四十八話
ダーマフィール平原
明日奈達三人と白花はアンダーワールドの妖狐の里に向かう為ダーマフィール平原を進んでいる
「そう言えば姫様はこれからこの国首都に向かうのですか?」
「ええそのつもりよ」
これから妖狐の里に行く為少し予定が変わったが明日奈達三人は首都に向かい次の世界脱出クエストを受けるつもりだ
「そうですか、それならば山を越えなければなりませんが、私達の里は丁度その山に有るのです、ですから私達の里で休んでから首都に向かうと良いと思います」
「そう、なら休ませて貰うわね?」
「はい!里の皆も喜びます!」
白花は明日奈が里で休むと聞き嬉しそうだ
「・・・可愛い」
メリアは喋る度に感情豊かに揺れる白花の耳や尻尾に釘付けだ、だが流石にあったばかりの白花の耳や尻尾を触るのは失礼だと思っているらしく我慢しているようだ、しかしその我慢は長くは持たないだろう
「メリア・・・鼻息荒いぞ」
「だってぇ、可愛いんだもん、触りたいよぉ」
可愛いものが大好きなメリアにとって明日奈や白花の尻尾や耳は是非モフモフしたい対象なのである
「我慢しろ・・・せめて明日奈にしとけ」
「明日奈かぁ、うん触って来る」
メリアは最近触っても少し眉を上げるだけになって来た明日奈の尻尾で妥協する事にした、流石に会ったばかりの白花の尻尾を触るのは失礼すぎるので正しい?判断だ
「それじゃ触って来る」
「あぁ・・・」
メリアは手をワキワキさせながら明日奈の背後に迫る、白花と楽しそうに喋る明日奈はそれに気付かない、音を立てず徐々にその背中に迫りそしてメリアは獲物に辿り着いた、辿り着いたメリアは明日奈の綺麗な毛並みのフサフササラサラの尻尾に抱き付いた
「ヒャッ!?め、メリア、いきなりなに!?」
明日奈はメリアがいきなり尻尾に抱き付いて来た為かなり驚いた様子だ、慣れたものなのか怒ってはいないようだが
「いやぁ、白花さんと明日奈の尻尾がユラユラ揺れてるのが可愛すぎてさぁ、もう我慢出来ないの、だから明日奈の尻尾で我慢するから触らせて!」
「別に良いけど触って良いかどうかくらい聞きなさい」
いきなりの尻尾に対する刺激は色々と心臓に悪いのである
「はーい」
良い返事である
「・・・」
白花はメリアが明日奈の尻尾に抱き付いたのを見て口元を抑えている、何故口元を抑えているのかと言うと
「お、お二人は恋人なのですか!?」
そう妖狐や犬人族達の間では尻尾を触らせると言う行為は家族が恋人同士の間でしかあり得ない事なのだ、その為白花は二人が恋人なのでは?と思ったのだ
「違います」
「うん、こ、ち、違うよ、勿論違うよ」
明日奈は即否定する、メリアは少し怪しいが
「そうなのですか、恋人じゃないのに尻尾に触らせてあげるなんて珍しいですね、嫌じゃないのですか?」
メリアはモフモフしている
「うーん・・・嫌ではないわ、友達だしね」
明日奈は仲のいい友ならどうしても触りたいと言うのなら触らせても良いかと思っている、勿論赤の他人がいきなり触れば強烈な平手が飛んで来るが
「姫様は優しいのですね、私なら本当に好きな人と家族以外は絶対に嫌です」
メリアは満足気だ
「それが普通よ、私はちょっと違うもの」
「?」
白花はちょっと違うと言う明日奈の言葉に疑問を持ったようだ、首を傾げている、それを見た明日奈は軽く説明する事にした
「私はね?自分が妖狐だって知らずに暮らして居たの、人間として生きていた期間が長かったから普通の妖狐が嫌って思うことが余り嫌って思わないみたい」
明日奈は人間として暮らしていた期間が長い為親から幼い時に習う幻術、変化、狐火、などの妖狐が得意な技は使えない、練習すれば使えるだろうが、今の喧嘩スタイルと剣術中心の戦い方にそれらが入り込む余地はなさそうだ
「育った環境でそんなに違うものなのですね」
「そうね」
「私としては最高!」
この後山に入るまで明日奈は白花とついでにメリアに人間時代の話を話して聞かせた
ダーマフィール山脈
ここはダーマフィール山脈、このダーマフィール地方を西と東に分けている巨大な山脈だ
通常は伸びている山道を歩いて山を登って行くのだが、明日奈達は妖狐達が幻術で隠している里に続く山道を登って行く事になる
「ここから里までは二時間ほどです、里を通るこのルートなら五日かかる通常のルートよりは一日早くこの山脈を越えれる筈ですよ」
「寄り道なのに早く山を越えれちゃうのね」
明日奈は寄り道なので一日程度、山を越える日程が伸びてしまうのでは無いかと思っていたが、どうやら通常よりは早い四日で山を越えれるようだ
「それじゃ行こうぜ」
「うん、レッツゴー」
四人は妖狐の里に向かって山道を歩き始めた




