五十四話
妖狐の遺跡
明日奈達はロボットが開けた壁の穴の先を進んでいる、穴の先は一本道で遠くの方に扉が見えている
「里に住んでいる人達の祖先がこの道を何か隠す為にさっきの壁で塞いだのかな?」
「だろうな、それで祖先達が隠した物はあいつらが狙う程の物だ、もしかしたら例の歌なのかもな」
ここはかなり古い時代の遺跡のようだ、妖狐達の祖先がこの遺跡に歌を隠しているのかもしれない
「もしそうならかなり不味いわ、とにかく急ぎましょう」
明日奈達は急ぎ一本道の奥に見える扉へと歩いて行った
「・・・」
扉の開け中に入った明日奈達が見た物それは何も置いてない台座、明らかに何かプレートを置けそうな形となっている
「何があったのかな?やっぱり・・・」
「ここになんか書いて有るけど読めねぇな」
台座の前面には何か文字が彫られているがシュルクとメリアには読めないようだ
「我らは記す、この歌こそこの世界から脱出する為の第四の歌、って書いてあるわ、歌の一つが敵に奪われたようね・・・」
シュルクとメリアには読めなかったようだが、無の巫女である明日奈には文字が読めたようだ、そしてやはりここに世界から脱出する為の歌の一つがあったようだ
「・・・つまり歌の一つが敵の手に渡ったって事?」
「そうなるわ、だからあいつはあんなに慌てて逃げたのよ」
あのロボットが足を斬られた後慌てたように逃げて行ったのは、あのままでは手に入れた歌を奪われると思っての事だったのだろう
「くそっ!あの時無理矢理にでも止めたら良かったぜ!」
まんまと歌を持った敵を逃してしまったと思ったシュルクは壁を殴る
「あの時あいつの背中に張り付いた私があいつのブースターも潰せば良かったのよ、逃げられたのは私のせいだわ」
明日奈は逃げられたのは自分のせいだと言い狐の耳をペタンとさせ俯く
「明日奈がブースターを潰せててあいつが飛べなくなったとしら、焦ったあいつは多分私達を殺してどうにか逃げようとしたと思う、だから明日奈は悪くないよ、寧ろブースターが潰れて無かったおかげであいつは逃げる事を優先出来て私達は生きてるんだから良かったんだよ」
「あぁメリアの言う通りだ、命が一番大切だからな、あの時あいつが俺達を殺そうと思わなかった事を感謝しないとな、それにあいつが持って行った歌を取り戻したら良いだけだしな」
シュルクとメリアは落ち込む明日奈逃げる励ましの言葉をかける
「二人共・・・うん、そうね生きててこそよね、それに歌なんてあいつらから取り戻せば良いだけよね!」
落ち込んでいた明日奈は二人の言葉を聞き気を取り直し顔を上げる
「だから次はあいつより先に歌を手に入れましょう!」
顔を上げた明日奈はこう言うと二人に向けて拳を突き出す
「うん!」
「おう!」
シュルクとメリアは明日奈が突き出した拳に自分の拳を合わせる、次こそはロボット達より先に歌を手に入れると心に決めて
妖狐の里
明日奈は白里に遺跡の様子を伝え、先にこの世界から脱出する方法を白里に教えてから、ロボット達が歌を手に入れた事を報告した
「宝玉は無事だったようで安心しましたが、まさかあの遺跡にそんな重要な物が隠されていて、そして奪われてしまったなんて・・・」
白里は遺跡で起こった事に対しショックを隠せない様子だ、白里がショックを受けるのは当然である、この閉じ込められた世界に住む住民達にとってはこの世界から脱出する事が一番優先すべき事、その脱出する方法の一つが奪われたとなればショックを受けてしまうのは当然だ
「大丈夫よ白里さん私達が絶対に歌を取り戻すもの、だから安心してね?」
「はい・・・」
白里は明日奈のは言葉を聞きぎこちないが笑顔を浮かべた
「私達は明日にはこの里を出るわね、もう歌を一つ奪われたとなればゆっくりなんてしてられないもの」
これ以上歌を奪われないようにする為には出来るだけ迅速な行動が必要であろう、その為明日奈達は明日には里を出てこの国の首都で情報を集める予定だ
「分かりました、今日はゆっくりとお休みください」
「ええありがとう」
話を終えた明日奈は部屋を出て行った
「白花を呼んでくれますか?」
「はい」
部屋から出て行く明日奈を見送った白里はお付きの者に頼み白花を呼んだ




