三十九話
水の国シラーラ、港町オカフ
ここは水の国シラーラの玄関とも言われる港町オカフ、他の国から運ばれて来る商品や食品はこの港町町からシラーラの様々な町に運ばれて行く
船から降りシラーラに降り立った明日奈達三人はオカフの町並みを眺めている
「白い建物が一杯だね、綺麗」
港町オカフは白い石や木造で白く塗装し建造した建物が多い、どの建物も手入れがちゃんとされているようで綺麗だ
「そーね、綺麗ねー」
体の調子が悪いらしい明日奈は相変わらずテンション低くメリアの言葉に返事を返す
「明日奈やっぱり調子悪い?」
「今日はさっさと宿を取って、休むか?」
そんな明日奈を見て仲間二人は休むかどうか明日奈に聞く
「うん、ごめんね、これはちょっと休まないとダメみたい」
明日奈は二人の言葉を聞いて素直に休むと答えた
「良いよ、それじゃ今日はちょっと高い宿に泊まろうよ!高い宿なら良いお風呂に入れるだろうし疲れも取れるよ!」
お風呂の湯船に浸かり体を温めしっかりと寝れば疲れも取れるはずである、これで疲れが取れないのなら何か別の要因が有ると言う事だ
「そうと決まったら、宿を探しに行くか」
「ええ」
三人は宿に向かって歩き始めた
宿、浴場
この町でそれなりに高い宿を見付けた三人はメリアが大きな風呂場が有るかを聞き、店員が有ると言うのでこの宿に泊まることに決め、そして明日奈とメリアは早速風呂に入っている
何故か日本風の露天風呂には熱そうなお湯が張られており、疲れがかなり取れそうだ
「あぁ、良い感じね・・・」
湯船に浸かる前に体を洗い湯船に浸かる準備を終えた明日奈は現在お湯に浸かりくつろいでいる、気持ちが良いので尻尾が機嫌良さげに揺れている
「そうだねぇ」
メリアものんびりと湯船に浸かっている、普段はこう言うお風呂に来れば明日奈にイタズラを仕掛けるのだがこの日は流石に気を使い何もしない
「メリア、明日はこの町でお買い物する?」
明日奈は自分に気を使ってくれたメリアに対するお礼としてお買い物を提案する
「うん!する!シラーラで売ってる服って可愛いって聞いた事が有るから見て見たかったの」
シラーラは各町や都市の美しい風景も有名だがファッションの面でも有名だ、メリアはシラーラの優れたデザインの服を購入するのを楽しみにしていた
「ふーん、私が買ってあげよっか?」
明日奈はウキウキした様子のメリアを微笑まし気に眺めながら服を買ってあげようか?と聞いてみる
「え?悪いよ、自分で買うよ」
メリアは悪いと言って断ろうとする
「良いの、こう言う時は素直にうんって言いなさい」
明日奈はこう言うとメリアのその姿にレビィの姿を思い出しつつ頭を撫でる
「うん」
そしてメリアは照れ臭そうにうんと言った
「よろしい」
そして二人は互いに笑い合うと湯船から出た
夜中
風呂場でメリアの姿に再びレビィの姿を重ねてしまった明日奈は隣のベッドで眠るメリアを眺めながらレビィを思い出していた
「・・・レビィ」
明日奈はレビィが今も自分の帰りを自身の自宅で待ってくれているのだろうと思うと胸が締め付けられる思いをする、妹や仲間との別れ際の際レビィが言った言葉は思い出すだけでも涙が出そうになる
(帰ったらもう一度レビィと約束しよう、今度こそずっと一緒に居てあげるってもう何処にも行かないって)
明日奈は帰ったらもう一度レビィと約束すると決めると、眠るメリアの頭を撫でる、頭を撫でられてムニャムニャと体を捩るメリアを見て明日奈はクスリと笑うと久し振りに月でも眺めようかと部屋を出た
部屋を出た明日奈は宿の庭に出た、そして適当な椅子を見付けると空を見上げる
「真ん丸お月様ね、綺麗」
空には美しい月が浮かんでいる、明日奈はその様子を眺めながらお腹を撫でる
「あなた達も産まれたら何処かの世界で見せてあげるわね、この綺麗なお月様を」
お腹の中に居る、ウィリアムとの子供達に語りかけるとお腹の中から二つの魔力が発せられた気がした
『マスターのお腹の中から微弱な魔力反応を感知しました』
どうやら母の言葉にお腹の中の子供達が魔力で返事を返してくれたようだ
「そう、ふふふ、まだまだ小さいのに元気なのね、お転婆な赤ちゃん達が産まれて来そうだわ」
明日奈はお腹の中の子供達が無事に成長し産まれて来てくれる事を祈りながら、美しい月を眺め続けた




