鳴を上げた。
「誰が喋っても良いと?」
そしてアリーシャは人間の悲鳴を聞いたのがよっぽど不快だったのか、かなり不快そうな表情で男の口を焼き喋れないようにする。
「クッふふふ」
そしてゆっくりとアリーシャは男に近付いていく、その道中にまずは右腕をゆっくりと焼き、左腕もゆっくりと焼いた。
「次は目」
そして男の元に辿り着いたアリーシャは男の目を焼く、その表情はただただ愉悦を感じていると言った様子だ。
「あらあら死んでしまったの?情けないですわね」
そしてゆっくりとアリーシャは男を拷問し、そして男が死んでしまい残念そうな表情を浮かべる、そして空を飛び、他に人間は居ないかと探してみるが人間達は逃げたか全滅してしまっているようだ。
「つまらないわ」
アリーシャは残念そうな表情でそう言うと、自身の居城に向けて転移した。
魔界、アリーシャの城
城に戻ったアリーシャは玉座に座る、そのスラリと長い足を組み、肘掛に肘を起き頬杖をつく。
「アリーシャ様、昼食を・・・」
アリーシャの使用人の一人が昼食を取るのかどうか聞いて来た。
「ええ、頂きますわ」
魔神アリーシャは運ばれて来る昼食に舌鼓をうっていると、知っている気配が転移して来る気配を感じたので立ち上がる。
「お久しぶりですわね、デルタムーザ」
魔神アリーシャ・メル・ベリクリオスは邪神デルタムーザにスカートの裾を広げ挨拶をした。




