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金色の九尾ll アンダーワールド  作者: ブレイブ
四章二部地球よ私は帰って来ちゃった!?
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六十九話

ラデガ山頂上

ここはラデガ山の頂上、半径50メートル位の平らな地面となっているようだ

(ねぇホワイトローズ、あれ次元の狭間じゃない?)

黒いロボットの手のひらの上からラデガ山の頂上を眺める明日奈は頂上の中央にあるワームホールのような物を見てホワイトローズに次元の狭間ではないかと聞いてみる

『Yes、私の記憶に残っている次元の狭間の入り口と同一の反応を計測しました、あれは次元の狭間で間違いありません、あれに入れば我々の世界への帰還が可能だと私は予測します』

(そう!私達帰れるのね!)

ホワイトローズの話を聞いた明日奈はこれで全ての人々が元の世界に帰れるかもしれないと喜んだ

『NO、あの次元の狭間は恐らくは誰か一人が入ったらその門を塞ぐ筈です、この世界に閉じ込められている人々を我々が住む多元世界に帰すにはあれの数万倍の大きさの次元の狭間が必要だと予測します』

(そう・・・)

そして明日奈はホワイトローズの話を聞いて落ち込んだ、明日奈はこの世界に閉じ込められた人類が全員元の世界に帰る事を望んでいる、それなのにあの次元の狭間では一人しか帰れないだから明日奈は落ち込んだのだ

『やはり早急に歌を見付ける必要が有りますね、マスター』

(そうね)

黒いロボットが頂上に降り立った、そして地面に明日奈を降ろすと次元の狭間を指差し一緒に来いと合図した、それを見た明日奈は黒いロボットに着いて行く

「俺の考えではあれは次元の狭間だと予想している、お前はどうだ?」

「私もそうだと思う」

「しかしあれでは全員は帰れない、そうだろう?」

「ええ」

黒いロボットは全員は帰れないと聞くと立ち止まった

「ならば俺にとっては何の価値も無い、お前はどうする?入るのか?」

どうやら彼も仲間全員で元の世界に戻らなければ意味が無いと考えているようだ

「いいえ、入らないわ、皆で一緒に帰らないと意味が無いもの」

「ならばあれは我々に両方にとって価値無しと言う事だな」

「そうね」

そして黒いロボットは次元の狭間から背を向け明日奈が乗れるように手のひらを向けた

「乗れこの山の麓まで送ってやる」

「ええ、あり・・・」

明日奈が送ってくれると言う黒いロボットにお礼を言い、手のひらに乗ろうとした時だった明日奈は何やら強い者の気配を感じた

「何か居る・・・戦闘準備をして」

「・・・分かった」

黒いロボットは明日奈の言葉を聞くと今回装備していた背中の大剣を抜き構え周囲の警戒を始めた、明日奈も剣を抜き辺りを見渡す

「何を感じた?」

「とても大きな気配よ・・・来た!」

上空から激しい咆哮が聞こえたかと思うと地響きと共に何かが降りて来ると同時に砂煙が巻き起こる、そして砂煙が晴れると敵の全貌が見えて来た

「火の鳥・・・」

「フェニックスか」

明日奈と黒いロボットの目の前に現れたのはフェニックス、燃え盛る永遠の命を持つ伝説の神鳥だった





「恐らくこいつの役目はあの次元の狭間の守護だろうな」

「それで彼が守っている次元の狭間の側に私達が現れたから追い払いに来たようね」

「見逃してくれるつもりはなさそうだ」

「そうね」

明日奈と黒いロボットが次元の狭間に近付いた事に怒っているフェニックスは二人を逃すつもりはなさそうな雰囲気を出している、つまりは死にたくないのなら戦うしかないのだ

「来るよ!」

「ああ」

フェニックスは飛び上がると羽を羽ばたかせ明日奈達に向けて火の玉の雨を発射した、明日奈はそれを走ってかわし、黒いロボットは大剣で火の玉を防いだ

「キュエエエエエエ!」

フェニックスは自身の攻撃が防がれた事に対し怒りの叫び声をあげると、足の先に生えた鋭い爪で斬り裂こうと明日奈に向けて突っ込んで来る、明日奈はそれを大きく横に飛んでかわした

