四十一話
港町オカフ冒険者ギルド
ショッピングを楽しんだ日の翌日、明日奈達三人はこのシラーラでの初めての仕事を探していた
「これ受けようよ」
そしてどの依頼を受けようかとクエストボードを見ているとメリアが依頼書を一枚取り明日奈に見せて来る
「でも、条件が難しいわよ?」
「確かに難しいけどこういう依頼やってみたかったの、やろうよ」
メリアが持って来た依頼は明日奈が見てもかなり難しい依頼だ、だがメリアはどうしてもやってみたいようだ
「うーん私は良いけど、シュルクはどう思う?」
明日奈はメリアがやってみたいのならやっても良いかと思ったが、一応シュルクの意見も聞く為シュルクに依頼書を見せる
「・・・難しいな、難しいけど報酬はかなり良いし、何とかなるだろやろうぜ」
報酬は10万G、Hランクの依頼としては破格の報酬で有り魅力的で有り、やる価値は有り過ぎる位にある
「確かにねこの報酬はものすごーく魅力的ね、やりましょうか」
「やった!」
こうして明日奈達はHランクとしてはかなりの高報酬な依頼を受ける事にした
砦外部
ここは山の中にある砦、かつてはシラーラの軍が駐屯地として使っていたが山賊達がかなりの数で押し入った結果、山賊達に奪われ山賊達のアジトとなってしまって居る
それなりに高い塀など防御力はかなりの物で軍も中々手が出せない
今回の明日奈達の依頼はこの砦の中に居る山賊達を全員捕まえる事だ、捕らえるのでは無ければ相当簡単な依頼となる筈なのだが、捕らえろと言われればかなり難しい、その為この依頼は元は高ランクだったのだが誰も受けない為徐々にランクが落ちて行き明日奈達が受けれる程度まで落ちて来たのだ
「さて今回の依頼は敵の拘束よ、速く動いて、それでいて敵に見つからずに動く必要が有るわ、二人とも出来る?」
明日奈はこう言う依頼は元の世界に居た時に任務として受けた事か有るので一人では手が足りないが出来ないことは無い、だがシュルクとメリアが出来るかどうかは実際に聞いてみないと分からないので聞く
「最善を尽くすさ」
「頑張る!」
明日奈は二人の返答を聞いて一人でやろうかしら、と思ったがこの依頼は二人の実力をかなり高めてくれる筈なので出来るだけサポートしてどうにかしようと思い、何も言わない
「よし良い返事、頑張りましょう」
「おう」
「うん!」
三人は動き始める、まず目指すのは依頼を受けた際依頼主のオカフの港町町長に教えてもらった山賊達も把握していない、砦の裏手の岩地に有る秘密の出口だ、この秘密の出口は緊急時の際にはここから脱出する為に作られた、今回は逆に入り口としてそこから砦内部に侵入する
「えっと、この岩を退かすんだよね」
メリアは町長が言っていた一つだけ色が若干違う岩を横から押してみるすると岩は重そうな外見に反して簡単に動き、秘密の出口が現れた、中は人の手で作った事がよく分かる暗い洞窟となっている
「光は付けれないから、壁に手を着いてゆっくり歩きましょう」
「うん」
三人は壁に手を着いてゆっくりと転けないように洞窟を進んで行く
砦
明日奈達は洞窟を進み、洞窟の終点まで進んで来た、終点は階段となっており階段の際の天井を押して見ると開いた、明日奈は一気に開く事はせずに開いた隙間から外の様子を伺う
「敵は無し、出ても良いわ」
三人は完全に開いた天井から外に出る、そして辺りを見渡して見ると、ここはどうやら物置のようだ、様々な道具が置いてある
「音は立てないでね」
明日奈は二人に音を立てないように言うと物置のドアから外の様子を伺う、目で物置の先の廊下の様子を確認し、音を聞くことに優れた頭の上の狐の耳で周囲の音を探る
見て聞いて確認した所、敵は無しと判断した明日奈は仲間二人に合図を出し部屋から出ると伝えた、そしてそれを見た二人は明日奈に着いて物置の外に出た
明日奈が先頭、メリアが真ん中、シュルクが一番後ろで後方から敵が来ないか警戒しながら進む、三人は身を屈めて音を立てずに廊下を進みそして最初の敵を見付けた
「お手本見せてあげる」
最初の敵を見付けた明日奈は仲間二人に敵に聞こえない位の声でこう言うと、敵が背を向けた途端に音を立てずに駆け出した、そして一気に敵に詰め寄ると首を叩き気絶させ、喋れないよう口を布で縛り手足を縛ると近くの部屋に押し込んだ、ちなみに倒した敵は明日奈達が全ての山賊達を倒した後で町民達が運んでくれる、その為の馬車は近くまで来ている
「分かった?」
一連の作業を一瞬にして終わらせた明日奈は二人にこれからする事を理解したかどうか聞く
「はい、分かりました」
「流石です、明日奈さん」
何故が敬語となっているが二人はこれからする事を理解したようだ
「私ほど速くやらなくて良いけど確実に仕留めてね、仲間を呼ばれると厄介だから」
「サー」
「イエッサー」
メリアとシュルクは明日奈の言葉を聞いてビシッと敬礼する、明日奈はそれを見て首を傾げてから身を屈めてまた音を立てずに廊下を進む、二人も同じようにして進む
暫く進むと二人の敵が廊下の警備をして居るのが見えた、それを見た明日奈は二人の肩を叩き、あなた達でどうにかしなさいと示した
二人はそれに対し頷くと敵の動きを廊下の影から伺う
「今だ、行くぞメリア」
「うん」
シュルクとメリアは二人の兵士がこちら側の廊下とは別の廊下側を同時に見た瞬間に音を立てずに駆け出すと敵二人の真後ろに詰め寄り首を叩いた、シュルクの攻撃は十分な威力だったようで敵の意識を奪ったがメリアの攻撃は意識を奪えなかった、その為メリアは敵が声を発する前に敵の前に回り込むと腹に一撃、拳を叩き込み意識を奪った
「うー、危なかったぁ」
「次からは一撃で、意識を奪うようにね」
「イエッサー」
そして敵二人を拘束し近くの部屋の中に押し込むと三人は廊下を進む




