五話
アンダーワールドでの始めてのダンジョン探索のお話し
ララネの町、冒険者ギルド
前回の採取依頼を完遂させてから二日が経った、明日奈とメリアはこの日も冒険者ギルドのクエストボードの前に立ち依頼を見ている
「明日奈、私ね?経験を積む為にもダンジョン探索の依頼を受けてみたいんだ、良いかな?」
メリアは様々な依頼を受けて経験を積み実力を付けたいと思っている、なので出来るだけ色々な依頼を受けたい、それが彼女の気持ちだ
「良いわよ、でも一番したのランクの私達じゃ制限が有るみたいね・・・」
制限とはHランクの者はダンジョンの階層数によって違うが10階層あるのなら3階層以上行けば冒険者資格を剥奪すると言う物だ、ちなみにギルドカードは所有者がダンジョンのどの階層まで入ったか記憶する為隠そうとしてもすぐにバレる、そしてこの制限はEランクになれば解放される、簡単なダンジョンなら制限は無い
「それでも良いの、これ行ってみようよ」
メリアが明日奈に渡して来たのは初心者冒険者でも最下層まで入れる制限無しの簡単なダンジョンだ、内容は最下層にある魔法石を取って来て欲しいと言う物だ
「分かった、これにしましょう、それじゃ受けて来るわね?」
「うん、お願い」
メリアから依頼書を受け取った明日奈が依頼を受けに行った、そして明日奈が依頼を受けた後二人は初心者向けダンジョンに向けて歩いて行った
フローロの森
ここは明日奈が最初落ちて来たフローロの森、ララネの町や、首都がある明日奈とメリアが居るこの国の中心部と西地方を隔てている広大な森である
余りに広い森の為、まだ探索して切れて居らず新しいダンジョンが見つかったりする森である
「うーん涼しいわね」
「そうだね、外暑かったもんね」
現在のシーキア国は夏季その為平原を歩いて居ると汗をかなり掻く、その為涼しい森の中は天国である
「それに明日奈のその尻尾って結構暑そうだもんね」
明日奈の尻尾の毛はモッフモフである、普通の人間のメリアから見ると暑そうである
「確かに暑いわね、でもね?触り心地とか冬とかはこれで体を包んだら凄く暖かいし悪い物じゃ無いのよ?」
そう冬場のかなり寒い日などは尻尾で自分の体を包めばすぐに体が温まる、夏場を我慢すればそれ以外の季節はあって悪い物では無いのだ
「そうなんだ、確かに冬暖かいのは良いかも、と言うことで触らせて下さい」
メリアは明日奈のモッフモフな尻尾を触ってみたいと思って狙っていた、なので触らせてくれと頼む
「良いわよ」
明日奈は妖狐の本能的な部分としては余り他人に尻尾を触らせるのは気分が良い物では無いが、メリアの目がキラキラして居るのだ、そんなキラキラした目で期待されると触っても良いとしか言いようが無い
「やった!ありがと!」
メリアは明日奈の許可を貰うと明日奈の尻尾を嬉しそうに触り始めた
「サラサラでフワフワで気持ち良いー」
メリアはこんな様子で明日奈の尻尾をダンジョンに着くまで触り続けた
初心者向けダンジョン、入り口前
明日奈とダンジョンに着くまでずっと明日奈の尻尾を触り続けいて現在も触っているメリアは初心者向けダンジョンの入り口に着いた
「はいおしまい」
明日奈はまだ尻尾を触っているメリアから尻尾を離す
「えぇーもうちょっとだけー」
メリアはそう言って明日奈の尻尾を触ろうと近づいて来る
「ダーメ」
明日奈は尻尾を抱きしめメリアに触れないようにする
「ケチー」
メリアはかなりの不満顔をしてこう言った、どうやら明日奈の尻尾の事がよっぽど気に入ったらしい
「また触らせてあげるから今はもうおしまい、そんな事よりも仕事が優先、でしょ?」