「カァ!」

明日奈に爪による攻撃をかわされたフェニックスは今度は黒いロボットに向けて火炎放射を発射した、黒いロボットはそれをスラスターを吹かし上に飛び上がる事でかわした

攻撃を二回かわされたフェニックスは高く飛び上がると旋回しつつ火の玉を降らして来る作戦に移ったようだ、火の雨を降らしながら旋回しており全く下に降りるつもりはなさそうだ

「うーん、あれはこっちも飛ぶしかないわね、ホワイトローズ、プラチナモード!」

『Yes、プラチナモード起動!』

明日奈の体から光が発せられた次の瞬間には明日奈の体は白金の鎧に包まれていた、プラチナモードを装備した明日奈は背中にフォトンウィングを発動させ広げると飛んだ、そして空を旋回しているフェニックスの元に向かう、黒いロボットは空を飛ぶ明日奈の後に着いて来ている

「キュエエエエエエ!」

明日奈が旋回するフェニックスの進路を邪魔するように立ちはだかるとフェニックスは怒りの声をあげた

「あら?黒いあいつだけじゃなくて私も飛べる事にお怒り?」

「そのようだな」

更にその怒りを高めたフェニックスは燃え盛るその身体ごと二人に向けて突っ込んで来た、そのスピードはかなり速い

「ッ!」

だが明日奈はその突進を最短の動きでかわしつつ回転し、フェニックスの背を斬りつけた

「クォォォォォ!」

背を斬られたフェニックスは明日奈に向け羽を発射した

「フン」

黒いロボットは明日奈の前に来ると迫り来る羽を剣ですべて受け止めてくれた、どうやら本当にこの山にいる限りは明日奈を守ってくれるようだ

「別に良いのに・・・」

「俺は誓った事を破ったりなどせんのだ」

黒いロボットはそう言うとミサイルを十発発射した、迫り来るミサイルに嫌な気配を感じたのかフェニックスは背を向けミサイルから逃げるように空を駆ける

フェニックスは三つのミサイルを羽を発射する事で破壊し、急制動をかける事で一気スピードを落としミサイルを自分の先に行かせ行き過ぎたミサイル達を火炎放射で一気に破壊した

「ハァァ!」

フェニックスに追い付いた明日奈はフェニックスを下から蹴り上げた

「クォォォォォ!」

しかしフェニックスも負けじと足で明日奈を掴むと一気に急降下し、明日奈を地面に叩き付けた

「チッ!」

フェニックスは地面に叩き付けられた事により動けなくなった明日奈に鋭い嘴による攻撃を仕掛けようとしている、それを見た黒いロボットは攻撃を仕掛ける前にその嘴を掴むとフェニックスを空に向けて投げた

「カッ!」

投げ飛ばされたフェニックスは空中で体勢を立て直すと灼熱の火炎放射を黒いロボットに向けて発射した、黒いロボットはまだ立てない明日奈を守る為火炎放射を真正面から受け止める

