四十三話
砦中央広場
明日奈とリースの戦いは続いている
「そもそも、あんたこんな所で山賊となにしてるの?」
一度距離を取りリースから距離を取り隙を伺っていた明日奈は気になった事を聞いてみる、これを聞く事により少しでも隙が出来れば良いなと思いながら
「雇われたのよ、本当はあんたを追いたかったんだけど、報酬が良かったから先に受けることにしたの、この報酬はあんたを追う為の資金の足しになるからね」
ちなみにリースの雇用期間はこの日の次の日までである
「へぇ、私にとっちゃ迷惑な報酬ね・・・もらって無いわよね?」
明日奈としてはリースの資金は少ない方が良い、何故なら資金が無くなれば諦めてくれるかもしれないからだ、命を狙って追って来る者が居るのは面倒臭い
「ふふふ、日給よ」
「そう・・・」
そして明日奈は日給としりゲンナリした、何故ゲンナリしたかと言うとリースは既に高い報酬をもうそれなりに貰っていると言うことだからだ
「まぁまぁそんな顔しないで、必ず殺してあげるから」
「お断りします」
リースの物騒なお誘いを丁重にお断りした明日奈は手を触れさせておいた腰のホルスターから銃を抜き発砲した
「ふん、あの谷の戦いでそんな手は通じないって・・・」
リースは明日奈の魔法弾を華麗に無駄な宙返りでかわしながら明日奈が使った手に文句を言いかけ明日奈が迫って来て居るのを見て黙る
「分かってるでしょう?」
そして着地すると明日奈の剣を受け止める、余裕である
「ええ勿論」
「それなら無駄な事はしないで」
「ええ、分かったわ!」
明日奈は剣を逸らすとリースの目に尻尾を当てた目潰しである
「ッ!獣人族の尻尾はそんな使い方も有るから厄介よね!」
一瞬だが視力がゼロになったリースは明日奈の攻撃を避けるため大きく後ろに飛んだ、だが明日奈はそれを追いかける事はせず確実に仕留める事を選びリースの足に向け銃を撃った
「くっ!」
魔法弾は見事に命中、足を撃たれたリースは立っていられなくなり地面に手を着く
「ふふん、私の勝ちね」
そして明日奈はリースの顔に剣を突き付け勝ちを宣言した、勿論殺すつもりは無い町の衛兵にでも突き出すつもりだ、すぐ抜け出して来そうだが
「ええ私の負けね、でも簡単には捕まらないのが私よ!」
リースはバックパックから煙幕弾を取り出すと地面に投げた、煙幕弾からは白い煙が発生し何も見えなくなる、明日奈は匂いで追えるのだが逃げるのならそれで良いかと思い追わなかった
「ふう、勝った勝った、これで諦めてくれれば良いのだけど、まぁ諦めないわよねぇあいつ」
明日奈はタチの悪いストーカー化しそうなリースの事を思うと頭が痛くなる
「へぇ・・・凄いわね」
まだ戦っている筈の二人の方を見た明日奈はとある光景を見て感心した声を発した
リースが煙幕弾を地面に投げる少し前、メリアとシュルクは双剣を巧みに使う山賊長の戦闘能力に苦戦していた
「シュルク!下がって!」
メリアが下がれと言ったその瞬間シュルクの首を狙った山賊長の速い二発の斬撃がシュルクが先程まで居た場所を斬りつけた、シュルクはメリアの言葉を聞くとすぐに大きく後ろに後退していた為斬撃に当たらずに済んでいる
「くっそ俺の武器じゃあの速さに着いて行けねぇ、どうするよ?メリア」
大斧で戦うシュルクに取って速い斬撃を放つ山賊長は相手が悪過ぎる、重い武器では早い動きをする敵には着いて行けないのである
「シュルクが敵の動きに着いて行けないのなら私が突っ込んで隙を作るしか無いでしょ!私が隙を作るからシュルクは隙が出来たらあいつに自慢の重い一撃を加えてよ」
「・・・出来るのか?」