明日奈としては実際はこれ以上触られるのは精神的にキツかったのだ
「また触らせてくれるんなら良いや、それじゃ頑張って最下層まで行こうね?明日奈」
「ええ」
そして二人はダンジョンの内部に入って行った
初心者向けダンジョン一階
初心者向けダンジョンは階層三階出て来る魔物はゴブリン、スライムと言う本当に簡単なダンジョンだ、このダンジョンの最下層まで行けない者は根本的に冒険者には向いていない
「さてメリア、私から一つ提案があります」
明日奈は頑張るぞーと体を伸ばしているメリアに一つ提案があると言う
「ん?何?」
体を伸ばして居たメリアはそれを聞き明日奈の方を向いた
「提案とは今日このダンジョンは私は危なくならない限りは手を出さず、メリア一人で攻略して貰うと言う物です」
明日奈は危なくならない限りはメリアの後ろを着いて行くだけにするつもりだ
そして明日奈の目的は将来的にかなり強くなりそうなメリアに経験を積ませる事である
「良いけど危なくなったら、助けてくれるんだよね?」
メリアは実は今まで一度も一人で依頼を受けた事は無い、これまでは同じランクの手を貸して欲しいと言う冒険者達と共に依頼を受けていたのだ、その為危なくなったら手を貸してくれるとは言え不安である
「うん、危なくなったら守ってあげる」
「それなら・・・うん、一人でやってみる」
メリアはそう言うとダンジョンの奥に向けて歩き始めた、明日奈は後ろを着いて歩く
ダンジョン一階層目はどうやらほぼ一本道のようだと言うかこのダンジョンは初心者用の為最下層までほぼ一本道である、所々に開けた場所がありそこに簡単な罠か魔物が居たりする
そしてメリアは最初の開けた場所に出た、まずメリアは床が開いたりしないか確かめて居る、だが開かないので先を行くが何かのスイッチを踏み天井から岩が落ちて来た
「しまっ!」
「シールド」
メリアは落ちる来る岩から頭に手をやり頭だけでも庇おうとしたが明日奈が岩をシールドで防いだ
「メリア、この程度なら走ったら当たらずに抜けれたわよ?」
そう岩はほぼ同じ場所を目指して落ちているなので慌てず開いた天井の下を走り抜けたら岩には当たらずに済んだだろう
「うーごめんなさい、そして助けてくれてありがと」
メリアは明日奈の言葉に素直に反省し、そして助けてくれた明日奈にお礼を言った、そしてまた最下層に向けて歩き始める
次の広場に続く通路には魔物は居ないし罠も無い、メリアはあっという間に次の広場に着いたが広場に魔物が居るのを見付けた
「ゴブリン二体か、行ける」
メリアは剣を抜くと広場の中に入った、ゴブリンはすぐにこちらに気付いたがメリアは敵が攻撃して来る前に一体のゴブリンを斬り伏せ、二体目に斬りかかる、二体目はメリアの剣を剣で受け止めた
「ヤッ!」
メリアはゴブリンの脇腹に蹴りを入れた、それにより怯んだゴブリンの腹を剣で突き刺した、腹を剣で突き刺されたゴブリンはメリアが剣を抜くと倒れ動かなくなる、メリアはゴブリン二体を倒す事が出来たようだ
「やったよ!明日奈!」
メリアは今までは他の冒険者達と協力して倒していた一匹以上のゴブリンを一人で倒せて嬉しそうだ
「うん、良くやったわよ!メリア、その調子」
そして明日奈は嬉しそうなメリアの頭を撫でてやる、明日奈はダメな事はダメとちゃんと言うつもりだが、褒めるべき所ではちゃんと褒めるつもりである
「エヘヘ、うん!」
メリアは明日奈に頭を撫でられて嬉しそうにすると、次の広場に向けて歩き始めた
次回は地下二階と三階のお話し