「ムゥゥ!」

灼熱の火炎放射は黒いロボットの装甲を溶かして行く、その装甲は火炎放射に長い時間耐えることは出来なさそうだ

「まだ立てんのか!」

危険を知らせるアラートに焦る黒いロボットが明日奈にまだ立てないのか聞いた

「ごめん!もう大丈夫!」

ようやく立ち上がる事が出来た明日奈は火炎放射を発射する嘴の下まで走ると飛び上がり嘴を蹴り飛ばした、嘴を蹴り飛ばされたフェニックスの顔が上に上がる

「良いぞ!喰らえ!」

黒いロボットはフェニックスに向けてミサイルを発射した、発射されたミサイルは全てフェニックスに命中する

「クォォ・・・」

明日奈はプラチナローズをブラスターモードに変形させると構える

「プラチナブラスター!」

『発射!』

明日奈はチャージ無しのそれでも十分過ぎる威力のプラチナブラスターを発射した、発射されたプラチナブラスターはフェニックスの脇を逸れるように空に伸びて行く

「く、クェェ!」

プラチナブラスターの威力に驚いたフェニックスは慌てたように羽を羽ばたかせると逃げて行った

「フゥ、勝ったね」

「そうだな」

フェニックスを追い払う事の出来た明日奈と黒いロボットは武器を収め、飛んで行くフェニックスの背中を見送った



「さて、改めて乗れ」

「ええ」

明日奈が黒いロボットの手のひらに乗ろうとした時だった急に次元の狭間が辺りの物を吸い込もうと吸引を始めた

「なっ!?いきなり!?あっ!」

強い吸引に体重の軽い明日奈はあっさりと負け次元の狭間に向けて吸い込まれて行く

「くっ!」

明日奈の数十倍は体重が重い黒いロボットが吸い込まれる明日奈を助けようと手を伸ばすが届かなかった

「ホワイトローズ!ウィリアムが持ってる私が加護を掛けた剣にラデガ山の頂上で見付けた次元の狭間に吸い込まれて元の世界に帰っちゃうかも、だからごめんって送って!早く!」

『Yes!』

ウィリアムが持つ剣は簡易ホワイトローズだ、ホワイトローズからメッセージを送れば二つの剣からメッセージの内容がいきなり発声される

「くっ!」

だが元の世界に帰るつもりは無い明日奈は剣を地面に刺そうとし刺さった剣で吸引に耐えようとするが、剣は地面に刺さらず明日奈は次元の狭間に吸い込まれた




地球、明日奈の自宅

ドスンと床に何かが落ちた音がした、その音を不思議に思った白い髪を持った少女が警戒しつつ音がしたリビングの方に向かう

「!」

白い髪を持つ少女はボーゼンと床に座っている者を見てポロポロと涙を零した

「お姉ちゃん!」

白い髪を持つ少女、レビィは涙を流しながら明日奈に向けて走りそして抱き付いた

「レビィ、ただいま」

「うん!おかえり!」

明日奈は大切な本当に大切な妹を抱き締め涙を流す



天上界

ここは天界の更に上に位置する世界、とある誰かさんの母が耳と尻尾をピン!と立てた

「この気配は!消えていた明日奈の気配ではないか!」

明日奈の母、神狐はそう言うとシュタ!と立ち上がり転移しようとする

「やめて下さい!神狐様!あなたが地上に降りたらどうなるか分かっているのですか!」

転移しようとする神狐を神狐のお付き玲狐が止める

「ええい!大切な大切な娘が帰って来たかもしれんのじゃ!儂は世界がどうなっても明日奈の所に向かうぞ!」

「天上神クビになりますよ!?」

「そんなものどうでもよいわ!」

「あーもうアシュレイ様!止めて下さい!」

自分ではどうにもならないと判断した玲狐は神狐の夫であるアシュレイを呼んだ

「どうしたんだ?」

玲狐に呼ばれたアシュレイはのっそのっそとこちらに近付いてくる

「明日奈が帰って来たのじゃ!」

「なんだとぅ!?良し!行くぞ神狐!」

「うむ!」

「しまった!?」

自らアシュレイと言う面倒事を増やした玲狐、二人を止める事になった玲狐が焦って居ると、後ろの方で何者かが転移して来た音がしたので玲狐は振り返る

「あらあら何の騒ぎですか?」

転移して来たのは明日奈の曽祖母桜だった、騒いでいる三人を見て首を傾げている

「初代!明日奈が帰って来たのじゃ!」

「そうですか、それでは行ってきます」

そして神狐の言葉を聞いた桜は恐らくは地球に向けて転移して行った

「ハッ!?マズイ!玲狐!初代を連れ戻せ!」

初代天上神桜が地上に降りるとその強すぎる力により空は荒れ、街に大津波が襲い、世界中で大地震が起こる、その為早急に桜を連れ戻さなくてはならない

「もう知りません!」

玲狐は全く言う事を聞かない神狐達にへそを曲げてしまったようだ

「・・・何してるの?」

「・・・」

そしていきなり部屋に現れた桜を天上界に戻す為共に転移し、そのまま桜と一緒に神狐の館にやって来た明日奈が騒いでいる三人にツッコミを入れた、レビィも着いて来ている

「明日奈!」

明日奈の声がしたので声がした方向を見た神狐は明日奈を見付けると明日奈に近付くと娘を抱き締めた

「よく戻ったな我が娘明日奈よ、おかえり」

「うん、ただいま」

母と娘は挨拶を交わすと強く抱き合った

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