五十二話
妖狐の里、里長の家
もぐもぐと満足気に白花が運んで来た料理を食べ終わった明日奈は話があると言う里長が部屋に来るのを待っている
「それで里長さんはもう来るの?」
「はい、もう来る筈です」
もう来ると言う白花の言葉通り襖が開き白い髪を持った白花に似た女性が入って来た
「初めまして明日奈姫様、この里の長の白里と申します、娘の白花がお世話になったようですね、ありがとうございます」
「こちらこそ初めまして、私の名は九条明日奈よ、そして私は白花のお世話なんてしてないわ、寧ろ私がお世話になったくらいよ、だからこちらこそありがとう」
白里が先に自己紹介を続いて明日奈も自己紹介する
「そうですか!私の娘が姫様の役に立ったようで光栄です、それで早速本題に入っても宜しいでしょうか?」
「ええ」
白花の事でペコリと頭を下げた白里は早速本題に入る
「それでは、今回のお話は昨日姫様を襲った機械の兵士の事です」
どうやら白里は先日明日奈達が戦ったロボットの事で何か話があるようだ
「あいつがどうかしたの?」
「はい、あの機械の兵士はどうやら森の我々の遺跡で何かをしていた様子、あれが何をしていたのか不明です」
明日奈が里に運ばれて来た後、里の者達がロボットの足跡を辿った結果、妖狐達の遺跡に続いていた、その為確実にロボットは遺跡で何かしていたのだ
「私はあれが何をしていたのか知りたいと思っています、しかし我々里の者は一年に一度の儀式の時にしか遺跡に入れません、ですので姫様に大変なご迷惑を掛ける事になりますが姫様にあれが遺跡で何をしていたのか確かめて欲しいのです」
白里は仕来りにより遺跡に入る事が出来ない里の者達に変わり、明日奈達にロボットが遺跡で何をしていたのかの調査を頼みたいようだ
「その遺跡には何があるの?」
明日奈は遺跡に何が有るのか聞く
「遺跡には我々の祖先が残してくれた、人間から我々の里の隠す機能を持つ宝珠があるのです、現在も結界が働いているようなので宝珠は無事なようですが、一応確認をしておきたいのです」
「何かがあってからでは遅いものね、良いわよ、貴女には怪我の治療をしてもらった恩があるもの、その依頼引き受けさせてもらいます」
明日奈には白里に怪我の治療をして貰ったと言う恩がある、その為白里から頼まれれば快く引き受けようと思っていた、その為快く引き受けたのだ
「ありがとうございます!」
白里は明日奈が依頼を引き受けてくれて事にホッとした顔をするとありがとうございますと言ってから頭を下げる
「それでは失礼致します」
「ええ」
白里は丁寧に頭を下げると部屋から出て行った
ダーマフィール山脈
白里から依頼を受けた後、明日奈はシュルクにおぶってもらい戦闘により斬り落とした緑色のロボットの足の元に向かっていた、案内役にこの周辺の地理に詳しい白花も同行している、メリアは寒いから外に出たくないと言った為里長の家でお留守番をしている
「そう言えば白花、貴女白里さんの娘だって何で言わなかったの?」
「あー、その、お母さんに姫様と会った時にちゃんとお母さんの娘である事を姫様に話すように言われていたのですが、忘れてました・・・」
白花は明日奈と初めて会った時、かなり舞い上がっていた、その為母の言い付けを完全に忘れていたのだ、そして途中で言い付けを思い出しはしたが話すタイミングを完全に逃していた為、話す事が出来なかったのだ
「ふふふ、そんなに緊張する事無かったのに」
「エヘヘ、スミマセン」
白花は照れくさそうに笑う
「ねぇシュルク重くない?」
明日奈は背負って運んで貰っているシュルクに重くないか聞く
「思った以上に軽いさ」
「そう、なら思いっきり体重をかけてやろうかしら?」
明日奈は早速体重をかける
「行動早いなおい、ふざけてたら落とすぞ」
「ふふふ、ごめんなさい」
「仲が良いのですね」
白花は仲よさげなシュルクと明日奈を見てニコニコしている
「ええ、仲良いのよー私とシュルクは」
「まぁな」
明日奈とシュルクは互いの顔を見るとニヤリと笑い合う
「着いたな」
「はい」
そして三人で話しながら雪の道を進んでいるとロボットの足が鎮座している場所に着いた
「さてと、白花ホワイトローズを抜いて渡してくれる?」
「はい」
白花は明日奈に言われた通り左手で持っていたホワイトローズを抜くと明日奈に渡す
「シュルクもう少し寄って」
「ん」
「よし、ホーリーブレイド」
シュルクは明日奈に言われた通り足のすぐ側に寄る、明日奈はホワイトローズを逆手で持つとホーリーブレイドを発動させロボットの足に刺した
「それじゃホワイトローズ、こいつの装甲の詳細なデータ取りお願いね」
『Yes』
明日奈が体が動かないのにシュルクに運んで貰ってまでこの場所に来た理由、それは里周辺の結界も関係なしに入ってこれるらしいロボット達が残ったこの足を破壊もしくは持ち去る前にデータ取りをする為だ
「これで取ったデータの解析が終われば奴等の装甲に俺達の武器が通じるようになるわけか」
「ええ、この装甲に通じる威力のエンチャントを施し攻撃すれば通じるようになる筈よ」
このデータ取りによりようやく明日奈達はロボットに通じる攻撃が放てるようになるのである
「それは楽しみだ、こいつらをぶった斬れるようになるんだからな」
「そうね、今まではこの装甲の硬さに手も足も出なかったもの」
通じ難かった攻撃が通じるようになる、これは大変大きなアドバンテージになるであろう
「ホワイトローズ?状況は?」
『データ解析35パーセントまで完了』
明日奈達はホワイトローズがデータ解析を終えるまで話しながら待つ事にした




