四十二話
砦
明日奈達は手際良く山賊達を気絶させ拘束し近くの部屋に押し込んでいた、そして砦内部の山賊達は大体拘束出来た頃明日奈は砦の中心のまだ山賊達が居るであろう中央広場を窓から覗いていた
「・・・」
明日奈は砦の中央の広場に居るとある人物を見て浮かない顔をする
「明日奈、どうしたの?ってあぁ・・・」
メリアも広場の中央を見る、そして明日奈が浮かない顔を何故浮かべたのか理解した
「あれはリースって名前のバウンティハンターか、あいつを捕まえるのはかなりめんどくせぇな」
そう広場の中央には以前ミルッチ大渓谷で戦ったリースが居た、どうやら明日奈達が山賊達を拘束して行って居るのに彼女の周りの山賊達を含み全く気付いていないと言うマヌケっぷりだが、リースの強さは本物だ、戦いになれば怪我無しでは済まないだろう、下手をすれば命を奪われる可能性もある
「どうするの?明日奈」
「うーん、あいつ強いのよねぇ、勝てる事は勝てると思うけど、また勝っちゃったらなんか面倒臭い事になりそう・・・」
もうリースは明日奈を絶対に殺すと思っているので面倒臭い事になっているのだが、勿論明日奈達はそれを知らない
「中央の広場に居る残りの山賊を拘束するにはどうやってもあいつと戦うしか無いぜ?もう腹決めるしかねぇだろ」
リースの周りに居る山賊達を拘束しなければ依頼は永遠に終わらない、なので明日奈達はどうやってもリースと戦うしかない
「そうね、やるわ、やるわよ、私があいつの相手をまたするけど、シュルクとメリアにはあいつの周りに居る山賊達の相手を任せるわ、良いわね?」
ホワイトローズがバージョンアップしたとは言えリースを相手しつつ山賊達の相手をするのは不可能だ、その為広場に居る山賊達は二人に引き付けて貰わなければならない
「任せろ、広場に居る山賊達はかなり多いけどどうにかする」
「だから明日奈は安心してあいつを追い払ってね」
広場に居る山賊達はザッと見て二十人、この数を殺さず気絶させて行くのはかなり難しいだろうが、シュルクとメリアは出来ると言った
「二人の言葉信じるからね?さぁ行くよ!」
「おう!」
「うん!」
三人は近くの広場に続く扉を開けて広場に乗り込んだ
砦中央広場
砦の中央広場、ここに居る山賊達とリースは明日奈達が扉が開けた音を聞いてそちらを見る
山賊達は侵入者である明日奈達を見ていきり立ち、リースは明日奈を見て怪しく笑うと剣を抜く
「大渓谷以来ねぇ!」
明日奈を見て怪しい笑みを浮かべたリースは明日奈に向かって駆け出すと斬り付ける、明日奈もホワイトローズを抜いてそれを向かい打つ
「私は会いたく無かったけどね!」
明日奈はそう言うとぶつかり合う剣を逸らしリースに向けて蹴りを放つがリースはそれを余裕でかわす
「私は会いたかったわよ?だって私があの渓谷で殺せなかった冒険者はあんたが初めて、一生の屈辱、この屈辱絶対に晴らす」
「あはは・・・」
明日奈はリースが放った言葉を聞いて既に面倒臭い事になってるわこれと思いつつ、リースの左ストレートを左手で受け止め足払いをする
「フン」
リースはつまらない手だと足払いを鼻で笑うと足で受け止めた、そして明日奈の顔に向けて頭突きを放った
「ガッ!」
「グッ!」
リースが放った頭突きは見事に明日奈の頭に命中した、ゴン、と重い音と共に、だが二人とも石頭だったようだ、二人は頭を押さえて涙目で座り込む
「痛いわね!この石頭!」
「あんたこそ!この石頭!」
二人は涙目で同時にこう叫ぶと、互いに互いの悪口を言いながら戦い始めた
シュルクとリースは悪口を言い合いながらハイレベルな戦いをしている、明日奈とリースを横目に確実に山賊達を倒して行っている、この分なら勝てそうと言う訳ではない、向かって来る山賊達の一番最後尾に明らかに他の山賊とは違う体格の良い男が居るのだ、その男は部下達が全員倒れるまで動くつもりは無いようだが強そうだ
「シュルク、あいつ強そうだよ」
「あぁ、気を引き締めよう」
シュルクとメリアは気を引き締め合うと、鞘に入ったままの武器で山賊達の意識を刈り取って行く




