四十五話
タチの町
タチの町ここにはシラーラの冒険者ギルド本部がある、シラーラの首都グランラミスの一つ前の町であり為、人が多い
「本当シラーラの町は何処も綺麗ね」
「そうだね、首都グランハミスはもっと綺麗なのかな?」
「見てのお楽しみだな」
三人はタチの町の様子を眺めながら歩き、やがて町の中央にある美しい噴水広場に着いた、そこから東西南北に道が分かれており明日奈達は西から歩いてきた、シラーラ冒険者ギルド本部は東へ伸びる道を進んだ所にその巨大な姿が見えている
「綺麗な噴水だね」
「そうね、流石は水の国って所ね」
シラーラは水の国と言われるだけはあり、水の魔法が進んでいる、この中央にある噴水も魔法により水の噴出パターンを変えることができ、観光客を楽しませている
「ギルドはあっちだぜ、それと明日奈ギルドに入る前に買ったもん全部食っとけよ?」
明日奈の手にはここまで来る道中に買った串焼きやらサンドイッチやらが入った紙袋が握られている、どうやらこの食いしん坊狐はお腹が空いていたようで町を眺めて歩いている間にフラフラと買っていたのである
「うん大丈夫食べ切れる」
明日奈にとって串三本、サンドイッチ二切れ程度は朝飯前、ここから恐らくは五分位の距離に思える、冒険者ギルドへの道のりの間に食べ切ることが出来るのだ
「無理そうだったら手伝ってあげるね?」
「・・・」
食べるのを手伝ってあげると言われた明日奈はサッと紙袋を隠した
「・・・うん取らないよ」
取らないと言われ安心した様子で美味しそうに串とサンドイッチを食べる、それを見て呆れた様子のメリアとシュルクは冒険者ギルドへと歩いて行った
シラーラ冒険者ギルド本部
ギルドに入った三人はこのギルドに来た最初の目的、世界から脱出する方法、を話す為カウンターに向かう
「こんにちは、シラーラ冒険者ギルド本部にようこそ、ご用件はなんでしょう?」
三人がカウンターの前に立つと受け付けの女性が素晴らしい笑顔と共に要件を聞いて来た
「ギルドマスターは居るのかしら?少しお話があるの」
「はい、いらっしゃいますよ、ですがギルドマスターとの面会はご予約を取ってからで無いと出来ません」
どうやらギルドマスターとの面会は予約を取らないと不可能らしい、なので明日奈は自身の神としての立場を利用することにした
「そう会えないの、天上神神狐の娘であり、時の神である私でも今すぐ会えないのね?」
この世界も元は次元の狭間の外にあった世界、勿論天上神が何者であるかは知っている筈、よってこの明日奈のセリフは効果絶大の筈だ
「て、天上神!?そして時の神!?も、申し訳ありません、今すぐめ、面会出来るがどうかマスターに確認して来ます!」
やはり効果は絶大だった、受付嬢は慌ててギルドマスターの部屋へと続く階段を登って行った
「はぁ・・・こう言うの苦手なのよね、疲れる」
走っていく受付嬢を見送った明日奈は溜息を吐く、何故溜息を吐いたのかと言うと明日奈は神としての態度を取った経験は殆ど無く慣れていない、なのでグッと疲れが来るのだ
「あはは・・・でもカッコよかったよ」
「ありがと」
そして受付嬢が慌てて階段を降りてきた
「時の神様!ギルドマスターに聞いてみた所面会は可能だそうです、どうぞこちらへ!」
どうやら面会は可能だそうだ、受付嬢がギルドマスターの部屋まで案内してくれるようだ
「ええ」
三人と受付嬢はギルドマスターの部屋に向けて階段を上がる
ギルドマスターの部屋
受付嬢の案内によりギルドマスターの部屋に来た明日奈はノックしてから中に入る、話すことが特に無いシュルクとメリアは部屋の前でお留守番だ
「君が彼女が話していた時の神かな?」
「はい、私が時の神です、名は久城明日奈」
ギルドマスターに時の神かどうか聞かれたので明日奈はそうだと答えついでに自己紹介した
「そうか、まぁ椅子に座ってくれ」
「はい」
ギルドマスターは明日奈に椅子に座るよう促し、明日奈が座ると紅茶を入れて差し出して来た、明日奈はそれを受け取るとありがたく頂いた
「それで時の神ともあろうお方が一体どういうご用件かな?」
そして早速要件を聞いて来た
「単刀直入に言います、この世界から脱出する方法です」
明日奈は単刀直入に要件を話した
「!?話してくれ」
「ええ、その方法は・・・」
ギルドマスターは世界から脱出する方法と言われかなり驚いた顔をしつつ話してくれと言って来た、話してくれと言われた明日奈は夢でルーシィに聞いた内容を全て話す
「そうか、歌を集め無の巫女に歌って貰えばこの世界はこの次元の狭間から外に出れると言うわけか」
「そう、だからこの話を全世界のギルドに伝えて、皆で協力して歌を集めてもらいたいの」
明日奈はもう一つの目的世界中のギルドが協力し歌を集めて欲しいとの事も話す
「勿論伝える、世界中の協力があれば一年以内に集まる可能性順分にあるだろう、時の神である貴女様からの依頼しかと務めさせて貰います」
「お願いね?私も出来る限り力を貸すわ」
「感謝します、それで明日奈さん、無の巫女が何処に居るのかは分かっているのかね?」
ギルドマスターはこの話を聞けば誰もが気になるだろう無の巫女の居場所を聞いて来た
「え、ええ知ってるわ、歌を歌う時に来て欲しいともう約束し、してあるわ」
明日奈は全力でマスターから目を逸らしつつ知ってると言った、流石に自分が無の巫女だとこの場で言えなかったが
「そうか!なら後は歌だけ、我々は意外と早くこの狭間から出れそうですな!」
「ええ、そうね、じゃあ情報の伝達お願いね?」
「はい、お任せください」
明日奈はこれ以上無の巫女の事を聞かれる前に頼むことを頼むと部屋を出て行った
タチの町上空
「ほう、あの娘、無の巫女の居場所を知っているのか、フン是非聞かせて貰わなければな」
たまたまこのタチの町の上空を通りかかり無の巫女の居場所を人間達が知っていないかと、人間達の会話を盗聴していた黒いロボットはギルドから出て来た明日奈をマークする事にした