「出来る」
メリアの言葉を聞いたシュルクは本当にメリアに相手の隙を作る事が出来るのか聞く、するとメリアはしっかりとシュルクの目を見て出来ると言った
「分かった、頼むぜ」
「うん、任せて」
シュルクとの会話を終えたメリアは敵に向けて駆け出した、山賊長は近付いて来るメリアに向けてまず左の早い斬撃を振るう、メリアはそれを剣で弾き足を止めず山賊長の周りを走る
「セェヤ!」
シュルクが山賊長に重い一撃を加えるのには大きな隙が必要だ、メリアはその隙を作る為にどんどん攻撃を加えるが山賊長の持つ二本の剣に防がれ隙を作る事は出来ない
「くっ!防がれても絶対に隙を作る!」
メリアが大きな隙を作ろうと焦り大振りの斬撃を加えようとしたその瞬間、辺りを白い煙が覆った、メリアは白い煙が発生した瞬間大振りに剣を振るうのを辞め姿勢を低くし剣も低く構え山賊長が居るであろう場所へと突っ込む
「!?」
煙が晴れる、メリアは既に山賊長の懐に潜り込んで居た、山賊長はそれを対し焦り取り敢えず防御だけはしようと剣を構えるが、メリアはその剣に向けて鋭い一撃を放った、メリアの放った鋭い一撃は山賊長の左手から剣を弾き飛ばす
「!」
山賊長はメリアに右手の剣を振るおうとするがメリアは山賊長が剣を振り切る前に右手首を剣で突き刺した
「シュルク!」
「おう!」
シュルクはメリアの自分を呼ぶ声に返事を返すとカバー付きの大斧で、山賊長の脇に重い一撃を加えた、この重い一撃を喰らい意識を保って居られるものは居ない、山賊長は白目を向くと倒れた
「ハァハァ、やったね」
「だな」
山賊長を倒した二人は笑顔でハイタッチをし拳を当て合った
「メリア、シュルク、凄いわ良くやったわね」
「えへへ」
「どんなもんだって」
明日奈は二人の見事な勝利を褒め、褒められた二人は嬉しそうにする
「ふふふ、さぁ依頼は無事成功、町の皆を呼んでこいつらを運んで貰って報酬を貰いましょう」
「おう!」
「うん!」
この後三人は町の者達に山賊達は全員拘束出来たと伝え運んで貰うと報酬を貰い宿に帰った
宿、露天風呂
夕食を食べ、少し三人で話した後、明日奈とメリアはのんびりと露天風呂に入っていた
「さぁて今日の揉み心地はどうかなぁ〜っとその前に」
明日奈の胸を触ろうとしていたメリアはその前に明日奈に聞きたいことを思い出し聞く
「ねぇ明日奈、あの白い煙ってさ、リースって人が出したの?」
「そうよ」
尻尾を揺ら揺らと機嫌が良さそうに揺らす明日奈はメリアの質問にそうだと答える
「そっかー」
メリアは明日奈の命を狙うリースに結果的に助けられたのだと思うと微妙な気がし、ブクブクと顔の半分くらいまでお湯に潜る
「なぁに?あいつに助けられたのが嫌なの?」
明日奈はメリアの方を向きリースに助けられたのが嫌なのか聞く
「うん、嫌、だって明日奈は私の一番の友達なのに、そんな人の命を狙う人に助けられて良い気がしないもん」
メリアは本当にリースに結果的に助けられたのが嫌なのだろう凄く嫌そうな顔をしている
「まぁあいつも助けたつもりなんて無いんだし、メリアも助けられたって思わなかったら良いんじゃない?」
「それもそうだね」
メリアは明日奈の言葉通りリースが自分を助ける為に煙幕を張った訳では無いと思う事にし頭の中のモヤモヤを追い払った、そしてまた背を向けた隙だらけの明日奈を見て手をワキワキと動かし始める
「隙あり!」
「ヒャッ!?」
この後背中に抱き着き中々離れず明日奈の胸を揉み続けるメリアとどうにかして胸を揉むメリアを引き剥がそうとする明日奈が立てる水音と声が露天風呂に響いていた




