六十五話
第三十二遺跡
「・・・」
白花はなんだか自分だけ忘れられていたようなと思い頬を膨らませていた、そんな拗ねている白花の顔をウィリアムから離れ照れて彼から背を向けた明日奈が見た
「白花、そんな頬を膨らませてどうしたの?」
「別になんでもありません、強いて言うなら頭撫でてください」
「?まぁ良いわよ」
明日奈は何故白羽が頭を撫でて欲しいのか分からなかったが撫でてあげる事にした
「・・・許してあげます」
「何を?」
「ふふふ、なんでもないです」
グランラミス冒険者ギルド
グランラミスに戻って来た明日奈達は歌が記されたプレートをギルドに渡す為ギルドにやって来た
「それじゃこれ渡してくるからみんな待っててね」
「はーい」
明日奈は歌を渡す為カウンターに向けて歩いて行く
「支部長は居るのかしら?」
明日奈は支部長が居るかどうか受け付けに聞く
「はい、いらっしゃります、どう言ったご用件でしょう?」
「歌を手に入れたの」
「!、こちらへどうぞ!」
「ええ」
明日奈は受付嬢の後に続いて支部長の部屋にへと向かった
支部長の部屋
明日奈が歌を手に入れたと聞き興奮した様子の受付嬢は支部長の部屋の前に来ると、明日奈にここで一度待つように言い部屋の中に入って行った
「マスター!お客様です」
「何用かね?」
「はい!歌を手に入れたと言う冒険者の方をお連れしました!」
「本当かね!?早速入れてくれたまえ!」
支部長に明日奈を部屋の中に入れるように言われた受付嬢は部屋から出て来ると明日奈を部屋の中に案内する
「君が歌を手に入れたのか、早速歌を見せてくれるかね?」
「ちょっと待ってね」
支部長に歌を見せてくれと言われた明日奈はバックパックから歌を取り出し机の上に置いた、支部長は机の上に置かれたプレートを手に取ると眺め始める
「ふぅむ、なんで書いてあるのか読めんな」
「私も読めません」
どうやら支部長と受付嬢はプレートになんと書いてあるのか分からないらしい、明日奈も分からなかったのだが
「それじゃあ、それの保管をお願いするわね?」
明日奈は支部長にプレートの管理を依頼する
「分かっている、本部に送り確実に保管させてもらおう」
「お願いするわ」
プレートをギルドに預けた明日奈は部屋を出た
宿
プレートをギルドに預け五十万ゴールドと言う報酬を貰った明日奈達はその報酬金の一部を使い少し高いレストランで夕食を取った後、以前泊まった宿に戻って来た
そしてここはウィリアムと明日奈が泊まっている部屋である、メリア達が結婚前である明日奈とウィリアムに気を使いいつもは二つ取っている部屋を三つ取るように取り計らってくれたのだ、明日奈とウィリアムは気を使ってくれた仲間達に感謝してから二人でこの部屋に入った
「ふふふ、気を使ってくれたみんなには感謝しないとね」
ベッドの上、ウィリアムの左隣に座る明日奈はウィリアムの肩に頭を乗せている
「そうだな」
ウィリアムはそう言うと明日奈のお腹を撫でる、明日奈のお腹を撫でるウィリアムはとても柔らかい表情をしている
「ふふふ、早く顔が見たいわね、きっととっても可愛いわ」
「あぁ俺と明日奈の子だ、絶対に可愛いさ」
二人は幸せそうに笑い合うと軽くキスをしてから明かりを消し、共に眠った
夜中、明日奈は一人目を覚ましウィリアムを起こさないように静かに体を起こす、そしてベッドから抜け出すと音を立てないようにベランダに向かう
ベランダに出ると月明かりに照らされている美しい川の流れが見える、明日奈はその流れを眺めつつ、お腹を優しく撫でる
「・・・綺麗ね」
明日奈は川から目線を外し部屋の方を見る、そこにはスースーと寝息を立てているウィリアムが居る
「ウィリアム、来てくれて本当にありがとう、あなたが来てくれなかったら私本当に駄目になってたかもしれない」
明日奈は音を立てないよう静かにベッドに近付くと彼の頬にキスをする、そしてまたベランダに向かい眠くなるまで川を眺める事にした




